道徳科授業のつくり方

    道徳科授業のつくり方

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      Barcode: 9784491033952

      田沼 茂紀/編著

      $14.00

      著者紹介

      田沼 茂紀
      國學院大學教授
      新潟県生まれ。上越教育大学大学院学校教育研究科修了。國學院大學人間開発学部初等教育学科教授。専攻は道徳教育学、教育カリキュラム論。
      川崎市公立学校教諭を経て、高知大学教育学部助教授、同学部教授、同学部附属教育実践総合センター長。2009年より國學院大學人間開発学部教授。同学部長を経て現職。日本道徳教育学会理事、日本道徳教育方法学会理事、日本道徳教育学会神奈川支部長。
      [2021年7月現在]

      目次

      第1章 「主体的・対話的で深い学び」を実現する道徳科授業づくり

      新学習指導要領で育成を目指す道徳的な「資質・能力」とは何か
       1 新学習指導要領で道徳科はどう変わるか
       2 新学習指導要領における道徳科ではどんな「資質・能力」を育むか
      道徳科で実現を目指す「主体的・対話的で深い学び」とは何か
       1 道徳科で求める「主体的・対話的で深い学び」とは?
       2 どうすれば「主体的・対話的で深い学び」が実現できるのか
      道徳科における「見方・考え方」とは何か
       1 道徳的に「見る」「考える」とは何か
       2 道徳科授業では、なぜ「考え、議論」しなければならないのか
      教科等横断的な視点を取り入れた道徳科授業の考え方
       1 カリキュラム・マネジメントは道徳科の何を変えるのか
       2 道徳科授業構想を学習プロセスと学習評価の視点から考える

      第2章 道徳科授業における評価とは何か

      なぜ、道徳科授業で評価が必要なのか
       1 道徳科における評価を巡る課題
       2 個の道徳的学びを評価することのもつ意味
       3 道徳性評価と道徳的学び評価の違い
      道徳科の目標から道徳的学びの内容を明確にする
       1 道徳科で意図する個の「資質・能力」形成
       2 道徳での「資質・能力」形成の具体的な視点

      第3章 道徳科授業の評価をどう進めるか

       教科教育の視点から道徳科授業の評価を構想する
       道徳的学びを論理的・現実的に捉えることの意味
       教科教育学の視点から道徳科を捉える意義
       道徳科授業の評価を具現化するための方法論的検討
       道徳的課題探究型授業―パッケージ型ユニット

      第4章 パッケージ型ユニット(単元型学習)のカリキュラム・デザイン

      人格的成長イメージとしての価値達磨構想モデル
       1 感情コントロール層=実践力
       2 道徳的習慣・慣習形成層
       3 道徳的価値自覚層
      パッケージ型ユニットで道徳科授業づくり
      パッケージ型ユニットの構成方法と、その効果的活用
       1 課題意識の一貫性と学習プロセスの継続性
       2 共通の学習課題の継続性と発展性
      実際にパッケージ型ユニットでカリキュラムをデザインする
      パッケージ型ユニットのパターン

      第5章 道徳科授業の評価方法論的視点とそのフレーム

      道徳科授業の評価方法論的視点
      道徳科授業の評価を進めるための基本的なフレーム
      道徳科授業の評価活動を展開する実践的な視点
      道徳科授業の評価研究の今後の課題

      第6章 [子供が本気で語り、本気で学ぶ]道徳科授業の実践と評価の進め方

      [小学校第1学年]主体的に取り組み、考える授業の展開と評価の工夫
      [小学校第4学年]一人一人が自分の考えを表現できる場の設定を通した授業づくりと評価
      [小学校第6学年]親切、思いやりから広げる・広がる
      [小学校第6学年]キャリア教育「自分はどう生きる?」
      [中学校第1学年]「深く考え、議論する」授業展開と評価の工夫
      [中学校第3学年]「考え、議論する」道徳科授業と生徒の自己評価を生かした評価
      [中学校第3学年]「授業の振り返り」と「自己評価」による評価

          Description

          わかる!できる!たのしい!
          「主体的・対話的で深い学び」を実現する新しい道徳科授業(単元型学習)と道徳科評価の決定版!


