編集部から、お薦め本、編集にまつわる話、著者の姿など、読者のみなさんへのメッセージです。

かかわる・育つ 子どもを見る目が広がる保育事例集


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高梨珪子・塚本美知子 編著
A5判 200頁 税込定価 2,100円


保育者としての成長

いい保育者とは、いったいどういう保育者なのでしょう。遊びをたくさん知っている人でしょうか。子どもの話をよく聞く人でしょうか。子どもに好かれる人でしょうか・・・。そのどれもが大切なのだけれど、「これ」と一つに決めることのできない、答えのない問いなのかもしれません。

 以前、幼稚園の園長先生からこんな話をうかがいました。ある日の朝、Aちゃんが保育者のところに寄ってきて嬉しそうに「今日ね、おごちそう食べに行ったの。」と言ったそうです。きっと、「昨日の夜食べに行った」か「今日食べに行く」ということをAちゃんは伝えたかったのでしょう。若い保育者は「昨日?」と問い返したそうです。一方ベテラン保育者は「おいしかった?」と聞いたそうです。どちらが正しいというわけではありません。しかし、否定せずして話を広げる、ベテラン保育者の返しは絶妙だなと思いました。
 この若い保育者とベテラン保育者の違いは何なのでしょう。それが、本書を作る際に強く意識したことでした。その違いが、保育者としての成長を考える上でのヒントとなるような気がしたからです。

 事例集と聞いて思い浮かぶのは、「こんなことがありました。こういう対処をしました。反省点は〜〜です。」というスタイルです。しかし、本書は各事例について3つの観点から、子どもとその保育の場をとらえているのが特徴です。答えのない保育実践においては、「今日はこんなふうにしてみたけれど、別のやり方だったらどうなったかな」と違う視点を取り入れていくことがとても重要だからです。3つの観点のうち、2つはその事例の実践者、1つはまったく別の保育者によるものとなっています。
 本書を読んで、「自分ならどうするだろう」と考えてもらいたい、そして自身の保育を見つめ直してほしい、というのが編著者の願いです。書名の「かかわる・育つ」には、子どもが関わり合って育っていくという意味ももちろんですが、保育者が子ども・保護者・ほかの保育者と関わって育っていく、そういう意味も込められています。
 本書に出てくる子どもは、どこにでもいるような子どもたちばかりです。仲間同士で読み合うもよし、一人で読むもよし、本書を通して子どもを見る目を広げてみませんか。

聞き手参加型の音読学習




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寺井正憲 編著
B5判 130頁 税込定価 2,100円

聞き手参加型音読の世界へようこそ!

 編著者の寺井先生が、打ち合わせのときに絵本を持ってきてくださいました。そして「参加型音読の実演をします!」とおっしゃって、実演会が始まりました。絵本は『よかったねネッドくん』。この本は、ページをめくるごとに「いいこと」と「大変なこと」が見開きで交互に出てきます。「いいこと」のページはカラフルですが、「大変なこと」のページはモノクロになっていて、ひと目で雰囲気がわかります。そんな『よかったねネッドくん』を使っての実演です。
 「私が手をパーにしたら、『よかったね』と言ってください。私が手をグーにしたら、『たいへんだね』と言ってください。それでは始めます。」という先生の声に、それだけでこちらも楽しくなって、つい笑みがこぼれます。

(先生は、絵本を開いてこちらに見せながら声に出して読んでいます。)
【先 生】あるひ、ネッドくんにてがみがきた。
「びっくりパーティーにいらっしゃい。」
    (手をパーに)
【聞き手】よかったね。
(ページをめくる)
【先 生】でも、パーティーはとおいとおい。フロリダでやるんだって・・・・・・。
    (手をグーに)
【聞き手】たいへんだね。 ・・・

 絵本を読んでもらいながらこちらも絵を見て参加する、一見単純に思える活動ですが、参加してみると、自分がその絵本の世界にひきこまれ、強く共感していることに気づきます。また、聞き手である私は、先生の仕草や言葉を丁寧に感じ取ろうとしていたように思います。参加型音読の魅力の一端にふれた実演会でした。

 誰もがきっと経験したことのある音読。しかしそれは、一方向的な活動だったのではないでしょうか。そして、「話す」と「聞く」とが分断され、聞き手への配慮が十分ではない活動だったのではないかと思います。一方、聞き手参加型音読は双方向的な学習活動です。話し手と聞き手、両者による創造的な営みとしての音読なのです。そこでは、楽しく参加してもらえるよう工夫したり聞き手の様子に目を配ったりする「思いやりある話し手」と、話し手の言葉に集中して積極的に働きかけようとする「思いやりある聞き手」が育っていきます。これはまさに、コミュニケーションの核となるものです。
 
 2008年に告示された小学校学習指導要領(国語)では、「読むこと」の指導事項として音読が全学年で取り上げられています。子どもたちが文章の内容を理解する過程に、音読は欠かせないものなのです。しかし、ただ「読まされる」「聞かされる」というのでは意味がありません。その点、聞き手参加型の音読学習では、指導事項をしっかりとおさえつつ、子どもたちの充実した活動が期待できます。
 本書を読んでいると、編集者である私さえ「私もやってみたい!」と思えてくるほど、子どもたちの表情や活動の豊かさが伝わってきます。また、「こんなに簡単にできてしまうんだ!」という発見もあります。
 ぜひ本書を手にとって、聞き手参加型音読の世界にふれてみてください。


