「子どもと創る授業に変えたい!」教科書にある問題文を読み、できる子に発表をさせ、教師が説明をする……この型に当てはめていけば、45分の授業は過ぎていきます。しかし、こんな授業では子どもたちの学力差は開く一方。目の前の子どもたちを笑顔にしたいと願う先生方に向けた、言葉とかかわりを大切にした、子どもと創る算数の授業の取り組みをまとめました。
教え込みの授業から脱却し、子どもとつくる算数授業に変えるためのポイントを、5つの変える視点で紹介しています。
1かかわり方を変える
2授業の型を変える
3教材を変える
4展開を変える
5授業を変える
★書籍刊行記念イベント開催!★筑波大学附属小学校・算数科の森本隆史先生と、国語科の白坂洋一先生。
お二人のこの春の新刊書籍刊行を記念して、国語×算数の特別コラボ講座を開催します。
書籍とセットのお申し込みでイベント参加費が大幅割引に!
新年度の授業を更に良くしていきたい先生方のご参加をお待ちしています!


[お申し込みは
こちら]
https://eventpay.jp/event_info/?shop_code=4621468672144579&EventCode=1202231865
はじめに 1
1章 かかわり方を変える 7
1 言葉によって人の反応が変わることについて考えてみる 8
2 “形式”よりも“意味”を大切にする 10
3 子どもにそのときの気持ちを尋ねてみる 13
4 「対話」を生まない教師の言葉があることを知る 16
5 「困っている子ども」を大切にしていく 19
6 子どもから「わからない」という言葉を引き出そうとしてみる 21
7 子どもの様相に合わせて使う言葉を増やしていく 23
8 子ども同士をつなぐことを意識してみる 25
9 教師が説明すると子どもたちはどうなるかについて考えてみる 27
10 教師が説明をするのではなく子どもに話しかけてみる 30
11 何度言っても伝わらないときはその子どものやる気を価値付ける 32
12 多くの子どもたちに気を配ったり気を遣ったりする 34
13 発表者と聴いている子どもの両者へ言葉をかける 36
14 子どもたちのせいにせず自分を振り返ってみる 38
15 教師も「わからない」と言ってみる 40
2章 授業の型を変える 41
1 子ども同士の人間関係を考える 42
2 かわいい子どもたちに自由に交流をさせてみる 44
3 子どもたちが困るタイミングについて考えてみる 47
4 “型”よりも“子ども”の方が大切だということを思い出す 49
5 「ペア学習」を仕組むタイミングと教師の意図について考えてみる 51
6 ノート指導は子どもたちへの“言葉かけ”を考えてみる 57
7 授業を途中でとめ"続き”を考えてノートに書かせてみる 62
3章 教材を変える 67
1 教師も“算数を楽しむ”という思いで変えてみる 68
2 形や数値を変えて考えてみる 70
3 観点を変えて考えてみる 72
4 付け加えて考えてみる 74
5 学年を越えて考えてみる 77
6 答えがいくつもある問題をつくる 79
7 答えがたくさんあるように見えて1つしかない問題をつくる 81
8 答えがない問題をつくる 83
9 問題の提示の仕方を変える 85
10 子どもの言葉から問題をつくる 87
11 かくし方を考えてみる 91
4章 展開を変える 93
1 ある場面でその先がどうなるかを考える 94
2 子どもたちが何を考えているのかわからないときは…… 98
3 「調べましょう」ではなく、考えるきっかけをつくる 102
4 子どもたちに根拠を尋ねることも大事 106
5 「きまりが見つかった人?」とは言いたくない 110
5章 授業を変える 115
5年「三角形の面積」の授業改善記 116
1 はじめての実践 「発問を変えてしまい失敗」 121
2 2回目の実践 「なかなか本題に入れない……」 124
3 3回目の実践 「子どもの問いは生まれたが……」 133
おわりに 137
著者紹介 139
わたしは、算数の授業を子どもたちと創っていきたいと思い、日々悪戦苦闘しています。子どもたちが笑顔になるために、算数の授業をどう創っていけばよいのか、ずっと困ってきました。今も困っています。
ある日の算数の授業のことです。女の子が伝えたいことを言った後、2種類の声が聞こえてきました。
「ああ、そういうことか」
「意味わかんない」
という2種類です。わたしは子どもたちの声を聞いて、笑顔で次のように言いました。
「今2つの声が聞こえたよ。『ああ、そういうことか』『意味 わかんない』
の2つ。意味わかんないっていう人?」
下の写真をご覧ください。1年生の子どもたちは実に素直ですね。ほとんどの子どもたちが手を挙げました。「わからない」と表現することは悪いことではありません。我々教師は、わからないことをそのままにしてしまう子どもを育ててはいけません。子どもたちの表情を見て、立ちどまりながら少しずつ進んでいくとよいのです。
女の子は言いたかったことを言ったのですが、ほとんどの子どもたちが「わからない」と手を挙げました。
さて、この後、教師は何と言えばよいのでしょうか。迷ってしまいませんか。ひょっとしたら、何も迷わずに子どもの代わりに教師が説明してしまうこともあるのではないでしょうか。
わたしはこのとき、
「もう一回がんばってみる? みんなに『ここまではわかる?』って聞きながら、言うといいと思うよ」
と言いました。この女の子にがんばってほしかったからです。自分の声で、自分の力で、教室にいる仲間たちに自分の考えを伝えてほしかったからです。