子どもと創る「国語の授業」2019年 No.64
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商品説明
〈提起文より〉
特集:考えの形成
「ぼくは、なぜか今回の休日が三日間あるように感じる。それはなぜだろうか。ぼくなりに考えた結果、いつもよりサッカーをしている時間が長いからとなった。ぼくは、サッカーしか頭にないのだ。これからもサッカーを続けていきたい。」
右は、四年生の子の日記である。「ぼくは、サッカーしか頭にないのだ」という自己分析は、書く前からその子に「考え」としてあったのではなく、書くことを通して生まれた「考え」であろう。「書く」という行為には、書くことによって「考え」を「形成」するという働きもある。
新学習指導要領解説「国語編」の、〔思考力・判断力・表現力等〕〈書くこと〉の領域では、学習過程における「考えの形成」として、以下のように位置づけている。
・自分の考えを明確にし、書き表し方を工夫する。(書くこと)
ここでは、「形成された自分の考えをどのように表現するか」に焦点が当たっている。そこには、先の子どものような姿はない。実際の子どもの姿との間のズレを感じる。
では、他の領域の「考えの形成」はどうであろうか。
・話の内容が明確になるように、構成を考えることを通して、自分の考えを形成する。(話すこと)
・話し手が伝えたいことと自分が聞く必要のあることの両面を意識しながら聞き、感想や考えを形成する(聞くこと)
・進行を意識して話し合い、互いの意見や考えなどを関わらせながら考えをまとめたり広げたりする(話し合うこと)
・文章を読んで理解したことなどに基づいて、自分の考えを形成する(読むこと)
このように並べてみると、「考えの形成」は、領域によって温度差があることがわかる。最も「考えの形成」に力を入れているのが〈読むこと〉領域である。〈読むこと〉では、学習過程の「構造と内容の把握」「精査・解釈」を手立て、「考えの形成」を目的と位置づけている。〈話すこと・聞くこと〉では、活動を通して、順序、因果、比較等の思考様式を働かせることで、「考え」を「形成」させることをねらっている。これらには、〈書くこと〉領域で感じたズレを感じることはあまりない。
三領域の「考えの形成」とは、どのような活動を通して何をねらうものなのであろうか。実践を通して、「考えの形成」の具体を書いて頂いた。