          道徳科では、小学校では平成30年度、中学校では平成31年度より、他の教科等に先行して、新しい学習指導要領が全面実施されます。

          新しい道徳科授業では、はたしてどのような「資質・能力」の育成が求められているのでしょうか?
          分類して例示すると、次のように考えることができます。

          〈小学校で育成を目指す道徳的資質・能力〉
          ①日常生活のなかで他者と楽しく過ごすための道徳的な知識や理解力
          ②具体的な日常生活のなかにある道徳的な問題発見力や実践的解決力
          ③自分事として物事を考えるための道徳的な思考力・判断力・情報活用能力
          ④自分なりの道徳的な見方・考え方を働かせた表現力
          ⑤よりよく生きようとする道徳的意志力

          〈中学校で育成を目指す道徳的資質・能力〉
          ①社会構成員としての道徳的知識や理解力
          ②社会生活上の道徳的課題や問題発見力とそれを実践的に解決する問題解決能力
          ③道徳的問題や諸課題を的確に思考・判断する力や解決のための情報活用能力
          ④道徳的なものの見方・考え方を肯定的に表す表現力
          ⑤よりよい道徳生活実現への道徳的意志力と道徳的実践を可能にするメタ認知力

          こうした資質・能力が育成されるためには、道徳科としての授業改善が欠かせません。
          道徳科授業改善のキーワードは、子供の側からすれば「受動的学習者(passive learner)から能動的学習者(active learner)」への転換であり、教師の側からすれば「教授(teaching)から学習経験の創出(learning)」への授業づくりの転換です。
          こうした発想を転換した具体的な取組が「主体的・対話的で深い学び」に向かっていくのです。

          新しい学習指導要領は、どの教科等においても課題解決学習を求めており、その充実するためには、教授・学習プロセスの構築が欠かせません。すなわち、「学習プロセスの質的改善」が求められているのです。

          このように、学習プロセスを質的に改善し、「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、これまでの1時間で完結する授業スタイルだけでは難しいと言えるでしょう。

          そしてさらに、道徳科授業で大切にしたいことは、子供の道徳的なものの見方・感じ方・考え方を双方向的に対話し合うことで、個としての気付きを促し、道徳科で育成を目指す「知識・技能の概念化」を図ることです。

          この「概念化」こそ、新しい学習指導要領が最も重視されているものであり、また同時に「それが子供のどのような姿なのか」がイメージしにくいものでもあります。
          なぜなら、子供の内的な学びの実態をそのままの形で可視化することはできないだからです。

          そこで、本書が提案するのが、道徳科パッケージ型ユニット(単元型学習)による授業展開であり、そこでの学習活動の見取りを子供自身の個人内自己評価と教師によるパフォーマンス評価によって、子供たちの学びの深まりを読み解いていくことです。

           道徳科パッケージ型ユニット理論の基本的な考え方は、学習の主人公である子共たち一人一人が、自らの道徳的学びを意味付け、その道徳的価値を追求するための課題意識を明確化し、一貫した学びを提供することです。要約すると、次の3つです。

          《道徳科パッケージ型ユニット理論の基本的な考え方》

          ①道徳科学習課題の共有による協同的課題探究学習を軸とする。

          ②協同思考によって導きだした共通解(共有し合える望ましさとしての価値理解)を基に、個としての納得解(自らの価値実現への志向意思力)の紡ぎを実現する。

          ③テーマ課題探究を通して個としての道徳的資質・能力を高める。

           パッケージ型ユニットの目的は、道徳科授業を課題探究型の協同思考学習にすることにあります。

           道徳科授業では、スタートフリーな状態で、相互が協同思考活動を展開することで多様な価値観を受容・容認し合うこと、こうした学習プロセスを通じて互いに共有し合える価値を一定の望ましさとするという共通解の形成を目指します。

           さらには、他者との共通解が自分事として受け止められたとき、その子のなかに個としての納得解が紡がれます。これこそが、道徳科授業での個としてのゴールフリーな道徳的学びの成果であると言えます。

           このように、パッケージ型ユニット(単元型学習)によって、共通解と納得解を行き来するような学びを連続させることによって、多様な価値を内包した現実的かつ日常的な道徳課題と向き合える「生きて働く力」としての道徳性、すなわち「概念化された知識・技能」が培われるのです。

          Specifications

          • 読者対象: 小学校教員・中学校教員
          • 出版年月: 2017年8月10日
          • ページ数: 304

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