☆関連書籍のご案内☆
 聞き手参加型音読は、「語り」(ストーリーテリング)から発想を得ています。「語り」のよさを生かして教育現場での実践に応用したものが、上記でご紹介した聞き手参加型音読です。「語り」については、以下の書籍をご参照ください。

○ことばと心をひらく「語り」の授業(寺井正憲・青木伸生 編著)
*現在在庫切れです。大変申し訳ございません。

@『詩と遊ぶ1年生 わたしは ぱちぱちはなび 
A『詩と遊ぶ2年生 ぼくはでぶだぞ! 
B『詩と遊ぶ3年生 カレーライスほっほっほ 
C『詩と遊ぶ4年生 ちょうしんきおばけ 
D『詩と遊ぶ5年生 不思議な不思議なクレヨンのお話
E『詩と遊ぶ6年生 風に命をあずけたの』












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卯月啓子 著
A5判 各110頁前後   各税込定価 1,365円

「自由」と「自然」の中で伸びゆく小さな詩人たち

 卯月先生は、打ち合わせにいつも授業のアイデアや子どもたちの作品を持ってきてくださいます。ある日、B4判の淡い色紙(いろがみ)の束をお持ちになりました。そこには3年生の子どもたちが綴った詩と、それぞれ詩に合う絵がありました。1枚に1作品、色とりどりの紙が重なり、厚さにして3cmぐらいはあったでしょうか。私は、「こんなにも表現がたくさん生まれるんだ!」と驚いてしまいました。

「子どもってこういうのいっきに書いちゃうのよ。一人でいくつも書いたりして」と、先生は楽しそうに話されます。そして、中から一枚取り出して、「これはね・・・・・・」「この子はね・・・・・・」などと、詩が生まれてくるまでの話をしてくださいます。すると、同じ詩でもまた違った味わいとなり、心に染みてきます。それと同時に、先生がいかに一人一人の子どもと向き合って、詩の背景までまるごと含めて一つ一つの詩を受けとめているかが伝ってくるのです。

「詩の指導」というと、どのようなイメージが湧くでしょうか。「詩人の詩を味わわせるにはどうしたらいいだろう」「どうしたら子どもたちに詩を書かせることができるだろう」と悩む先生も多いはずです。また、詩はどうしても、子どもたちにとって「書かなければいけないもの」になりがちです。さらには、「いい詩を書かなければ」という意気込みさえ生まれることもあります。でも、気持ちが窮屈になればなるほど、子どもたちは書けなくなります。

卯月先生の教室では、子どもたちが伸び伸びと詩を書いています。それは学習に「自由」と「自然」があるからではないかと思います。例えば桜が美しく散りゆく日、大雨で校庭が大きな水たまりになった日、セミの大合唱を聞いて海に行きたくなった日、稲穂にとまるトンボに出会った日、大きな雪だるまをみんなで作った日・・・・・・などに、自然にどっぷりひたってから、子どもたちは詩を書きます。卯月学級では詩の創作の前に必ずといっていいほど自然との深いふれあいがあるのです。そうして詩をたくさん書くと、家族や身近なことも詩に表していきます。理屈ではないところで、詩が生まれてくるのです。

 先日、新しい学習指導要領が告示されました。「国語」では、詩を読んだりつくったりすることが、中学年以上の指導事項や言語活動として明記されています。

本シリーズの子どもたちは、詩人や友達の詩を読んだり、自分で詩をつくったり、皆の詩を読んだ感想を述べ合ったりということを、まるで生活の一部のように行っています。

 「ただでさえ授業時数が少なく、教えるべきことがたくさんあるのに、詩の指導なんて・・・・・・」と言う前に、ぜひ本書を開いてみてください。本書には、詩の指導のアイデアやヒントと、子どもたちの伸びやかな作品がたくさんつまっています。

 「堅苦しいことはぬきにして、ほっと一息つきたい」という方も、子どもたちのほほえましい作品にぜひふれてみてください。詩と遊んでいる子どもたちの姿から、きっと元気をもらえるはずです。

卯月先生の授業実践をまとめた本は他にも多数あります!ぜひご覧ください。

☆卯月啓子先生の最近の書籍

楽しい国語1 漢字と遊ぶ、漢字で学ぶ
楽しい国語4 翻作法で楽しい国語
楽しい国語5 作って演じて楽しい国語―ことばが生きるプロジェクト単元―
子ども漢字百景
新人先生待ったなし!
ことばがおどる2年生

聞き手が育ついい話―教師の短話集―


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笠原登 著
A5判 196頁    税込定価 2,310円

「教師こそ言語環境」への共感〜編集うらばなし〜

 本書の前文タイトルでもある「教師こそ言語環境」。笠原先生がずっと胸に熱く抱き続けてこられた思いの結晶であるこの言葉に、あらためてはっとさせられる人も多いのではないでしょうか。本書は、授業実践編まで含めて69話のいい話と、それぞれその話を子どもに聞かせた後の交流(実践余話)とで構成されています。まさに、「教師こそ言語環境」を具現化した実践そのものが見えてきます。

