若手卒業!少しレベルアップしてこだわった指導がしたい!

執筆者: 竹下志穂

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竹下志穂

竹下志穂(たけした・しほ)

【所属】

町田市立南第四小学校(令和5年度〜)

【経歴】

1、3、4、6年生の担任と外国語専科を2年、校務分掌では情報主任、研究主任を経験。初任時代、学級経営に悩みたくさんの本を読み勉強会に参加する中で、児童が前のめりになって学習したり、学級でのよりよい関係を作ったりするにはどうしたらよいかについて課題意識をもっている。

「すべての子どもを算数好きにするしかけとしこみ」「困った場面をズバリ解決!指導術」等、10冊の書籍の執筆に携わらせていただき、教科指導や学級経営について日々学び続けている。

毎日の授業や学校全体の流れに慣れてきて、日々悩みはありつつも、ある程度の基本が身に付いた時。「何か新しいことにチャレンジしたい。」「少しこだわりのある指導がしてみたい。」「本当に今の指導で子どもたちは力がついているのか。もっと力を付けさせたい。」「自分らしい指導法を見つけたい。」と、レベルアップしたいと感じている人におすすめの本をテーマにしました。

子どもの「人と関わる力」「学習」「基本的生活習慣」を身に付けさせ、総合的な人間力を育てるための助けとなる「かかわり言葉」について、規律を育てること、子どもと子どもをつなぐこと、そして、チームで育てることについて、3章構成で書かれています。

「心を育てたいなら言葉をもたせること」と本書にあるように、教師の言葉掛けと指導の流れが、まるでその場を見ているように具体的に書かれています。低・中・高それぞれの発達段階に合わせた指導についても分けて書かれているため、どの学年を担任するにも役立ちます。また、教師から児童への言葉掛けだけでなく、どんな言葉を使う子どもになって欲しいのか、そのためにどんな指導をしたらよいのか、子どもたちに使えるようになって欲しい言葉についても書かれています。子ども自身の語彙を増やすためにはどうしたらよいのかヒントとなる言葉掛けや、ペア活動の工夫など「自分の言葉で語らせる」子どもを育成するためのポイントがたくさん散りばめられており、授業の中でも、生活指導場面でも多くの場面で活用できます。

こんな先生におすすめ

子どもたちの心を育てる学級づくりをしたい先生におすすめの1冊。授業でも学校生活でも、どんな時にも、私たち教員は子どもたちに言葉を掛けています。同じ授業の流れや児童対応でも、言葉掛け1つで子どもたちの成長は大きく変わります。そんな言葉掛けにこだわった指導がしたい人、子ども同士のつながりを大切にしたい人におすすめです。どんな学級づくりをしたいか、どんな子どもたちに育ってほしいか、改めて考える年度始まりに読むとさらによいでしょう。

日々の学級通信から、学級経営の方針や大切にしていることを様々な角度から、具体的に知ることができます。また、保護者へのメッセージの伝え方、子どもが仲良くなるゲーム、誕生日の祝い方、褒め方・叱り方のコツなど、学級づくりに必要な心構えも学ぶことができます。

とにかくリアル。日々の学校生活の様子がイメージできるからこそ「その場面ではそうやって指導するのか!」「その視点で子どもたちを見るのか!」「やってみたい!」と思うエピソードがたくさんあります。また、学級通信の中に意図して書かれている学級づくりのポイントが、補足として学級通信とは別枠で書かれています。そこに指導のポイントや仕掛け、アイディア等がたくさん詰まっていて、様々な場面で生かせる汎用性もあります。また、保護者の方への伝え方で参考になることがたくさんあります。

こんな先生におすすめ

子どもたち一人ひとりを見取る力を高めたい人、愛情いっぱいの温かい学級経営をしたい人におすすめです。愛情いっぱいの先生の元で育つ子どもたちは、学級が安心できる居場所となり、その土台があるからこそ、様々なことに挑戦することができます。子どもたちを見取る力を鍛えてこそ、そんな学級経営ができるのだと気付かされる本です。田中先生の「子どもは点で見ないで線で観る。面で観る。」との言葉にもあるように、学級通信の文章を通して、どのように子どもたちを見守るのか、その視点を学ぶことができます。指導力とは、授業でも生活でも、子どもたちを見る目を鍛えてこそ高めることができると気付かされ、自分の「子ども観る目」を鍛えられる1冊です。

