子どもと創る「国語の授業」2019年 No.63

子どもと創る「国語の授業」2019年 No.63

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全国国語授業研究会/編

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<提起文より>

特集:あまんきみこ作品の新たな授業

 小学校国語教科書の物語教材と言えば、まず、あまんきみこ作品が挙がるだろう。光村図書・東京書籍・教育出版・学校図書・三省堂五社全てに、掲載されている。

複数社で採用されている定番教材の「白いぼうし」「きつねのおきゃくさま」「おにたのぼうし」の他に、「ちいちゃんのかげおくり」「名前を見てちょうだい」「夕日のしずく」がある。

 特徴は様々で、『車のいろは空のいろ』の短編連作の一部である「白いぼうし」、民話風創作の「きつねのおきゃくさま」、戦争児童文学の「ちいちゃんのかげおくり」、幼年絵本の「夕日のしずく」というように、実に多岐にわたる。どの作品も不思議なことがいろいろ起きるが、明確なファンタジー構造を持つのは、「名前を見てちょうだい」だけというのも、あまん作品らしさである。このように、一人の作家によるものとは思えないほど、作風に違いがあるので、教材の特性を生かした授業を構想するためには、一つ一つ教材研究が欠かせない。

 ただし、確かな共通点がある。それは、登場人物に対する柔らかな眼差しと読者の心を温める優しさである。弱い立場の者や悲しみを背負う者に寄り添う語りは、登場人物への同化や同情を誘い、読者の心にある優しさを導き出してくれる。従って、子どもたちの素直で純粋な感想を尊重しながら、読後感を生かした授業を展開することができるだろう。

 しかし、これまで、「松井さん」の優しさや、「ちいちゃん」の悲しみを強調する余り、教師の恣意的な読み、画一的な読みに陥ることが、なかったとは言えない。そこで、長く実践されてきた伝統的な方法から脱却し、新しいダイナミックな授業を創ってみてはいかがだろう。例えば、「白いぼうし」と他の作品を比較して不思議探しをするなど、複数教材を組み合わせてファンタジー教材の特性を読み比べることもできる。

新学習指導要領における「知識及び技能」の内容に「エ 読書に親しみ、いろいろな本があることを知ること」とあるように、読書活動の更なる拡充が望まれている。主体的な読者を育てるため、作品の良さを生かしつつ、「教材教える」だけでなく、「教材教える」授業に発展させたい。今号は、あまんきみこ作品の新たな授業化について論じていただいた。

笑う学校には福来る  教師になって以来わたしが常に掲げているモットーです。  子どもたちが学校で求められていること。それは、勉強や学校生活に励み、社会を切り開いていくための資質・能力を育むことです。  ただ、知識一辺倒の教育現場の中には、知らず知らずのうちに閉塞感を抱えている子どもが多くいると思います。それはいじめや不登校などの問題につながるだけではありません。場合によっては、その子の一生に関わってしまいます。  仕事、交友、娯楽。さまざまなシーンで笑いは人間関係を強固なものにしてくれます。でも、肝心の学校では、あたたかい気持ちになる笑いについて、教わったり実践したりできないなんてさびしい。  わたしは、子どもたちが笑顔に包まれ、元気いっぱいの学び舎を目指す中で、平成27年に漫才大会を国語の授業を基本として全校で行うことにしました。コミュニケーションが促進される以上に、言葉を扱う能力の向上を意図したのです。  手探りで始めてみましたが、子どもたちの反応は想像以上によく、素晴らしい大会に仕上がりました。NHKなどの各種メディアの方々も取り上げてくださり、全国から先生方が視察に来てくださりました。子どもたちが楽しんで学習に励んでくれたことはなによりですが、期待以上の効果を二つ実感しました。  一つは、学校全体の雰囲気が明るくなったこと。 「〇〇くん、そんな一面あったんだね」など、普段の生活では生まれなかった交流から友達の知らなかった魅力的な面を発見し、人間関係がどんどん深まっていくきっかけとなったのです。認め合える風土が生まれていました。  二つ目は、子どもたちの学力が総合的に上がったことです。舞台に立つ経験が少ない子どもたちは、学級での発表であっても、練習のときに、お客さんにどう見られたいかを入念に相談し合い、ネタを細部まで作りこむ様子は真剣そのもので、ときには教師も驚くくらい素敵なネタをつくっていました。  その裏側で子どもたちは、話合いの方法や、人の意見に耳を傾ける力を身に付けていて、国語以外の授業でも発揮されるのを目にするなど、学習の取り組み方が変わっていました。  相方や別のペアと話し合う「コミュニケーション能力」、ネタを作るために日常から面白い言葉や現象を見つける「情報収集能力」、ネタをさらに洗練していくための「文章構成能力」「語彙力」、作り上げたネタをしっかりとお客さんに届ける「プレゼンテーション能力」。  これら5つの創造力を駆使しなければ、教育漫才で笑いを取ることはできません。  逆に言えば、教育漫才によって、この5つの創造的な力が育まれるのです。  “漫才”というと、「人を小ばかにした笑い」や「下品、暴力的な言動による笑い」 も想像されて、忌避してしまう先生、保護者の方もいるかもしれません。  でも、子どもたちを見てください。著名な漫才の大会がテレビなどで放送された後は、学校中で披露されたネタをマネする声が聞こえてきます。漫才が大好きなの子が多いのです。  本書で、私の提案させていただく“教育漫才”は、 ①悪口などのマイナス言葉は使わない ②蹴ったり殴ったりする行為はしない をルールに、そうした漫才の教育上の弊害を取り除いて行います。  刺激的な表現を使わずに、「言葉の力」と「話し方(間やテンポ感)」だけで笑いを取ることは簡単なことではありませんが、しっかりとこの趣旨を説明することによって、子どもたちには「絶対笑わせるネタをするぞ」という熱い思いをもつきっかけに変容します。  漫才は難しく何もなしでは子どもたちでもいきなりはできません。でも、漫才に限らずできないことをできるようにすることが教育の基本だと思います。教育漫才は人に話す内容を考え、話の流れを整理し、発表の練習をして伝えるという、学習のための格好の手段です。最終的には、ゼロから何かを創造するために必要な能力を身に付けてほしい。また、笑い合える環境のすばらしさを感じてほしいのです。  本書ではこれまでの研究の成果を踏まえて、「カッコを埋めるだけでネタが完成するワークシート」や「要所での声掛け」、「子どもの実際の姿」など、教育漫才の学びを補助するテクニックを30点紹介させていただきます。特別活動の1時間や、ちょっとした休み時間だけでもさくっと使える仕様にこだわりました。  子どもたちに主体的に創造力を身に付けてほしいと思う先生だけでなく、特別活動のお楽しみ会で披露したいと子どもが燃えているので手伝ってあげたいなど、いろいろな場面で効果的に使えるものに仕上がったと思います。普段と違う子どもの一面や表情を見たいという先生のお力になれれば、こんなにうれしいことはございません。

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