 笠原先生が自費出版された『教師の実践短話集 よい聞き手が育ついい話』をもとにした本書は、構成をがらりと変え、さらに新たな短話を織り交ぜました。もとの書を初めて拝読したとき、心がじんわりとあったまった記憶があります。短話自体がいい話であることもそうなのですが、その後に記される先生と子どもたちとの交流がなんとも素朴でみずみずしいのです。

 そんな心に残る出会いから始まった編集作業。時を経て、先生からの新しい原稿を拝見したり、先生と何度かお話をさせていただいたりする間に、先生の教育観の核のようなものが見え始めました。それは、第7部のタイトルでもある「自分色を生かす」ということです。短話を並べ替え、構成し直す作業は、すべてこちらに任せてくださった先生が、第65話「みんな同じはつまらない」は最後に入れたいとおっしゃいました。この短話は、国語だけでなく教育の根本を問う内容なのですが、先生らしい優しい語り口の、子どもに寄り添ったお話となっています。この実践の余話として、現役最後に受け持った子どもたちが成人する年に、その一人ひとりの二十歳の誕生日に着くようにハガキを送ったというエピソードが綴られています。一人ひとり異なる当時の「その子らしいよさ」を一つずつ、「自分色を生かす」というメッセージとともにハガキに書いたそうです。笠原先生ご自身も、生涯、自分色を生かした教師であり続けるのだろうなぁと感じられるエピソードです。

 また、先生は「学級は雑木林のようにあれ」という教育信条もお持ちです。「一木一草が異なるよさを発揮し合う雑木林―そういう学級土壌を耕しながら、私は自作の肉声短話を聞かせ続けた」とおっしゃっています。このお話から、表紙カバーに木々のイラストを入れました。波や風のような流れ(先生)が、木々(子どもたち)を包み込んでいるような、そんなイメージが込められています。

 本書は、心を豊かに耕す子どもたちの姿がとてもほほえましく、教育っていいなぁと思わせてくれます。ほっとひと息つける、そんな一冊です。

遊んで学ぶ授業シリーズ(全4巻)
@『ことば遊びで漢字の力をつける』 泉 宜宏 編著
A『ことば遊びで語彙を豊かにする』 藤田慶三 編著
B『文を書きたくなることば遊び』 今村久二 編著
C『声に出して楽しむことば遊び』 大越和孝 編著








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A5判 各190頁前後   各税込定価 1,995円

「どちらにしようかな♪」――だれもが口ずさんだことがあるのではないでしょうか。

 この「どちらにしようかな♪」は、地域によって続き言葉が様々です。テレビを見ていたら、この続き言葉について統計をしていて、「てんのかみさまのいうとおり かきのたね」が多いようでした。九州で育った私がうたっていた歌は、「うらのかみさまのいうとおり けっけっけーのけーのけーのけ」で、悲しいことに統計結果にはまったくあらわれてきませんでした。しかも、友人に聞いてみたところ、うたうときの音も違うのです。少し寂しいような、でも自分だけの歌があって誇らしいような気持ちにもなりました。

 それにしても、このような統計ができるほど、かつて子どもの頃にうたっていた歌というのは、私たちの体に染みついているものなんだなぁと改めて思います。大人になって、めっきり触れることがなくなったけれど、心の奥にずっと残って離れない、懐かしい歌や遊びがたくさん思い出されます。

 小さい頃のことば遊びは、だれかと一緒に遊んだ楽しい思い出とともに、ずっと記憶に残るものです。懐かしく幸せな気持ちを運んでくれたりもします。

 本シリーズは、言葉や漢字をたくさん覚えることよりも、「言葉で遊ぶ」「言葉そのものを楽しむ」ことに主眼を置いています。ことば遊びが、ドリルやワークのような手法ではなく、純粋に楽しむ遊びだからこそ、子どもたちの心を育み、言葉を豊かにしてくれるものだと考えるからです。また、友達や先生と楽しめることば遊びばかりなので、新しいクラスでみんながドキドキしているときにも気軽にできます。朝の会、帰りの会、ちょっとした空き時間に、楽しく言葉に親しめるような内容です。

 学力の基盤としての「言葉の力」が注目されています。本書を使って、心に根づく言葉を育んでみませんか。

幼稚園・保育所・認定こども園から広げる子育て支援ネットワーク


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蒲原基道/小田豊/神長美津子/篠原孝子 編著
A5判 324頁   税込定価 2,625円

「子育て」は「親育て」

 子育ては人間の営みの大事なひとつです。親は子育てをするなかで、ゆっくりと親としての成長をするものなのだそうです。かつての日本は、何世代もの家族との同居やご近所づきあいなどによって、親育ちを支えていました。

