リフレクション型国語科授業の展開 -問いをどのように立てていくか、その授業展開-

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リフレクション型国語科授業の展開 -問いをどのように立てていくか、その授業展開- - 東洋館出版社

これまでの国語科授業は、「教師による発問・応答型の授業」と言われるように、教師が発問することによって、子どもは発問に対する正解や最適解を導き出していくものだったといえます。
常に、教師からの発問によって授業が進められていくわけですから、そこでの子どもたちの姿は、どこか受動的で、主体的な読みの力が十分に育っているとは言い難いところがあります。

子どもたち自らが問いを立てて、学びを進めることができたら、どれほど主体的な読みの力が育つことでしょう。子どもたち自らが問いを立てることができるということは、教材の要所に目を向けているということであり、その問いをきっかけに学びを深めていくことができるということだといえます。

しかし、気を付けなければならないのは、ただ疑問に思ったところや分からないところを問いとして立てたとしても、問いをつくったという事実だけしか残りません。すると、読んだことの実感も湧かないですし、その問いが本当によかったのかという判断もつきません。

読み合いでは、「友達と話し合いたい」といった、対話を通した他者との交流が必要となってくるでしょうし、問いの評価では、問いそのものが本当に自分たちにとってよかったのか、その問いで新しく分かったことはどんなことがあったかと振り返ることも必要となってくるでしょう。

そこで、子どもたちによる「問いづくり→読み合い→問いの評価」を位置付けて展開しているのが、「リフレクション型国語科授業」です。

今回は、物語を例に、どのように問いを立てていくのか、問いづくりに焦点を当てて授業展開を紹介したいと思います。

では、具体的にどのように問いづくりの授業を展開していったらよいのでしょうか。私は次のように1時間を展開しています。

  1. 感想を交流する
  2. グループで問いをつくる
  3. 問いについて話し合い、決定する
  4. 問いづくりについて振り返る

では、解説を加えながら、具体的に授業展開について紹介していきます。これは基本的な形であって、発達段階や子どもの実態に応じてアレンジしていただけるとよいかと考えます。

物語の授業の導入では、教師の範読から入ることもあります。例えば、範読後に次のように子どもたちに発問します。

「読んで気になったところはどこでしたか?」
「どの登場人物が気になりましたか?」

つまり、学びの土台づくりです。

「気になったところはどこでしたか?」の発問の通り、「どこ」を聞いているわけですから、子どもたちは「ここ!」と場面を示し、表現してきます。もしかしたら、ページで表現する子どももいるかもしれません。子どもたちの発達段階や学びの状況、教材によっては、「物語を読んで、いいなあと思ったところはどこ?」「不思議だなと思ったところはどこ?」と言い換えてもよいでしょう。

また「どの登場人物が気になりましたか?」では、「人物」を聞くことによって、人物の変化や人物像についての話題になります。しかも、「どの登場人物が?」と「どの」を聞いているわけですから、「この人物!」と子どもは選択することができますから、考えやすいのです。

ここでは、「場面」と「人物」に焦点を当てた発問による感想の交流ですが、様々なバリエーションを組み立てることができますし、こうして感想を交流することによって、物語全体を読むことができます。

問いづくりでは、小グループで問いをつくっていきます。このときのグループは、基本的には4人で編成しています。子どもたちの対話による交流が活発になるからです。グループの人数が5人や6人だと、話し合いの際に発言できない子どもの割合が増えてきます。

また、グループには画用紙やホワイトボードなどを準備します。これらは一人ひとりには配らず、グループに1つだけとしています。グループ間の対話による、相互交流という観点からです。例えば、一人一枚ずつワークシートを持っていると、話し合うことよりも一人で書き記すことが優先されてしまいます。
この時の教師の役割は、グループの中の話し合いの様子を見守りつつ、話し合いが進んでいないときにはグループに入って「今、どんな話題になっている?」「どんなことを友達と話し合ってみたい?」と語りかけながら、話し合いが促進するようにしていきます。

4人組の小グループで立てた問いは、画用紙に書いていきます。私は八つ切り画用紙を使用します。なぜなら、その後に黒板に貼って問いを検討する際に、仲間分けしたり、移動したりするのに使いやすいからです。

4人組の小グループで立てた問いが画用紙に書かれ、それが黒板に貼られると、まずはそれを読み上げていきます。そして、次のような形で進めていきます。

「これってどういうこと?」と、詳しく聞いてみたい問いはありますか?

子どもたちが立てた問いの中には、どういう意味で書いたのか、どんなことを考えたいのか、他の子どもたちが捉えにくいものもあります。「詳しく聞いてみたい問いはない?」と問うことで、その問いがどこに目を向けて、何を問おうとしているのか、その意味について共有を図っていきます。

まとめられそうな問いはありますか?

一つひとつの問いを教師が読み上げていく中で、子どもたちからは「同じだ」「まとめられそう」という発言が上がってくるでしょう。問いをまとめることを通して、分類整理をしていきます。その中で、「この問いで分かることはどんなこと?」と問うことで、問いの分類整理は促進されます。

どの問いで考えてみたいですか?

