使える学力の育て方 すべての生徒が自学自走できる授業づくり

    使える学力の育て方 すべての生徒が自学自走できる授業づくり

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      Barcode: 9784491045269

      冨塚 大輔/著

      $13.00

      著者紹介

      冨塚大輔
      東京都杉並区立中学校教諭
      1985年、福島県生まれ。東京の大学に進学。日本語教員を目指しつつ国語の教員免許を取得。卒業後は株式会社アドヴァンに勤務。東京本社にて総務部、営業部に所属。大手コンビニエンスストや大型商業施設等を担当する。営業職として活動しながら、新卒者の採用面接や新人研修を行ったことがきっかけで、育成に興味をもち、教員を志す。転職後は東京都中学校国語教育研究会に所属。2019年の全国大会で教科横断的な視点として授業実践を行う。教科間だけではなく学習が社会でどう生きるかを考えながら授業実践している。
      [2021年9月現在]

      目次

      第1章 中学校らしい授業の姿と使える学力のバリエーション

      授業の主役は誰か
      授業の手綱
      小学校との違いから見えてくる中学校の特性
      授業のゴール
      教師としての自信が、授業の視野を広げる
      授業の仕舞い方
      ワークシートと生徒の変容
      教科横断型授業の可能性への気づき
      中学校段階で鍛えるべき諸能力
      1 生徒が身につけるべき学力
      2 知識の応用と受験学力
      3 解釈力—インプットした情報を平易な言葉に変換できるスキル
      4 気づける力—既習の知識を使って発想できるスキル
      5 段落間の関係性を読み解ける力
      6 概念を砕く力—言い換えができるスキル
      プレゼン力の重要性
      将来、必要とされる能力の基礎をつくる
      1 生徒が「いままでにない教科」をつくる実践
      2 生徒の発表から見えてきたプレゼンする力の実態

      第2章 生徒が自学自走できる授業のつくり方

      単元をつなぐ—飛び石にしない
      説明的文章の単元のつなぎ
      モヤッとした気持ちが、問いとして残る
      学習に必要なつまずきと失敗
      1 あえて失敗させる
      2 失敗させる方法
      言葉をリフレッシュする
      生徒の学ぶ姿をイメージする
      授業ストーリーの立て方—山場はつくるが、満足させない
      学年を越えて単元をつなげる
      生徒の想定外の発言は拾い上げて使ってしまう
      指導案は一気につくる、なぜならそれが一番楽だから
      指導案を微調整するタイミング
      自らの授業を改善する
      1 指導案そのものの更新の必要性
      2 新学習指導要領改訂の骨子は、構造化と言語化にある
      3 主体的に学習に取り組む態度の評価
      4 見方・考え方の価値とむずかしさ
      5 見方・考え方を働かせるタイミング
      1時間の授業の終わりもスッキリさせない対話を活性化する方法

      第3章 1時間ごとの授業マネジメント

      目的先出し、1時間の授業展開は最後の工程から説明する置き石の授業
      弔辞を書く—置き石の授業展開例
      お散歩授業
      人物相関図—文章構成の必然性を見抜く思考ツール
      要約する過程を見せる実演指導
      時間と完成度
      英語の先生との教科横断型授業コラボ
      たまに「跳べ!」とも促す
      生徒を放牧する
      1 生徒が教師になる
      2 グループでの教師役
      教師は生徒の活躍を応援するオーディエンス

      第4章 使える学力を育てる実践

      掛詞は高級オヤジギャグ
      ラップを引き合いに出して学ぶ漢詩
      課題解決型の読書活動
      既習を生かすビブリオバトル
      もてる力を最大限に高めるプレゼン

      第5章 中学校教育にまつわるアレコレ

      教えない部活指導
      失敗を糧にして成長につなげる学級経営
      研究授業と協議会のもち方について考えてみる
      教師の意識を変えるコーチング
      教科の仲間で授業を見合う、他教科の仲間と授業をつくる
      定時で帰る—これからの働き方
      民間企業と同様に若手でも、校長になれるとしたら…

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        Description

        『使える学力の育て方』〜すべての生徒が自学自走できる授業づくり

        国語科の実践を例に挙げながら、生徒の「学力」が着実に向上する
        中学校の授業改善の具体策!