 しかし、現代の女性の生き方の多様化は「子育てはハンディキャップ」という"迷い"を生みだし、地域社会の変貌は核家族内での子育てを孤立化させています。また、父親の育児参加は、ワークライフバランスが重視される現在にあっても進まない状況にあります。このような家庭や地域の教育力の低下が叫ばれている今、幼稚園・保育所にとって「子育て支援」は必須の機能となり、さらに平成18年10月から制度が施行された「認定こども園」は、その中核を担うものとされました。

 本書では、「子育ち」と「親育ち」を支援していくために、幼稚園・保育所・認定こども園でできることをご紹介しています。まず、子育ての現状を探り、求められている子育て支援の在り方や保育者の専門性の育成について解説し、地域やNPOとの連携や、おやじの会などの全国で取り組まれている実践を紹介。幼児教育界を代表する執筆陣により、これからの子育て支援の方向性を示しています。

 私事ではありますが、これから子育てママの仲間入りをする予定の私にとって、本書に書かれている子育ての現状は、身につまされるものがありました。しかし、全国での取組は、その不安を拭い去り、安心して子育てを楽しむ勇気をくれるものです。全国の幼児教育関係者のみならず、子育て中のパパ&ママにも読んでいただきたい一冊です。
全学年・全内容を網羅した 図画工作の指導と評価−わくわく どきどき楽しい授業!


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板良敷 敏・阿部宏行 編著 
B5判 186頁   税込定価 2,940円
 

 本書は、図画工作の全学年・全内容の魅力あふれる授業を網羅しました。

 <実践編>では、提案のことばや評価の仕方、支援の工夫などを具体的に示し、実際の授業に生かせるようにしています。実践編の見方・使い方も具体的に示しています。これらの実践をいかに自分流にアレンジし、授業に生かすかが勝負だと思います。子どもの喜ぶ姿を想像しながら、授業づくりに取り組んでみてください☆

 また、<資料編>として多様な子どもの作品等をどのように評価していったらよいのか重要な手だてが掲載されております。難しい問題にやさしいことばで詳しく答えている【評価のQ&A】、領域ごとに具体例を提示した【評価規準一覧】等、授業者の悩みどころを集録。

 <理論編>では、評価について曖昧にとらえている部分を解決すべく、今までの学習指導要領の改訂とともに目標と内容の変換してきた経緯も踏まえてわかりやすく書かれています。

 内容がぎゅっと詰まっている本書は、図画工作の【実践と評価】本で他に類を見ません。<実践編>では、先生でなくとも子どもと一緒にやってみたくなる実践ばかりです。ぜひ、手にとって中身をご覧ください。授業者にとって納得のいく内容となっている弊社編集部イチオシの一冊です!

■ 関連書籍のご案内 ■

授業Cシリーズ
図画工作 みかたがかわる授業づくり   B5判・152頁   税込定価 2,415円
体育 いっしょにのびる授業づくり      B5判・140頁   税込定価 2,415円
音楽 からだで感じる授業づくり       B5判・148頁   税込定価 2,310円

新しい教育課程の展開
小学校 図画工作科基礎・基本と学習指導の実際  計画・実践・評価のポイント
                            B5判・146頁   税込定価 1,575円
算数「授業研究」再考 ―算数科授業づくりシリーズ11―


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全国算数授業研究会  坪田 耕三 著 
B5判 106頁   税込定価 1,365円

「学ぶ」こと 「教える」こと


 福沢諭吉が当時の教育への批判として明治22年に『文明教育論』に次のように書いています。
「今の学校の仕組みは多くは文字を教うるをもって目的となすものの如し、……いやしくも能く書を読み字を書くものあればこれを最上として、試験の点数はもちろん、世の譏誉もまたこれに従い、能く難字を解し能く字を書くものを観て神童なり学者なりと賞賛するがゆえに、教師たるものも、たとえ心中ひそかにこの趣を観て無益なることを聡といえども、特立特行、世の譏誉を顧みざることは容易に出来がたきことにて、その生徒の魂気の続くかぎりを尽くさしめ、あえて他の能力の発育に顧みるに暇なく、これがために、業なり課程を終えて学校を退きたるものは、いたずらに難字を解し文字を書くのみにて更にものの役に立たず、教師の苦心は僅かにこの生き字引と写字機械とを製造するに止まりて世に無用の人物を増したるのみ。……」(『人間のための教育』村井実 東洋館出版社より)
 これは、このまま今の教育界への批判にもなりそうです。計算ドリルがベストセラーとなり、多くの学校で取り入れられ、その計算の速さを競うような学習がされているという状況を見て、福澤諭吉はどのようにいうでしょうか。

 さらには、「教える」ことを批判して次のようにも書いています。
「たとえその一部分にても之を教えて完全ならしめんとするときは、かえってその人の天資を損ない活発敢為の気象を退縮せしめて、結局世に一愚人を増すのみ。」
「即ち学校は人にものを教えるところにあらず、ただその天資の発達を妨げずして能く之を発育するための具なり。……」(前掲書より)
 『学問のす々め』を著した福沢諭吉は、学問の重要性を説く先駆者でありましたが、「学ぶ」ことの重要性を指摘していても、「教える」ことを重要だとは考えていません。だから「教育の文字甚だ穏当ならず。宜しく之を発育と称すべきなり」とも記し、「教え育てる」ことより、子どもの天資を「発し育てる」ことの必要を説いています。