次の時間の読み合いで、どの問いで読んでいきたいか、考えていきたいかを問うものです。すると、「この問いで分かること」が発言の中に盛り込まれていきます。また、物語のどこに目を向けて考えていくのかを明確にしていくことができます。
その中で、それぞれの問いについて、「これは物語の終わりの部分(結末)に目を向けた問いだね」「これは中心人物の気持ちの変化に目を向けているね」というように、どこに目を向けているのかを教師の方で明示化していくのも一つの方法です。 
例えば、下に示す写真は、物語「ごんぎつね」で問いづくりを行った際の板書です。

写真1 「ごんぎつね」板書

ここでは結末の一文と、対人物である「兵十」に目を向けた問いが出てきています。子どもたちの発言やつぶやきを拾いながら、板書には「問いから分かること」や「どこに目を向けているか」を書き記しています。例えば、結末の一文に目を向けた問いの近くには「ハッピーエンドもあったのではないか?」と記しています。

どの問いから考えていきますか?

一見すると、先の「どの問いで考えてみたいですか?」と変わらない働きかけのように思います。しかし、こう発問することによって、子どもたちは「順序性」に目を向けていきます。この問いをやってみたいという意味で、子どもたちは、初めは意見を出していきますが、次第に「このAの問いを考えることで、Dの問いのことが次に分かる」という順序性、さらには「Bの問いを解いてもDの問いは分からないけれど、Dの問いを解けばBの問いも分かる」という問いの包含関係に着目し始めていきます。

この時の教師の役割は、子どもたちの発言や問い同士のつながりをもとに、関係付けを行っていきます。先に示した板書では、問いのつながりや関係付けを「→(矢印)」を使って書き記しています。「順序」を問うことで、一つの問いに決まっていくことが多いです。もしも決まらない場合、いくつか方法がありますが、「順序」を観点に一番多かった問いをまずは取り上げて考えることから始めるとよいでしょう。

授業の終末では、問いづくりについて振り返ります。問いについての話し合いの際に、「誰の一言が役に立ったか?」を問うことで、本時を振り返ることができます。また、「この問いで、次の時間はどんな話し合いになりそうか?」と問い、ノートにまとめることで、次の時間への学習意欲の高まりも期待できます。

本稿では、問いをどのように立てていくか、その授業展開を中心に紹介させていただきました。問いづくりは、古くて新しいといえます。問いづくりの活動自体は以前からもありました。しかし、学習者である子どもたち自身が問いを選択・検討したり、その後の授業展開において問いを評価したり、授業を学習者である子どもたち自身が省察したりするという授業展開はなかったといえます。 この、授業を振り返る、省察するという場面に重きを置いているという点で、「リフレクション型国語科授業」と呼んでいます。また、省察を効果的に実施するために「問い日記」という取り組みを中心的な言語活動として設定しています。


今回はリフレクション型国語科授業における「問いづくり→読み合い→問いの評価」の「問いづくり」に焦点化して紹介しました。単元導入時に取り入れることによって、子どもたちの学び方を変えるきっかけになればと考えます。「読み合い→問いの評価」の場面、さらに「問い日記」については、次回以降に紹介したいと思います。

〔引用・参考文献〕

石井英真(2020)『授業づくりの深め方 「よい授業」をデザインするための5つのツボ』ミネルヴァ書房

鹿毛雅治(2019)『授業という営み 子どもとともに「主体的に学ぶ場」を創る』教育出版

小山義徳、道田泰司編(2021)『「問う力」を育てる理論と実践 問い・質問・発問の活用の仕方を探る』ひつじ書房

田近洵一(1993)『読み手を育てる―読者論から読書行為論へ』明治図書出版

竜田徹(2014)『構想力を育む国語教育』渓水社

ダン・ロススタイン、ルース・サンタナ著/吉田新一郎訳(2015)『たった一つを変えるだけ クラスも教師も自立する「質問づくり」』新評論

松本修、西田太郎(2020)『小学校国語科 〈問い〉づくりと読みの交流の学習デザイン 物語を主体的に読む力を育てる理論と実践』明治図書

香月正登、白坂洋一(2022)「学習者側からの目標設定に関する実践的研究~国語学習意識の質的変化に着目して~」(第142回全国大学国語教育学会/自由研究発表資料)

白坂洋一(2022)「問い日記をつくろう!」(第85回国語教育全国大会(オンライン)/授業資料)

白坂洋一(2023)「リフレクション型国語科授業の展開 ―「ことばの学び」への自覚化を促し、学びを見守る伴走者としての教師の立ち位置 ―」(学習公開・初等教育研修会2022年度版/授業資料)

※本研究は公益財団法人 博報堂教育財団による第18回 児童教育実践についての研究助成を受けたものです。

白坂洋一(しらさか・よういち)

筑波大学附属小学校教諭

全国国語授業研究会理事/学校図書国語教科書編集委員/『例解学習漢字辞典』(小学館) 編集委員/「子どもの論理」で創る国語授業研究会会長

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