        「使える学力」とは何か

        物事を「知っている」ということと、知っていることを「使える」ということは、それぞれ明確に分けて考える必要があります。中教審の論点整理(平成27年)でも、「身に付けるべき知識に関しても、個別の事実に関する知識と、社会の中で汎用的に使うことのできる概念等に関する知識とに構造化される」と指摘し、新しい学習指導要領は「何を学ぶか」「何ができるようになるか」「どのように学ぶか」を重視しています。

        これらのことを踏まえて、私なりの解釈を述べさせてもらえば、「知っていることを使えてこその学びだ」ということです。また、知っていること同士をくっつけて新しい知識を得ていくことも抱き合わせで必要だと思います。
        実を言うと、受験学力も同じです。あまり意識されていないかもしれませんが、単純な暗記だけでは、入試を乗り切ることはできません。

        本書に登場する学力の具体は、いくつかの能力の掛け合わせによって高められていくものです。例を挙げると、「学習内容を解釈する力」「学習のゴールを見通す力」「概念を砕ける力」「プレゼンする力」(効果的なアウトプットで相手を納得させる力)です。それらを総称して、本書では「使える学力」と呼称しています。

        概念を砕く力—言い換えができる子

        私は授業中、3年生の生徒に向かって、次のように指示を出すことがあります。
        「じゃあ、今回は中学1年生用につくるから、中学1年生でもわかるように書いてね」
        これは、生徒が書いた論語の解釈を1年生に渡し、実際に読んでもらって意味がわかるかを確かめ合う実践です。

        3年生の誰が書いた文章なのか名前は伏せますが、1年生の教室に置かせてもらって読んでもらい、どれがわかりやすく、どれがわかりにくいかを投票してもらい、その結果をもとに3年生の授業を行います。

        (中略)

        また、私はRPGゲームの『ドラゴンクエスト』が好きなので、ドラクエで説明してもらうこともあります。「もし○○だったら〜」と、たとえ話を使った言い換えですね。

        以前、「走れメロス」の単元で「メロスは激しい怒りに突き動かされて、無謀な決断をした」という生徒の発言を受けて、「『無謀』とはどういうことか、たとえ話でわかりやすく説明してみて」と促したところ、次のように答えてくれた生徒がいました。

        「自分はスライムなのに、竜王を倒しに行くようなものだと思う」

        むずかしい言葉は、単に文節や単語を分解しても砕いたことにはなりません。相手が理解しやすい言葉への言い換え、相手がイメージしやすいたとえ話、比喩を行使することによってはじめて、概念は砕かれます。

        (具体の実践展開例は省略)

        最後に、「使える学力」について、留意すべき点を挙げておきたいと思います。それは、一人一人の生徒がこうした諸能力のすべてを一律に身につけなければならないわけではないということです。

        実社会に出ると、1から10まですべて自分一人だけで完結させる仕事はありません。(どのような職に就くかにもよりますが)基本はチームで仕事を遂行するはずです。そこには必ず役割分担があり、役割ごとに求められるスキルが異なります。

        「適材適所とは、異なる個性が噛み合うようにする組み合わせの最適化だ」とすれば、一人一人の人間がすべての能力を万遍なくもっているよりも、人によってもっている能力が異なっているほうが都合がよいのです。お互いに補完し合えるので、チームにとって望ましい結果につなげやすいからです。

        学校では、勉強もできる、運動もできる、絵も歌もうまいし、リーダーシップにも優れているといった、一人で何でもできる(総合力の高い)生徒のほうが、一つの能力に秀でている生徒よりも評価が高くなる傾向があります。それに対して、実社会で活躍する人たちは、「できること」の総合力よりも、個別の能力の精緻化こそ重視します。

        授業を通じてAくんは解釈力が上がっていく、Bさんは見通し力が上がっていくのでよいと私は考えています。教師としては、どの生徒にも確実に身につけさせなければならないベースとなる力があります。それらについては等しくつけながらも、プラスアルファのところは個別に伸ばしていけるような指導を心がければいいということです。

        本書では、ほかにも「ビブリオバトル」「漢詩ラップ」「置き石授業」「英語との教科横断」「掛詞ギャグ」など、一見すると奇をてらっているように見えて、学習指導要領や教科書にしっかり準拠しつつ、生徒の学力を着実に向上させる実践の考え方と方法を掲載しています。

        Specifications

        • 読者対象: 中学校教員
        • 出版年月: 2021年9月14日
        • ページ数: 232

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