 それから100年以上経った現在でも同様の指摘がされています。
 筑波大学附属小学校の坪田耕三先生は「学校というところの存在価値を考え直さなければならないこともあろうと思う。いろいろな考えをもつ子どもが一緒になって学ぶところに学校での学びのよさがあるのに、それがなかなかうまく機能せず、ただ計算の練習のような技能訓練ばかりが算数授業だと大手を振って歩き出した感があるので危惧するわけである。考えることの面白さ、考えることの育成はどこへいってしまったのか心配である。」(『算数「授業研究」再考』坪田耕三 東洋館出版社より)

 なぜ、これだけの時間を経ても同じような議論が繰り返されるのでしょうか。それは、坪田先生が指摘するように、「教える」教師は「子どもは未だ知識の十分でない存在であり、教師はたくさんの知識の備わっている存在であるという考え方が大本にあって、表面的には子どもが活動していても、実際には教師から子どもへの知識の伝達になっている」ことに大きな原因があるのではないでしょうか。
 福沢諭吉の時代も、大久保利通が「日本の人民は残念ながら『無識文盲ノ民』であり『無気無力』である。だから非民主的ではあるがあえて専制的な政治上の方策をとって、必要な知識・技術を国民に教え込む『学校ノ制』を設けなければならない」と考え、その後の伊藤博文、森有礼へと受け継がれ、「教える」こと一辺倒の学校体制に具体化していったと考えられています。
 子どもを「無識」と捉え、「教え育てる」か、福沢諭吉や坪田先生のように「天資のある存在」と捉え、「発し育てる」か、その立場の違いが、「教える」ことと「学ぶ」ことのそのままの違いとなっているのでしょう。


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今、算数の授業で何が大切か  ―計算練習より考える力を―

企画編集・全国算数授業研究会  編著 
B5判 150頁  税込定価 1,890円

子どもが「なぜ」を考えることに面白さを感じられるような算数の授業をしたい。「なぜ」そのような計算をすればいいのか自ら発見的に学習させたい。算数本来の目標を見失わない「考える力」の育成を主張する。

 算数の「授業」は、どうなされるべきなのだろうか。
 しっかりと計算の答えが求められればそれでいいという人もいる。
 しかし、我々はそう考えない。
 分数のわり算は、なぜ後ろの数をひっくり返してかけるのかが納得されるようにしたい。円周率の直径に対する割合がいつも一定になっていることを発見させたい。それこそが円周率だと授業をしたい。
 そのためには、計算だけの訓練や、きまりきった型通りの「伝達型」の授業だけでは、だめなのである。目の前にいる子どもたちが先生と一緒になって新しいものを考えていく「創造型」の授業づくりを工夫しなければならないのである。
 先生の授業観を変えなければならない。
 「授業」は、先生の問題解決についてしっかりした哲学をもってこそいい展開ができる。
 本書は、今、算数の授業で何が大切かを問い、現在の算数授業の問題点を正面から指摘し、その改善策を語るものとなった。これは、全国算数授業研究会の理事の提案する理念である。
 (本書カバーより  全国算数研究会  会長  坪田耕三氏)
つまずきのある子の学習支援と学級経営
  

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吉田昌義・柘植雅義・河村 久・吉川光子 編著 
B5判 195頁  税込定価 2,940円

「自分の気持ちを話すことが苦手」「手先が不器用で、学習用具をつかった作図が上手にできない」「友だちとかかわることが苦手で、グループ学習では孤立しがち」。―

 誰にも苦手(つまずき)なものがあります。しかしそれがLD(学習障害),ADHD(注意欠陥/多動性障害),高機能自閉症といわれる軽度の障害によるものだった場合、それに対する支援や配慮というのは,従来のいわゆる「学習のつまずき」に対するものでは不十分と言わざるを得ません。
 事実、現在このような障害を抱える子どもは通常の学級1クラスに約6%の割合で在籍しているといわれ、様々な場面で十分な解決方法がみつからず,担任や本人はもちろん,保護者や学級全体の問題として対応に苦慮している実態があります。

本書では、そのような子どもたちに対してどのような配慮や支援をしていくべきかを細かく示し、第一線で活躍する先生方によるQ&A式の理論編,実際に現場にたち実践研究を進められている先生方による,学級経営・教科指導での事例編で構成されています。そして特徴的なのは「つまずく子ども」のみならず,「学級」「保護者」「学校職員」への対応の具体的な手立てまでも示したことです。

「個に応じた指導」が問われる今、つまずきに対する支援にその答えの一端があります。すべての先生・教育関係者に読んでいただきたい1冊です。

理科授業づくりシリーズ2
確かな学力を育む 理科教育の責任 ―「わかる」授業の構想から実践まで―

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益田 裕充 著        A5判  150頁  税込定価 2,100円

 確かな学力の向上を目指し、子どもの科学的な概念の深化・拡大を図るために授業をどのように創造すればよいのか、発展的な学習内容と授業とはどう構想されるのか、多くの視点から授業事例を示しています。さらに、全体を通しより具体的な研究の成果や実践事例の提を心がけたため、中学校で学習する14単元中10単元の内容について網羅しており、関連する小学校の2つの単元についても触れています。中学校理科の先生方に限らず、小学校、高等学校の先生方、教育関係者必読の書といえます。

