若手卒業!少しレベルアップしてこだわった指導がしたい!

執筆者: 竹下志穂

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竹下志穂

竹下志穂(たけした・しほ)

【所属】

町田市立南第四小学校(令和5年度〜)

【経歴】

1,3,4,6年生の担任と外国語専科を2年、校務分掌では情報主任、研究主任を経験。初任時代、学級経営に悩みたくさんの本を読み勉強会に参加する中で、児童が前のめりになって学習したり、学級でのよりよい関係を作ったりするにはどうしたらよいかについて課題意識をもっている。「すべての子どもを算数好きにするしかけとしこみ」「困った場面をズバリ解決!指導術」等、6冊の編著に携わり、教科指導や学級経営について日々学び続けている。

毎日の授業や学校全体の流れに慣れてきて、日々悩みはありつつも、ある程度の基本が身に付いた時。「何か新しいことにチャレンジしたい。」「少しこだわりのある指導がしてみたい。」「本当に今の指導で子どもたちは力がついているのか。もっと力を付けさせたい。」「自分らしい指導法を見つけたい。」と、レベルアップしたいと感じている人におすすめの本をテーマにしました。

教育漫才を行うことにより、笑いを通して、ゼロから何かを創造する力(コミュニケーション能力・情報収集能力・構成力・語彙力・プレゼンテーション能力)を温かく育むことをねらいとしたテクニックが30個掲載されています。

教育漫才の導入、ネタ作り、発表、振り返りの一連の流れがテクニックの中に網羅されているため、「やってみよう」と思ったタイミングで、順を追って取り組みやすいです。また、テクニックだけでなく、そのテクニックを通してどんな力を育むことをねらいとしているのか、使うタイミング・こだわること、指導する際に気を付けたいこと、そして、児童とのやり取りの具体例が書かれていることで、ただ楽しいだけの活動ではなく、目的をもって児童に声を掛けることができます。予測される困りそうなポイントや、トラブルに繋がるかもしれない場面も想定し、実際の教師の言葉掛けの具体例が書かれていたり、穴埋めワークシートも付いているため、とてもわかりやすいです。

こんな先生におすすめ

楽しみながら、自分の考えや自分らしさを表現できる児童・様々なことにチャレンジできる児童・創造する力のある児童を育てたいと思っている人、毎日の生活にマンネリ化していて学級にあまり活気がないと感じている人、新しい取組をやってみたい人におすすめの1冊。4月の学級開きのタイミングはもちろん、夏休みや冬休み明けの学級経営の1つのスパイスとして活用するのもよいと思います。実際にこの本を読んでやってみた感想としては、学級の関係づくりに使うというよりは、学級の関係ができてきた中でさらに深めていく段階で使うのがよりよいと感じました。

作文を書くことを苦手とする子供たちのつまずきとその背景を踏まえ、作文を支援するための視点について書かれている。また、記録する文、説明する文、感想を書く文、物語文等、文種ごとの支援法についても詳しく紹介されています。

ただ書き方の指導法が載っているのではなく、どんなところで児童がつまずいているのかや、ねらいと手順が明確になっていることで、具体的な支援が分かりやすいです。文種ごとの身に付けさせたい力やよさも載っているため、1冊で低学年から高学年まで幅広く指導できる内容だと思います。また、読んでいる中で、教師の発問や児童の動き等、実際の授業場面が想像できる内容で、QRコードでワークシートがダウンロードできるのも魅力的でした。

こんな先生におすすめ

具体的な言葉で表現できる児童を育てたい、少しレベルアップした指導がしたい人におすすめの1冊。6年生の担任となり、卒業文集の指導をする中で、作文が書けない(苦手意識が強い)実態を目の当たりにし、日々の積み重ねの指導の大切さを痛感しました。もっと早くからこの本と出会い、1年間かけて指導したかったと感じました。隙間時間に使えそうな内容から、単元のまとめで使えそうな内容と幅広く多くの実践アイディアが載っています。1年間を通して系統的な指導するのにおすすめの1冊です。

