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近年、学校での働き方改革が広く叫ばれています。新年度は、自分の仕事を見直して、新しい意識や方法で取り組むのに絶好の時期です。そこで東洋館出版社では、新年度からの働き方をスマートにするための秘訣を、4人の先生方からうかがったお話をご紹介したいと思います。

第2回は、今年の3月に『できる教師のTODO仕事術』を刊行した、栗田正行先生。現役の高校教師として、これまで「時間術」「仕事術」に関する書籍を多数刊行しています。

また、教師として働きながら、2人の子どもの父親として子育てに力を注いでいます。連続更新3000日を突破した「マロン先生の奮闘日記ブログ」では、幅広い内容をアウトプットしています。

(聞き手:東洋館出版社 編集部)

メリハリのある働き方を

——まずは、栗田先生の1日の過ごし方を教えて下さい。

簡単に言えば、7時30分~8時の間に出勤して、8時30分までに、身支度、授業準備、そして前夜に書いたTODOを再確認します。8時35分から、朝のショートホームルーム、授業があり、その合間に事務処理が入ります。その間も、TODOのチェックをこまめに行います。私は高校の先生なので、給食というものがありませんから、昼食の時間もTODOのチェックを行っています。その後、午後の授業、清掃、帰りのショートホームルームという流れです。

私は、週に3回(月・水・金)、フードカルチャークラブという、料理の同好会の指導を行っています。この指導は18時まであるので、同好会のある日は、退勤が19時頃ということになります。残りの2日(火・木)は定時に帰るように心がけています。

——メリハリがある働き方ですね。退勤後はどうされていますか?

平日は4パターンですね。①まっすぐ帰宅して家族と団らん、②カフェに立ち寄り、執筆や講演準備、③ジョギング・水泳など、④セミナー・勉強会に参加。退勤後の時間というのは、私のとって本当に大事にしているものなので、自分・家族に使うことが大前提です。まずは自分を満たさないと、周りも満たされないという考えなので、それを実践しています。

——今、話題になっている部活動ですが、栗田先生が、フードカルチャークラブという料理の同好会の顧問になったきっかけを教えてください。

もともと私は、陸上部の顧問をしていました。ある年、校長から「文化部」を立ち上げたいという意向があったので、私は自ら料理の同好会の「企画書」をつくって、校長にプレゼンをしたのです。その企画が通り、すでに8年目になります。「部活動に所属していない生徒に居場所をつくってあげたい」それが何よりの願いでした。一方で、生徒・教員の時間も大切にしたいという想いもありました。そのため、①活動日は必ず週3回、②テストや行事前などは、生徒の判断で休みを自由にとれる、③土日は活動しない、というルールをつくりました。どんなことでも時間をたくさんかければよいというものではないので、限られた時間でも生徒の満足度は高いと感じています。

——このような部活動の在り方もあるということを、先生方にも知ってもらえるといいですね。

「働き方」を変えたA7メモ

——栗田先生はこれまでA7メモによるTODOリストを毎日作成しているとのことですが、どのくらいの期間実践していますか。

おおよそ11年くらい続いていますね。はじめた当初は、やるべき仕事を忘れないようにと、単なるメモからスタートしたのですが、時間が経過する中で、現在のTODOリストの形式になりました。どうしてここまで続いているのかを考えてみたのですが、その理由は2つあります。1つは「シンプル」であること。仕事・プライベートを分けずにやるべきことを書いていくということです。もう1つは、「完璧を目指さない」ということです。1日抜けてしまったこともありますし、8冊目は洗濯物と一緒に洗濯機で洗ってしまったこともあります(笑)。

——効率的な働き方とTODOリストのつながりについて、どのように実感されていますか?

私の場合は、デイリーTODO(手書きA7メモ)とシーズンTODO(エクセル)を使い分けています。それぞれTODOリストを書き続けることによって、あることに気付きました。それは、TODOリストを書くことで、自然と自分の仕事のPDCAサイクルを回しているということです。

【TODOリストとPDCAサイクルとの対応】

  • PLAN(計画):TODOリストを書いて、仕事の計画を立てる
  • DO(実行):TODOリストをもとに、仕事をこなす
  • CHECK(確認):TODOリストを見ながら仕事の進捗を確認する
  • ADJUST(栗田流では「調整」としています):今日のTODOの進捗を見ながら、明日のTODOを調整する

自然とPDCAを回しているので、自分の仕事のやり方は改善されていきますし、その日の仕事の段取りも必然的に考えることになるので、効率的な働き方が身に付いていくということを実感しています。

時間を生み出すためのテクニック

——今、長時間労働で悩んでいる先生方が多い中、簡単にできる時短テクニックはありますか?

まず、どこで時間を短縮するのかということです。私は「事務処理」で時間を短縮すべきと考えています。今の時代、PCやタブレットなどの仕事も多いので、そういう仕事は時間を短縮できることが多いでしょう。その上で、次の4つのことは必ずすべきだと思います。①単語登録、②フォーマットをつくる、③サンプリングをする、④人に頼る。
①の単語登録に関して、私の場合はPCだけでなく、スマホにも同じ単語を登録しています。「たいおせ」と入力すれば、「大変お世話になっております」とどちらでもすぐに出てきます。②、③はできるだけ「新規」でつくることを避けるということです。④に関しては、「自分ができることを他の先生に教える」という姿勢をもつと、快く引き受けてくれることが多いでしょう。

——栗田先生は、自分一人の力など大したものではないと、常に発信していますね。

そうですね。どんな仕事でも、一人で完結する仕事というものはありません。先生の仕事も同じです。授業を行うのは先生ですが、生徒、同僚、上司、用務員さん、地域の方々など、多くの人の力で成り立っています。常に「助けられている」という感謝の気持ちをもち、「共助の関係」を築きあげることが、よりよい働き方につながっていくでしょう。
これこそが「チーム学校」だと思います。

——授業の内容を考える際に大事な「ねる」とはどういうことでしょうか?

アイデアというものは、その場ですぐ思いつかないこともあると認識して、「時間をおくこと」が有効です。そこで私は、授業内容のアイデアを「ねる」ということを実践しています。なるべく早めに授業準備をして、少しの間、その内容から離れます。そして、再度自分の授業内容を見直すことで、新たなアイデアを思いつくようにするというやり方です。これは、特に研究授業の指導案づくりの際におすすめの手法です。授業内容から一旦頭を離し、「寝る」間に「練る」というイメージです。こんな時間の使い方もあるということですね。

——最後に、働き方で悩んでいる若い先生方へメッセージをお願いいたします。

教育実習では、授業の仕方、指導案の書き方、生徒指導、保護者との関わりなどを学びます。しかし、働き方は学ばないでしょう。それは指導する先生も、それを学んでこなかったから。つまり、現在も自己流の働き方であることが多いのです。そのため、悩まれている先生方にお伝えしたいのは、教育書に限らず、仕事術の本を1冊でもよいので、読んでほしいということです。どんな本でも使えるテクニックが必ず1つはあります。それを実践するだけで働き方は変わります。「時間がないからこそ学ぶ」ということを意識してほしいですね。

教師の仕事の生産性を上げるため、TODOリストを教師の仕事どのように落とし込み、活用していくかその具体例を掲載。

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