T 「確かな学力の向上」を図るため、子どもの科学的な概念形成に影響するものは何か。授業をどのように創造すればよいのかの視点を示しています。

U 子どもの学びが深化・拡大するための具体的な考え方と授業を示しています。   「生きる力のひとつの側面として確かな学力をどうとらえるか」「子どもの学習はクラスの仲間との共同作業によって成立する」「ただひたすら発見せよという指導観の転換」「学習内容のスパイラル崩壊の問題に応えるためにはどうするのか」「小学校で学んだことは中学校で本当に無になっているのか」「知識の多様性に挑む」「理解と向き合う教材開発」

V 大きく動き出した教科書を取り上げ、最低基準を超える時間と内容を検討し、発展的な学習内容と授業とはどう構想されるのかを示しています。

理科授業づくりシリーズ1
子どもの感性がつくる理科授業 ―「考える」子どもを育む授業づくり―

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森本 信也 編著   A5判  142頁  税込定価 1,890円

能動的に学ぶことのおもしろさ、意味深さ、喜びを感じる理科授業とは?

この問いにヒントをくれる書です。キラキラ光る子どもの「たとえ」を、感性の現れとしてとらえ、子どもの感性に磨きをかけながら「考える」子どもを育んでいます。

「アリとカマキリどちらがすごい」「じしゃくのまほう」「折れた柿の木は考えなしか?」「軽くて便利な道具の仕組み:軽便(かるべん)?」「風を追いかけて天気を見る」「見えないものが見えてきた」・・・本書の理科授業に現れてくる子どもの表現です。生き生きと理科授業に取り組む子どもの姿を目の当たりにするでしょう。

学びに対する意欲を失いがちな現代の子どもの支援を考えるための試みを提案する実践書。理科関係者にとって画期的な書ではないでしょうか。

-森本先生の主な著作物-

小学校理科絶対評価の実際 5・6年 森本 信也 編著 \2,600
小学校理科絶対評価の実際 3・4年 森本 信也 編著 \2,600
論理を構築する子どもと理科授業 森本 信也 編著 \2,400
理科学習 小学校6年 角屋重樹・森本信也・村山哲哉 編著 \2,600
理科学習 小学校5年 角屋重樹・森本信也・村山哲哉 編著 \2,600
理科学習 小学校4年 角屋重樹・森本信也・村山哲哉 編著 \2,600
理科学習 小学校3年 角屋重樹・森本信也・村山哲哉 編著 \2,600
子どもの学びにそくした理科授業のデザイン 森本信也 著 \2,400
理科における授業研究の進め方 森本信也・稲垣成哲 編著 \3,300
子どものコミュニケーション活動から生まれる新しい理科授業 森本信也 編著 \2,427

魔女(まじょ)しゅくだい 〜よみ・かき・けいさん コピー資料〜小学校1年☆2年  全2巻



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鈴木美喜 編著 B5判  1年156頁  税込定価 1,995円
                   2年176頁  税込定価 2,100円

 すべての学習の基盤にある国語、生活の中で欠かせない算数。その入り口である低学年の基礎・基本をしっかり網羅した書。見開きで国語と算数が楽しめて、しっかり家庭学習の習慣も身につきます!

おうちで親子で1ページ

朝の学習に1ページ

授業の導入部分に1ページ

宿題に1ページ

毎日のことなので、1日1ページが適量です。

『まじょさん』の出す問題は、とんちのきいたものもあるので、まじょさんたちと一緒に親子でも楽しんで学べます。ぜひ、魔法にかかってみてください☆

漢字おぼえかたワーク」 小学校1・2年/3・4年/5・6年 全3巻





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帆足文宏(全国小学校国語教育研究会会長) 編著 
B5判 各120頁 税込定価 各1,995円

 ひたすら書いて暗記する。漢字学習にそんなイメージを持っている人は結構多いのではないでしょうか。「覚えること」は漢字学習の基本ですが、では、いかにすれば無理なくスイスイ覚えられるのか、そのヒントがいっぱいつまっているのが本書です。漢字の成り立ちを知って漢字は意味を持っていることに気付き、新しい漢字を想像してみる。仲間の漢字をさがし、共通点を見つける。そして、文章の中で実際につかってみる。そんな風に、主体的に考え、楽しみながら学んでいるうちに、いつしか漢字が自然に身に付いています。「暗記」ではなく「覚える」漢字学習、それが本書の最大の特長です。

「学ぶ楽しさを知ってもらいたい、そして、確かな学力を育ててほしい」そんな願いが込められたワークです。

■本書の特徴■

●漢字を楽しみ、考えながらつかうことで、「漢字の勉強って面白い!」ことに気づきます。
●「ときをあらわす漢字」や「似ている漢字」など、教科書提出順ではなく、漢字の性質ごとに単元構成を工夫。効果的に覚えられます。
●「漢字まちがいさがし」や「画数迷路」など、漢字に親しみながら、思考力・想像力・判断力・表現力が育ちます。
●見開きごとの自己評価欄で、自分の力を確認することができ、振り返り学習に役立ちます。
教えの復権をめざす理科授業