「覚える」「移す」「数える」「見つける」「想像する」といった5つのワークで全148課題掲載されています。英語が未就学でも取り組める課題、日本語を使っても取り組める課題、そして英語を修学しないと困難な課題と3つのタイプがあり、ワークシートの使用例も記載されています。児童の実態と、使用用途に合わせて選ぶことができ、ちょっとした時間に楽しみながら英語に慣れ親しんだり、英語学習したりすることができます。

とにかく課題の種類が多く、コピーしてすぐに使えるのが魅力的です。自分では作れないような(作るのが難しい)デザインや、やり方がシンプルで豊富な問題は、児童が飽きずに取り組むことができる内容だと思います。CDも付いているので、英語の発音に自信がない人でも活用しやすいです。また、それぞれのワークについて問題だけでなく、児童に身に付けさせたい力やポイント、留意点も載っているのが使いやすかったです。

こんな先生におすすめ

学習への集中力を高めさせたい、英語の学力を高めたり「できた。」「わかった。」を増やしたりすることで児童に自信を付けさせたい、児童が自ら問題を選択したり、主体的に学習に取り組んだりできるようになってほしいという願いをもっている先生におすすめです。朝の会や授業の初めに継続して使うことで、児童の集中力が高まったり、できることが増え、学習意欲が高まったりすると感じました。取り組ませる問題を限定するのではなく、児童が課題を選べるように工夫して使うことで、主体的な学習を促すことも期待できます。

ただ、やらせれている、読むだけの音読ではなく「文章を正しく読むことに加えて、文章の内容をイメージしたり、文章の議論を考えたりしながら読む“考える音読”」の国語授業と家庭学習による学びのリンクについて書かれています。学習者が楽しみながら練習できるようなバリエーションや、考える音読を通して、論理的に読む力を育むためのアイディアがたくさん詰まっています。

各学年の授業実践と音読カードが合わせて掲載されています。具体的な実践場面がイメージしやすく、とてもわかりやすいです。また、1番の魅力は、手法だけでなく、それぞれの教材のポイントや指導の工夫が記載されていることです。それにより、ねらいに合わせて様々なバリエーションを応用することができます。目の前の児童の実地に合わせて「全員参加」「全員思考」を想定し、自分なりのアレンジを考えたいとワクワクできる1冊です。

こんな先生におすすめ

当たり前のようにやっていた音読指導を見直したい、指導の幅を広げたい、やらされている音読指導を変えて楽しく学習に取り組めるようにしたいと思っている人におすすめです。マンネリ化している音読指導を変えたい人にはぜひ読んでほしいです。音読の宿題をなんとなく出すなんてもったいない!実際にやってみて、こんなにも児童の目がキラキラするのかと驚きました。

成長的マインドセットで前向きに挑戦できる学級をつくるための考え方や声掛けの方法が書かれています。本書の中には「完璧な教師でなくていい。子供と共に成長できる教師になるために」という言葉があります。児童に対してだけでなく、教師自身も成長的マインドセットで成長し続けようと思える1冊です。

各月のマントラ・各月の目標・数々の研究や学級でのエピソード、指導法などが、4月〜3月語とそれぞれ分けて書かれているため、具体的な児童の姿をイメージし、見通しをもって取り組みやすいと思    います。最初にざっと目を通して読み見通しをもち、前月末や月初めにその月の内容をじっくりと読み直し、自分や学級経営に反映させる。そんな読み方ができるのもこの本の魅力だと思います。児童と行う授業プラン以外にも、教師のマインドセットを訓練する内容(ワークシート)も含まれており、自分を見つめ直すことができるのもおすすめポイントです。

こんな先生におすすめ

経験を重ね、「学級経営についてもなんとなくわかるようになってきた」、「児童とよい関係がつくれるようになってきた」でも・・・「教師としてもっと成長したい!」「学級の児童をもっと成長させたい!」という、成長志向の学級づくりに関心がある人におすすめです。行事等に対しての単発的なやる気ではなく、常に自分や児童を高めたい人にはぜひ読んでほしいと思います。