枠を超えよ-自己肯定感なくして主体性は生まれない-
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商品説明
異色の教師が追究する「真の主体性」とは
本書の概要
管理職も経験せず、修士・博士号ももたない現場一筋の中学校教師が大学で教えてみたら、「学生が選ぶベストティーチャー賞」を3年連続受賞&殿堂入り。そんな異色の教師が生み出してきた伝説的な授業実践の根幹にある考えは、「自己肯定感なくして主体性は生まれない」。中学校教員時代から現在に至るまでの豊富なエピソードを通して、「主体性」とは何なのかを問い直す。中学校や大学の先生はもちろんのこと、教育に携わるすべての人を勇気付ける一冊。
本書からわかること
異色の公立中学校教師が追究し続けた「主体性」とは
中学校教員時代、授業を通して生徒たちに向き合う立場を貫き通した著者は、管理職試験も受けず、東京都の優秀教師の称号も固辞、権威や肩書きにとらわれない自由で柔軟な発想から、数々の伝説的な授業実践を残してきました。「市長に提言」と題して中学生が市長に直接提言するタウンミーティング、「震災がれきの処理」などのトランスサイエンスや簡単に答えを出せない国際問題などを考えるワークショップ型の授業、独自の見取り方を編み出したOPPA(一枚ポートフォリオ評価)など、そのどれもが生徒自身の主体的な学びを追究した実践です。
自己肯定感なくして、主体性は生まれない
著者は20年以上前から、「主体性」とは一体何なのかと考え続けてきました。それは、何をすべきか決められている「枠」を超えた行為であり、その結果「アイデアが生まれる」という解釈にたどり着いたのです。生徒や学生には積極的に「枠を超えよ」と促し、自らにも常に問い続け、変化を恐れない覚悟をもっています。しかし、主体性を発揮するように教師が促しても、うまくいかないことがあります。それはなぜなのか。本人の自己肯定感が低い場合、主体性を発揮することが難しいのです。自己肯定感は、「自己効力感」や「自己有用感」を包摂する概念と考えられます。根底に、ありのままの自分を認める感情がなければ、自ら枠を超えようという主体性は生まれません。
根拠のない自信こそ、最強の自己肯定感
「市長に提言」は、中学生が自分たちの住む市をよりよくするためのアイデアを市長にぶつけます。シティズンシップの醸成をねらいとした取り組みの根底にあるのも、やはり自己肯定感です。自分たちの意見が市政を動かすほどの価値があるのだという実感は、大きな自信と責任感をもたらします。また、ワークショップ型の授業では、より深い議論のために批判的思考力が求められますが、ここでも重要なのは自己肯定感です。各々が批判的思考を働かせて合意形成を図っていく過程では、根底に自己肯定感があるからこそ、信頼に基づいた議論ができます。このような実践を通して醸成されるのは、「何となく自分にはできる気がする」「根拠はないけど自信がある」という気持ち。それこそが最強の自己肯定感なのです。
大学でも「辻本イズム」を実践したら、ベストティーチャー殿堂入り
ワークショップ型授業やOPPAは大学でも実践し、それらは学生に「辻本イズム」として受け入れられました。そして、初年度にいきなり「学生が選ぶベストティーチャー賞」を受賞、さらに3年連続で受賞&殿堂入りするという快挙を成し遂げました。学生の主体性を大いに伸ばし、授業の枠を超えた自主ゼミへと発展。学生たちが自ら開く雑談会では様々なアイデアが生まれ、著者も大いに刺激を受けていると言います。中学校と同じ方法が大学でも通用する、むしろ大歓迎されているというこの事実から導き出せることは、「辻本イズム」が学びの本質を捉えているということです。中学校の3年間にとどまらず、学びの原動力となる「主体性」を育むことが証明されたとも言えるでしょう。