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川上昭吾 編著  A5判  150頁  税込定価 2,100円

 「総合的な学習の時間」が設置されて自主的な学びを行う時間が増える中で、中、高等学校では選択性が強化され、理科の時間数と学習内容が少なくなるというように状況は大きく変化している。今後、理科教育はどのような方向へとすすんでいくのだろうか。

 本書は、教師が有意味に教える理科授業を提案している。これは、機械的な暗記を強いる教育ではなく、現行小学校の学習指導要領で提案している「見通しをもたせる」ことを具体化したものである。

 観察しなさいと言われても何を見たらよいのかわからない子どももいる。有意味受容学習は、教師が問題解決に必要とする情報を与えていくことで、それらの点を補い、「わかるから、おもしろい!」を子どもに感じさせる学習方法である。さらに、この授業は教師が主導するため、授業時間の短縮が図れ、そこに発展学習を位置づけることで、学習指導要領で要求する以上のものを教えている。小、中、高等学校の授業研究がなされており、理科授業で確かな手応えを感じられる画期的な書である。
卯月啓子先生の授業がテレビで紹介されました。
教室に広がる詩の世界
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 小社でご執筆いただいている卯月啓子先生(野田市立南部小学校教諭)の授業が,NHK教育「教育フォーカス 授業・私の実践」で紹介されました。漢字を楽しく学ぶ授業で,「漢字でお経作り」と「名前漢字を知る」授業でした。「漢字っておもしろいんだよね,って思ってもらいたい」という卯月先生の言葉どおり,子どもたちが楽しみながら漢字学習に取り組みました。

「お経作り」は,自分が興味をもった本の中から漢字を集めて,リズムよく,お経らしく聞こえるように並べて,自分だけの「○○のお経」を作るものです。「色の名前のお経」「地震のお経」「外国の名前のお経」など,さまざまなお経をつくっていく中で,知らず知らずのうちに何回も漢字の書き取りをし,それらの漢字の読み方も書き方も覚えていってしまった子どもたちでした。

「飲みたくない水を飲ませることはできない。水を飲みたいと思うような状況をいかに作るかが,教師の役割だ」という卯月先生の主張は,国語だけでなく,学校生活すべての場面で生きています。紹介された「お経」も含め,さまざまな授業実践を書籍にまとめていらっしゃいますので,ぜひご参考ください。

卯月啓子先生の書籍

教室に広がる詩の世界

ことばがいっぱい 1年生
ことばがひろがるT
GHQ/SCAP機密文書 CIEカンファレンスリポートが語る改革の事実  戦後国語教育の原点

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桑原 隆/序・小久保 美子/訳・解
A5判  408頁  税込定価 4,725円

 第三の教育改革が叫ばれている。ゆとり教育が批判され,子どもたちの学力低下が問題となっている今日,教育のあり方について,もう一度真剣に考えなければならないのではないだろうか?

戦後占領下,アメリカ側からの指導・示唆によってなされた第二の教育改革については,その詳細がアメリカ側担当者によって記録され,機密文書として保管されていた。本書は,公開されたアメリカのGHQ/SCAP機密文書のうち,初等中等教育の改革に関わった9人のCIE係官によるカンファレンス・リポートの中から,国語教育改革に直接関わる約300枚について,報告書を再現する形で全訳したものである。係官たちと石森延男はじめ文部省の責任者や,関係者との間に繰り広げられた指示・示唆,およびそれへの葛藤・対応の様子が生々しく描き出され,戦後初期の国語教育改革の実相に迫ることができる。22年度および26年版『学習指導要領国語科編(試案)』の成立,第六期国定教科書の教材選定,プレ・プリマの編纂,教科書検定に伴う検定基準の設定などのほか,伝達講習会,指導者育成講習会等の運営に関わるものまで,多岐にわたった新教育の全貌が,今,初めて明らかになる。

 国語教育,占領研究の関係者はもちろん,「教育」に関心のあるすべての人に一読をすすめる1冊である。
滝井章先生の授業がTVで紹介されました。

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 小社でもご執筆いただいております滝井章先生の授業がNHK教育「教育フォーカス 授業・私の実践」で紹介されました。「オープンエンドアプローチの問題」と「分数のわり算」の授業でした。
 「分数のわり算」の授業では、初めから公式を与えるのではなく、子どもたちそれぞれが、自分の考え方で解き方を見つけていきます。中には、塾で公式を教わった子どももいましたが、その子も公式の意味を理解しているわけではなく、他の子どもたちとの話し合いの中で、公式の意味を理解していきました。
 滝井先生は、日頃から「授業がよくなれば、クラスもよくなる」と主張されています。子どもたちの話し合いの過程をみておりますと、授業のすばらしさだけでなく、子どもたちが普段から鍛えられ、育てられていることが、よく分かります。小社よりも、算数の授業づくりとクラスづくりとを関連された実践を書籍にまとめられています。
 滝井先生の授業をもっとくわしく知るために、次のような書籍がございます。ぜひご覧下さい。

