ChatGPTを活用した国語科授業 ─3年「すがたを変える大豆」の授業実践─

0 comments

ChatGPTを活用した国語科授業 ─3年「すがたを変える大豆」の授業実践─ - 東洋館出版社

ChatGPTとは、OpenAI社が開発した生成AIである。大規模なテキストデータを学習して、人間のようなテキスト生成や自然な対話を行うことができる。

では、小学校の国語科授業においては、ChatGPTをどのように活用していけばよいのだろうか。

結論から言えば、「言語表現に関する思考力や判断力」を育成するために、「ゆさぶり発問」としての教材提示に活用すればよい。

例えば、ChatGPTが生成した言語表現(文字化資料)に関して、学習者が批判的に検討をする。「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の授業で活用できそうだ。

ここでは、3年生説明文「すがたを変える大豆」の授業において、ChatGPTが生成した言語表現を「ゆさぶり発問」として活用した授業実践を紹介する。

「変身リーフレット」をつくろう

国分牧衛「すがたを変える大豆」(光村図書3年下)

第一次 「すがたを変える大豆」を読んで感想を書いたり、「変身リーフレット」づくりの計画を立てたりする・・・4+家庭学習(クラウド)
第二次 「変身リーフレット」をつくる中で、「すがたを変える大豆」の説明の仕方を読み直す・・・6(本時4/6)+家庭学習
第三次 「変身リーフレット」を紹介し合う・・・1+家庭学習(クラウド)

本単元は、学習材「すがたを変える大豆」の論理構造を活かして、自分が調べた食べ物や原料の変化を「変身リーフレット」という自作の説明文に書く学習である。学習者は「大豆が姿を変えるって、どんな食品があるのかな?」と想像しながら、その多様な姿に驚きをもって、本学習材を読み進める。

また、「変身リーフレット」をつくることを目的にして、「どのように書かれていたのかな?」と考えながら本学習材を読み直したり、自作の説明文を書いたりする。

この単元では、ChatGPTを使って生成した次の説明文「ChatGPT版すがたを変える大豆」と筆者によるその原文とを比較するようにした。

ChatGPT版 すがたをかえる大豆

  1. 大豆はさまざまな形に変わって食べられるんだよ。
  2. まずは「もやし」から始まるんだ。水や光をあてると大豆のたねからもやしが生えてくるんだ。もやしはサラダやいため物に使える野菜なんだ。
  3. それから「とうふ」の番だよ。もやしを使って大豆から作るんだ。とうふは白くてやわらかくておいしいんだよ。おみそしるやいため物に使えるんだよ。
  4. 次は「豆まきの豆」だよ。せつ分の時に使われるんだ。かたくなった大豆をかんそうさせたもので、悪いものをおいはらうと言われているんだ。
  5. それから「しょうゆ」の番だよ。大豆を発こうさせて作る調味料なんだ。おすしやおそばにかけたり、料理に味をつけるのに使うんだ。
  6. 「きなこ」もおいしいよ。大豆をひいたこななんだ。あまくて こうばしくて、おかしやおもち、アイスクリームにかけたりするのにぴったりなんだ。
  7. 続いては「に豆」と「みそ」だよ。に豆はおなべで大豆をにて作る料理で、お正月やお祭りで食べられるんだよ。みそは大豆を発こうさせて作った調味料で、おみそしるやお肉、野菜の味付けに使うんだよ。
  8. そして「なっとう」の番だよ。ねばねばしていて、ごはんにまぜて食べるんだ。体にいいせい分がたくさん入っているんだよ。
  9. 最後は「えだ豆」だよ。大豆をゆでて食べるんだ。皮をむいてお豆を食べるんだよ。夏にお祭りやバーベキューで楽しまれるんだよ。
  10. 大豆はいろんな形で楽しめるんだ。もやしやとうふから始まって、しょうゆやきなこ、に豆やみそ、なっとう、そしてえだ豆までたくさんの食べ方があるんだよ。

ChatGPTと筆者が取り上げる事例は同じにした。だが、その事例の順序は異なる。

筆者による説明文の事例の順序は、次のとおりである。

①豆まきに使う豆 ②煮豆 ③きなこ ④豆腐 ⑤納豆 ⑥味噌 ⑦醤油 ⑧枝豆 ⑨もやし

また、ChatGPTが生成した説明文の事例の順序は、次のとおりである。

①もやし ②豆腐 ③豆まきで使う豆 ④醤油 ⑤きなこ ⑥煮豆 ⑦味噌 ⑧納豆 ⑨枝豆

「ゆさぶり発問」として、後者のChatGPTが生成した事例の順序を提示し、前者の筆者による事例の順序と比較することによって、筆者が「読者の理解を想定しつつ」事例を分かりやすい順序で並べていることを解釈できるようにしたいと考えた。

「すがたを変える大豆」の事例の順序について話し合うことを通して、読者を想定した上での事例の順序に関する筆者の意図を解釈し、その観点で自分の「変身リーフレット」を読み直すことができる。

ここでは、図1の板書のように、「ゆさぶり発問」を「ChatGPTのよる事例の順序の方がいいのかな?」として、ChatGPTによる事例の順序を提示した授業場面について取り上げる。

図1 第二次4時の板書

なお、図1の時点では、「ChatGPT版すがたを変える大豆」の本文は見せていない。事例の順序を比較・検討することに焦点化するため、図1のように、ChatGPTによる事例の順序の写真だけを提示した。

以下は、児童(C)の主な発言である。

◆ChatGPTの事例の順序
C:最初にすごいの(もやし)と、最後にすごいの(えだ豆)を並べている。
C:最初(もやし)と真ん中(きなこ)と最後(えだ豆)で、知らなかったのを並べている。
◆筆者国分さんの事例の順序
C:分かりやすい事例からだんだん複雑になっている。理解がついていける。
C:読者に分かりやすい順序。
C:よく分かる事例(豆まきで使う豆、に豆)から、ビックリする事例(えだ豆、もやし)が続くと、ちょっとワクワクする。
C:似てる物同士で1つの事例にしている。
C:似てない物同士だと分からないけど、似てる物同士だと理解ができる。種類を分けないと読者が分からなくなる。

学習者の発言のように、筆者国分さんの事例の順序の方が、「読者にとって分かりやすい」順序になっている。「ゆさぶり発問」としてのChatGPTによる事例の順序を提示することで、筆者による事例の順序とそれを比較して、筆者による事例の順序の意図をより深く解釈することができた。

今回の授業実践では、ChatGPTが生成した言語表現(文字化資料)は、説明文の授業において、筆者の意図を解釈するための「ゆさぶり発問」として有効に機能した。今後は「話すこと・聞くこと」「書くこと」「文学的文章を読むこと」の授業での活用も試してみたい。

これからの生活においても、ChatGPTが生成した言語表現(文字化資料)を鵜呑みにするのではなく、批判的に検討した上で適切に活用することが重要である。生成AIを使う人間の「適切な判断力」が不可欠なのである。

〔参考文献〕

*1 桂聖「ChatGPTを活用した国語科の授業改善 —説明文授業における「ゆさぶり発問」に関する効果の検討—」『教育研究』、初等教育研究会 2023年11月 78巻11号

桂 聖(かつら・さとし)

筑波大学附属小学校教諭

筑波大学非常勤講師兼任/全国国語授業研究会理事/日本授業UD学会理事長/光村図書『国語教科書』編集委員/小学館『例解学習国語辞典』編集委員

コメント

No comments

コメントを投稿する
メールアドレスが公開されることはありません。
*は必須項目です。

あなたにおすすめの記事

よく読まれている記事