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音楽とリズムと特別支援教育

音楽とリズムと特別支援教育

障害のある子どもたちにとっても、音楽の教育的価値は変わらない。音楽を通して豊かな人間性や生きる力を養うために、何を大切にすべきか。リズム運動や音楽鑑賞などの豊富な実践例を挙げながら、たしかな理論に基づいた具体的な指導方法を徹底解説!

定価 2,700円(税込)

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著者 齋藤 一雄
出版年月 2018年09月
在庫 在庫あり

障害のある子どもたちにとって、音楽教育がもたらす意義とは?

 「私が障害のある子どもたちの音楽教育について考えるようになったきっかけは、高校2年生の修学旅行でした。京都市内の寺院や庭を見学するためにバスを待っていたとき、ろう学校の生徒さんが音のない世界で交流していたのを見かけました。その瞬間、どのようにしたら聴覚障害の子どもたちがすばらしい音楽の世界を体験することができるのか、考えようとしている自分に気がついたのです」(本書の「はじめに」より)


障害のある子どもたちに、音楽を通して豊かな人間性や生きる力を育みたい。そのような願いのもと、著者は長年、特別支援教育における教育課程編成や音楽教育について、研究と実践を重ねてきました。

 特別支援教育の歴史や変遷をふまえながら、リズム同期やリトミック、ダンス、歌唱、器楽、音楽鑑賞などのあらゆる豊富な実践をもとに、音楽教育のもたらす意義について深く考察した一冊です。

 

「一期一会」
はじめに

第1章 「特殊教育」から「特別支援教育」への転換
 1 「特別支援教育」 の誕生
 2 障害のとらえ方とその変化
 3 バリアフリーとユニバーサルデザイン
 4 特別支援教育の実践的取り組み課題
<コラム> 障害理解教育

第2章 インクルーシブ教育システム
 1 障害者の権利に関する条約
 2 障害者基本法の改正
 3 インクルーシブ教育システムの構築
 4 学校教育法施行令の一部改正
 5 教育支援資料
<コラム> 特別支援教育とカウンセリング

第3章 特別支援学校の目的と教育課程編成
 1 各学校の目的と目標
 2 各学校の教育課程  
 3 特別支援学校における教育課程の種類   
 4 特別支援学校学習指導要領  
 5 「準ずる教育」と知的障害教育の教育課程  
 6 多様なニーズに応える教育課程の編成  
<コラム> 海の底のようなもの

第4章 交流及び共同学習                  
 1 交流教育から交流及び共同学習へ  
 2 小・中学校の特別支援学級における交流及び共同学習  
 3 教科交流   
 4 居住地交流  
 5 支援籍・副籍  
 6 教育課程のバリアフリー  
<コラム> 介護等の体験      

第5章 障害のある子どもたちの音楽教育
 1 障害のある子どもたちの表現活動
 2 音楽教育の成立と発展  
 3 知的障害教育における音楽教育の意義
 4 知的障害教育における音楽の指導
 5 知的障害教育における題材学習「音楽」
<コラム> そつたく同時        

第6章 障害児のリズム運動とリズム同期  
 1 感覚運動とリズム運動、身体表現、ダンス 
 2 リトミック  
 3 音楽療法  
 4 リズム運動の実践と課題  
 5 リズム運動とリズム同期  
<コラム> ハープの音     

第7章 知的障害児のリズム同期における誤反応
 1 知的障害児のリズムパターンへの同期と再生  
 2 4種のリズムパターン  
 3 リズムパターンの認知と理解  
 4 リズムパターンの再生と同期  
 5 リズムパターンへの同期における誤反応  
<コラム> 手遊び歌・歌遊び

第8章 教科書掲載曲と自作曲を活用した授業の展開
 1 知的障害児のリズムと合奏の指導 
 2 特別支援学級(知的障害)小学部1組における「音楽」の授業 
 3 教科書掲載曲と自作曲によるリズム同期  
 4 授業全体の評価  
 <コラム> 生活リズムの確立       

第9章 実践場面分析演習「特別支援教育」-授業の創造と分析-
 1 実践場面分析演習「特別支援教育」
 2 特別支援学校(知的障害)小学部低学年「音楽」学習指導案  
 3 抽出場面の選択と分析  
 4 実践場面分析演習「特別支援教育」を終えて 
 <コラム> ブルックナーの交響曲       

第10章 特別支援学校中学部におけるリトミックの教材と展開 
 1 知的障害教育におけるリトミック  
 2 特別支援学校(知的障害)中学部「音楽」Aグループの授業  
 3 「遊園地に行こう」における子どもの反応  
 4 教材や展開について検討する視点  
<コラム> BGM選手権      

第11章 特別支援学校における音楽鑑賞の授業           
 1 特別支援学校における音楽鑑賞の指導  
 2 特別支援学校中学部重複学級における音楽鑑賞の授業  
 3 教員の働きかけと子どもたちの反応  
 4 音楽担当教員への聞き取り 
 5 特別支援学校における音楽鑑賞の教材と提示方法 
<コラム> 映像と音楽 