「働き方改革」がされる今、教師にとって1番大切な授業力を学校全体で高めていくために大切なポイントが書かれています。今まで当たり前だと思っていた校内研究のやり方の見直し、校内における授業力を磨き合う土台づくりや、働き方改革についてまで多岐にわたる取り組みとその成果から、自分の学校でも取り入れたいアイディアがたくさんつまっています。

単なるHow to本ではなく「何のために校内研究を行うのか」「校内研究を通してどんな学校をつくっていきたいのか」を問い直すことができます。校内研究の仕組みづくり、授業を見合い語り合う土台づくりは一朝一夕にできるものではありません。その第一歩を踏み出す時に、何を大切に、どんな見通しをもって取り組んでいったらよいのか思考が整理され、「こんな学校にしたい!」「学校全体で授業力を高めたい!」と前向きになれる一冊です。そして、それは特別な取り組みを行うことではなく、同僚性を高めていくことにこそポイントがあるのだと気付かされます。年齢、経験年数に関わらず、自分の目標をもつことができるでしょう。巻末には「総合的な学習の時間完全攻略」がイラスト付きで分かりやすく説明されており、総合的な学習の時間に力を入れたい人へのヒントもたくさんつまっています。

こんな先生におすすめ

今まで自分の授業研究だけに力を入れていた若手を卒業し後輩を育てる立場になった人、互いに授業力を高め合う関係性を築きたいと考えている人、そして研究主任・副主任の人にぜひ読んでほしい1冊です。今までの当たり前を見直し、本当に大切なことに目を向け、根本から考え直すことができます。特に年度末、次年度を見通す春休みや年度初めにぜひおすすめしたいです。

1〜6年生の算数授業の一コマが、教師と子どもの言葉のやり取りと板書で書かれています。どのような流れで授業が展開しているのか、その中で教師のどのような発問や声掛け、問い返しがあるのか、まるで授業を観ているかのように学ぶことができます。

本を読んでいるというよりは、授業を観ている感覚で読みすすめることができます。授業後の板書ではなく、子どもたちと田中先生のやりとりの中で付け足されていく板書と会話がどちらも示されているため、とても分かりやすいです。章末にある「子どもが動く授業のポイント」では、その授業でのねらいや意図したこと、他の単元とのつながり等が書かれているため、算数の見方・考え方を育むポイントも学ぶことができます。どの学年の授業を読んでも、自分の担当している学年に合わせて生かせる内容があります。

こんな先生におすすめ

授業から学びたい、子どもが動く授業がしたい、と思っている人におすすめです。最近、子ども立ちより自分ばかり話している気がするな…、子どもたちが授業で生き生きしていないな…、他の先生の授業を観て学びたいけどそんな余裕がない…、という人にはぜひ読んでみてほしいです。読み終わった最後には「この言葉掛けを真似しよう」「こんな流れで授業をつくってみよう」と思うだけでなく、自分の授業での教師と子どものやり取りを文字におこして見直してみようと、自身の授業分析についても考えさせられました。また、田中先生の他の著書と合わせて読むことで、子どもとのやり取りにどんな意図があるのかより深く理解することもできると思います。

子どもの学力を伸ばすための指導技術が、技能期、習熟期、活用期、探究期の4つのステップに分けて書かれています。また、これからの授業づくりで大切なことや、評価と評定の方法までも書かれていて、授業の質を高めるヒントがたくさん得られる1冊です。

とにかくたくさんの指導技術の引き出しを増やすことができます。単なるやり方の紹介ではなく、なぜそれが大切なのか、失敗例やポイント、様々な場面での活用方法等が、イラストを用いてわかりやすくまとめられています。座席配置や説明の仕方、板書、個別指導について等、細かい仕掛けをたくさん知ることができます。また、章末にある「学習と食事量の関係性」「授業づくりと教材開発」等のコラムの内容も充実しています。

こんな先生におすすめ

経験を重ね、「授業づくりについてわかるようになってきた」でも・・・「もっと子どもの学力を伸ばしたい!」「授業の質を高めたい!」という、“授業”で子どもたちを高めるための引き出しを増やしたい人におすすめです。今まで自分がやっていたことも、どんなよさがあるのか理解できたり、明日からやってみたいと思える新しいアイディアを得たりすることができると思います。