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自分の学びに自信がもてる子ども - 東洋館出版社

自分の学びに自信がもてる子ども

ISBN: 9784491039107

東京学芸大学附属世田谷小学校/著

セール価格 2,310(税込)
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タイプ: 電子書籍

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商品説明

「学び続ける共同体」をつくることを目指す、
東京学芸大学附属世田谷小学校の教育理論と実践の集大成

本書は、「学び続ける共同体」としての児童・教員・学校をつくることを目指している、東京学芸大学附属世田谷小学校「学び続けるシリーズ」の第3弾です。

東京学芸大学附属世田谷小学校では、「学び続ける共同体」をつくりあげることを目標に、教育活動を行ってきました。
第1弾「子どもとともにつくる授業」では「当事者意識」「他者意識」を、第2弾「きく かたる かかわりあう 子どもたち」では「きく」「かたる」「かかわりあう」ことで「学びの様相を広げる」ことをキーワードに実践を紹介しました。
第2弾から3年が経過し、第3弾となる本書では、「自分の学びに自信がもてる子ども」の育成を取り上げました。

学びに連続性をもたせるためには、子どもが学びを振り返ったときに、広がりや深まりを実感できる学びをデザインすることが重要です。広がりや深まりの実感によって得た自信は、次の学びへの活力となるからです。
子どもに自信をもたせる学びを実現させる手立てとして、「個の学びのモデル」を作成しました。
            
この図は、下から上に向かって学びが進んでいく様子を表しています。学んでいくにつれ、「学びの拡張」や「ネットワークの広がり」によって学びの様相は拡散していきます。学びを広げていくことだけを目指すのではなく、学びを「収斂」させるところまでを一つの学びとして捉えたことが、今回の実践の特色です。
各教科・単元で「個の学びのモデル」を設定し、それに沿った授業を展開しています。そこには、一人ひとりの学びを見取る、教員集団の工夫が随所に見られます。

「学び続けるシリーズ」は第1弾の刊行からすでに6年が経ちました。
本書は、「学び続ける共同体」の姿を追究してきた東京学芸大学附属世田谷小学校の教育実践の6年間の集大成でもあります。そこには、現場の先生方の悩みを解決するヒントが必ずや隠されているはずです。

6 観察・実験の実施

 計画した観察や実験のねらいと位置づけが明確になり、予備実験や準備が終わると、いよいよ授業ということになる。観察や実験の授業での留意事項にはいろいろあるが、その主なものを以下に示す。
 ① 目的、ねらいを徹底させること
 ② 安全を第一に、危険防止に留意すること
 ③ 常に全体の進行状態をチェックすること
 ④ やり方が間違っているグループがないか、チェックすること
 ⑤ できるだけ全員の子どもに参加させること

(1)ねらいの徹底
まず、目的やねらいの徹底ということであるが、先生の頭の中では、当然のことながら観察や実験のねらいが明確になっている。それを子どもに十分徹底し、納得させることが観察や実験を成功させるための第一歩である。何を調べるために実験するのか、何を見いだすために観察するのかという目的意識をしっかりもたせることが、子どもにとっても満足できる結果をもたらす鍵になる。ひと通りの説明が終わって、「何か質問はないか、では始めよう」といったときに、子どもがすぐに席を立って器具や材料を取りに来たり、電源装置をコンセントにつないだりしたときは、その観察や実験に対する目的意識が確立されている証拠である。

(2)実験中の指示
観察や実験が始まれば、全体の進行状態はどうか、方法が間違っているグループがないか、危ないことをやっている子どもがいないかなどをチェックしながら、必要に応じて指示を出すことになる。
 しかし、観察や実験に夢中になっている子どもには、このような指示が聞こえにくい。必要なものは事前に徹底させておき、事故防止の注意のような場合は別として、実験中の指示はなるべく少なくしたい。そのかわり、実験中に先生が何かいったら、それはとても大切な指示である、すぐ静かにして注意を聞かないと危険なのだというようなことを、十分に習慣づけておく必要がある。

(3)机間巡視
観察・実験の授業のとき、机間巡視をこまめに行うことが大切だといわれる。しかし、ただ実験机の間をうろうろすればいいわけではない。先に挙げた観察や実験中の留意事項の確認など、しっかりした目的をもった巡回でなければならない。場合によっては教壇のところを動かないまま、各グループの様子を注意深く見回し、必要に応じて、そのグループのところに行って指導するという方法でもいい。
 例えば加熱や気体の発生のような危険を伴う実験の場合、あるグループで事故が起こると、その対応に気をとられて、全体への目配りが疎かになりやすい。ところが、このようなときには同じ事故が他のグループでも起こりうる状態になっている。まず全員に行動のストップを指示した上で、落ち着いて事故の処理に当たるような心構えをもちたい。机間巡視は回る道筋に沿った、いわば「線の指導」であるが、全体に気を配る「面の指導」も忘れてはならない。
 一方、机間巡視は個別指導のよい機会でもある。もちろん、観察や実験がうまく進むようにするのが本来の目的ではあるが、理科が好きな子どもには、やや程度の高い疑問を投げかけたり操作をやらせたりする、理科に興味のない子どもには、うまくいくようなヒントを与えたり手助けをするなど、子どもとのコミュニケーションを図るよい機会となるのである。講義中心の授業では難しい生活指導のようなものも、このような機会に取り入れてみたい。
 近年、個性・能力に応じた指導というものが強調されているが、子どもたちを別々の教室に分けて、違う教科を選択させるだけがそれではない。こうした毎時間の授業の中で一人ひとりの子どもに声をかけ、学ぶ喜びを与えていくのが本当の個性尊重なのではないかと思う。

(4)次の時間の準備
観察や実験の授業は神経を使うものだが、その合間にもう一つやらなければならないことがある。それは、次の時間の準備である。子どもの様子を見ながら、足りない薬品や壊れた試験管などを補充し、生徒が返却してくる器具を整理し、その授業が終わった時点で次の授業の用意ができ上がっていなくてはならないのである。そのためには、事前に片付けについて細かく指示すること、日頃からガラス器具の洗い方や器具の返却の仕方など、基本的な指導をしっかりやっておくことである。