滝井章先生の書籍

クラスを育てる算数授業
学級崩壊なんかこわくない!
小学校算数科 問題づくりの授業
素敵なクラスをつくるちょっとしたコツ 高学年
素敵なクラスをつくるちょっとしたコツ 中学年
素敵なクラスをつくるちょっとしたコツ 低学年
5分でチャレンジ算数のセンスを磨く
低学年から楽しめるひらめき算数道場
親子で楽しむ算数問題
土曜日の算数
頭がよくなるおもしろ算数玉手箱
少年犯罪の社会的構築 「山形マット死事件」迷宮の構図


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北澤 毅・片桐隆嗣 共著  四六判  288頁  税込定価 2,940円

 93年に山形県新庄市の中学校で起きた「マット死事件」。事実認定を巡って、裁判所の判断が二転三転し、3月の山形地裁判決は事件にかかわったとされる7人の少年のアリバイを認め、死亡した生徒の遺族の損害賠償を棄却した。
本書はこの特異な事件を題材に、断片的な情報からどのように「事実」が構成されたかを探る。膨大な資料を基に、死亡した少年や事件に関係したとされる少年たち、警察、マスコミの動きを多角的に検証している。ち密な分析で、真実に迫ろうとした良書だ。(2002年4月1日 毎日新聞より)

なぜ、誰もが納得できる「真実」へと到達できなかったのか?!改正少年法の大きな影響を与えた本事件を通して「客観的事実」とは何かを解読する。 「事件認定問題」をめぐって改正少年法に大きな影響を与えた「山形マット死事件」。なぜ、誰もが納得できるような「真実」へと到達できなかったのか。社会構築主義を駆使して、当事者たち(警察、マスコミ、裁判所、容疑少年、被害者遺族など)が、少年犯罪のとらえ方について新たな視角を提案する。
ジャック・ローラー −ある非行少年自身の物語−


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ショウ,クリフォード・R. 著〈Show,Clifford R.〉
玉井 真理子・池田 寛 訳

四六判  352頁  税込定価 3,465円

 少年をめぐる問題が多発しています。教育には、「不易」と「流行」があるように、少年の問題にも「不易」と「流行」があり、それを見極めて対応することが必要になると思います。
本書は、 ポーランド移民二世のスタンレーが、家出少年からやがては酒に酔った者を狙って金を奪う「ジャック・ローラー」となり、その間に幾度もさまざまな施設に収容されるが、少年を更正させるショウの試みにより「まっとうな」アメリカ市民へと再社会化を果たす「生きられた経験」が語られています。世界では、非行研究の領域での社会学の古典として注目されてきました。
日々少年と向き合う方々には、ぜひ読んでいただきたい1冊です。
授業者の風景 −椿の色はつばき色−


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正木孝昌 著   B6判  216頁  税込定価 1,890円

 正木先生は、筑波大学附属小学校の算数教師として活躍され、昨年3月退官されました。本書は、その正木先生が雑誌等に書かれた教育エッセイをまとめたものです。
 今まで出会ってきた先生、子どもたち、人々、日常のできごとなどが、「自分がものを考えたり、感じたりするとき、ずっと奥の方でそれを支えている風景」としてまとめられています。それは筑波大学附属小学校で34年間、常に子どもに正対し、授業に取り組んでこられた正木先生ならではの、「授業者の風景」そのものであります。教育に携わる方にとっては、どれも共感できるものであり、示唆に富んだものになっているでしょう。教師だけでなく、保護者や教育に関わるすべての人に読んでいただきたい1冊です。
 
 本書のサブタイトルでもある「椿の色はつばき色」には、正木先生らしいユニークなエピソードとともに「教師の価値観と子どもの価値観がぶつかるところ」への奥深い意味が込められています。その答えは、ここでは内緒です。知りたい方は、ぜひ本書をお読み下さい。
本書より
今朝の雨は小気味よく降っている。その雨の中を1年生の女の子がジュースの缶を大事そうに持って中庭を歩いていく。傘はさしているが、激しい雨に髪も靴もかなり濡らしている。「何をしているの」と聞くと、朝顔に水をやるのだと応える。真剣な顔が可愛い。もう一人の女の子が、これも缶で冷水機の水を受けている。冷たい水を朝顔にかけてやるのだという。自分が飲んで気持ちいいから、朝顔さんもきっと冷たい水が好きだろうと考えたのにちがいない。笑うなかれ、子どもたちの優しさが溢れているいい風景だ。
 でもふと考えた。これは、子どもと朝顔の話だから、微笑ましい光景だと温かい気持ちで見ていることができる。もし、これが大人だったら笑い事ではすまされない。
 朝顔に水を遣る話ではない。私たちが子どもたちのためだと思って、一生懸命考えてやっていることが頭に浮かんだのだ。例えば計算練習を子どもたちにやらせる。決していい加減な気持ちではない。真剣に子どもたちのことを考えてのことである。しかし、それが雨の日に朝顔に冷たい水をかけるような行為ではないと言い切れるだろうか。
 雨は降り続いている。二人の女の子は無心に花の世話をしている。梅雨明けはまだ遠い。

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