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道徳科授業のつくり方 - 東洋館出版社

道徳科授業のつくり方

ISBN: 9784491033952

田沼 茂紀/編著

セール価格 2,200(税込)
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商品説明

わかる!できる!たのしい!
「主体的・対話的で深い学び」を実現する新しい道徳科授業(単元型学習)と道徳科評価の決定版!


道徳科では、小学校では平成30年度、中学校では平成31年度より、他の教科等に先行して、新しい学習指導要領が全面実施されます。

新しい道徳科授業では、はたしてどのような「資質・能力」の育成が求められているのでしょうか?
分類して例示すると、次のように考えることができます。

〈小学校で育成を目指す道徳的資質・能力〉
①日常生活のなかで他者と楽しく過ごすための道徳的な知識や理解力
②具体的な日常生活のなかにある道徳的な問題発見力や実践的解決力
③自分事として物事を考えるための道徳的な思考力・判断力・情報活用能力
④自分なりの道徳的な見方・考え方を働かせた表現力
⑤よりよく生きようとする道徳的意志力

〈中学校で育成を目指す道徳的資質・能力〉
①社会構成員としての道徳的知識や理解力
②社会生活上の道徳的課題や問題発見力とそれを実践的に解決する問題解決能力
③道徳的問題や諸課題を的確に思考・判断する力や解決のための情報活用能力
④道徳的なものの見方・考え方を肯定的に表す表現力
⑤よりよい道徳生活実現への道徳的意志力と道徳的実践を可能にするメタ認知力

こうした資質・能力が育成されるためには、道徳科としての授業改善が欠かせません。
道徳科授業改善のキーワードは、子供の側からすれば「受動的学習者(passive learner)から能動的学習者(active learner)」への転換であり、教師の側からすれば「教授(teaching)から学習経験の創出(learning)」への授業づくりの転換です。
こうした発想を転換した具体的な取組が「主体的・対話的で深い学び」に向かっていくのです。

新しい学習指導要領は、どの教科等においても課題解決学習を求めており、その充実するためには、教授・学習プロセスの構築が欠かせません。すなわち、「学習プロセスの質的改善」が求められているのです。

このように、学習プロセスを質的に改善し、「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、これまでの1時間で完結する授業スタイルだけでは難しいと言えるでしょう。

そしてさらに、道徳科授業で大切にしたいことは、子供の道徳的なものの見方・感じ方・考え方を双方向的に対話し合うことで、個としての気付きを促し、道徳科で育成を目指す「知識・技能の概念化」を図ることです。

この「概念化」こそ、新しい学習指導要領が最も重視されているものであり、また同時に「それが子供のどのような姿なのか」がイメージしにくいものでもあります。
なぜなら、子供の内的な学びの実態をそのままの形で可視化することはできないだからです。

そこで、本書が提案するのが、道徳科パッケージ型ユニット(単元型学習)による授業展開であり、そこでの学習活動の見取りを子供自身の個人内自己評価と教師によるパフォーマンス評価によって、子供たちの学びの深まりを読み解いていくことです。

 道徳科パッケージ型ユニット理論の基本的な考え方は、学習の主人公である子共たち一人一人が、自らの道徳的学びを意味付け、その道徳的価値を追求するための課題意識を明確化し、一貫した学びを提供することです。要約すると、次の3つです。

《道徳科パッケージ型ユニット理論の基本的な考え方》

①道徳科学習課題の共有による協同的課題探究学習を軸とする。

②協同思考によって導きだした共通解(共有し合える望ましさとしての価値理解)を基に、個としての納得解(自らの価値実現への志向意思力)の紡ぎを実現する。

③テーマ課題探究を通して個としての道徳的資質・能力を高める。

 パッケージ型ユニットの目的は、道徳科授業を課題探究型の協同思考学習にすることにあります。

 道徳科授業では、スタートフリーな状態で、相互が協同思考活動を展開することで多様な価値観を受容・容認し合うこと、こうした学習プロセスを通じて互いに共有し合える価値を一定の望ましさとするという共通解の形成を目指します。

 さらには、他者との共通解が自分事として受け止められたとき、その子のなかに個としての納得解が紡がれます。これこそが、道徳科授業での個としてのゴールフリーな道徳的学びの成果であると言えます。

 このように、パッケージ型ユニット(単元型学習)によって、共通解と納得解を行き来するような学びを連続させることによって、多様な価値を内包した現実的かつ日常的な道徳課題と向き合える「生きて働く力」としての道徳性、すなわち「概念化された知識・技能」が培われるのです。