第12章 研修講座「音楽・リズム活動を取り入れた授業づくり」
 1 特別指導者招聘事業(特別支援教育部門)研修講座 
 2 特別支援学校における「音楽」の授業研究会 
 3 受講生のKJ法による研修のまとめ  
 <コラム> 研究と修養             

第13章 小学校「音楽」における交流及び共同学習          
 1 交流及び共同学習の授業における課題  
 2 教科担当教員と特別支援学級担任への聞き取り  
 3 特別支援学級の子どもが参加した「音楽」の授業 
 4 教科担当教員が授業で活用できる指導の手だて  
 <コラム> リコーダー              

おわりに
3 知的障害教育における音楽教育の意義

音楽は人間の感情や意志の働きに強く影響する。人間形成における音楽の教育的価値については、どんな障害がある子どもたちにとっても同様である。つまり、音楽という芸術活動によって美的情操と豊かな人間性を養うことに変わりはない。
知的障害教育における教科「音楽」については、「音楽遊び」「歌唱・器楽・身体表現・鑑賞」という観点で内容が示され、これに自立活動の内容を併せて指導していく必要がある。また、☆本と呼ばれている文部科学省著作の音楽の教科書や教科書解説(文部科学省,2002)がある。
教科書解説(文部科学省,2002)には、①音楽は自分と周囲の世界をむすぶ接点となる、②まざまな子どもたちが同一の場で音や音楽を共有できる、③感覚の統合や発達を促進し、表現を拡大することにつながる、③音や音楽でのやりとりは、対人関係の形成や言語発達の促進、さらに社会的な相互交流の手段にもなる、④認知、推理、判断力やこれらを統合する力を高めることができる、⑥欲求や情動を発散したり、音楽の規則性を活用して行動の調整をしたりする点で効果的である、⑥発達を促し、集団性を高め、生きる力の基礎が養われる、というように音楽教育の意義が述べられている。
このなかで、特に次の3 点が重要だと考える。
(1) 音楽は自分と周囲の世界をむすぶ
乳幼児や発達初期の段階の子どもたちは、身近にいる大人の話しかけや歌いかけに、声を出したり、手をのばしたり、表情を変えたりする。そして、受け止めた音に反応したことで、大人も反応を返し、かかわりが相互的に高まっていく様子がみられる。さらに、精神的な安定が図られ、音源への注視や音楽の始まりや終止への反応、楽器への働きかけがみられるようになる。また、子どもたちは、大人のほかに友だちの存在にも目を向けるようになり、大人や友だちの動きや発声をまねしたりするようになる。まわりを意識したり、人や音を模倣したり、音楽を聞きながら身体をゆすったり、声を出したりしていくうちに、まわりの音楽や友だちの動きに合うようになり、次第に合わせることができるようになる。そうすると、音楽活動が一人の世界から自分と周囲の世界をむすび、社会的な行動へと広がっていく。音楽がノンバーバルなコミュニケーションとしての機能をもつようになる。さらに、対人関係の形成、発声発語や言語の形成にも発展していく。

(2)音楽は表現の幅を拡大する
知的障害のある子どもたちの多くは、自信がなかったり、動きがぎこちなかったり、精神的に不安定だったり、表現方法がせまかったりする。また、子どもたち一人一人によって、好きな音楽ややってみたい表現方法、そのときのテンポや音量などが微妙に異なる。そこで、様々な音楽活動を用意し、まずはゆったりしたテンポで、子どもたちの表出するテンポに合わせながら、子どもたちができることを、あるいはできるような状況を設定して、できたという成就感やみんなに認められたという実感をもてるようにすることが重要である。さらに、子どもたち一人一人の出番をつくり、みんなで拍手を送ったり、よかったところを伝えたりすることで、より動きが活発化し、表現の幅を拡大することができる。

(3) 音楽によって行動を調整する
音楽は、音の長さ、強さ、音の高さ、音の重なりや流れ、テンポなど、一定の規則や形式でつくられている。そして、単純なものから複雑なものまで、数多くの多様な楽曲がある。音楽やリズムを把握して楽器を演奏したり、曲想の変化を感じ取ったり、好きな歌を歌ったり、活発な表現が可能になると、音楽の規則や形式にそって、先を予期した表現が可能となる。音楽が次にどうなっていくのかがわかると、音楽が鳴ってから反応するのではなく、鳴るのと同時に表現活動が可能となる。こうした音楽の特性をふまえて、発達段階や生活年齢を考慮した音楽活動を積み重ねることにより、音や音楽の一定の規則や形式を理解しながら、自分自身の行動や表現活動をコントロールすることができるようになる。たとえば、音楽に合わせて走っていても、曲の終止が近づくと走ることをやめてしまう子どもがいた。また、音楽に合わせて三拍たたいて一拍休むというリズムをくり返し打つ課題で、休み休み一拍たたいて休みと反応した子どもがいた。これらは、終止を予期して動きを止めたケースであり、一拍目はたたけなかったが三拍目を予期してたたいたケースといえる。音楽を聴いて先を見越し、自分の行動をコントロールしていたともいえる。これらの子どもたちは、頭の中ですべての楽曲やきまりを理解しているとはいえないが、音楽の一定の規則や形式を感覚的につかみ予期することができ、自分自身の行動や表現活動をコントロールすることができるようになったと考える。
 

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