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統計的探究プロセスにおける批判的思考の様相とその役割に関する研究 - 東洋館出版社
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統計的探究プロセスにおける批判的思考の様相とその役割に関する研究

ISBN: 9784491054933

新井 仁/著

セール価格 3,960(税込)
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商品説明
中学校数学の授業における問題解決学習の改題と改善点を意識して批判的思考を育てる

本書の概要

統計的探究プロセスが機能する問題解決学習において、学習者の批判的思考の様相を捉えると共に学習者にとっての未知な数学、レベルの高い数学を学ぶ上で批判的思考が果たす役割について明らかにすることを目指して行った研究に基づき、まとめた一冊。

本書からわかること

統計的探究プロセスが機能する問題解決学習を通して批判的思考を育てる

日本では、算数・数学科の一領域として統計的な内容の学習が位置付けられている。また、中学校学習指導要領(平成29年告示)解説数学編では、数学において批判的に考察すること、とりわけ「データの活用」領域に関わってその重要性が強調されている。加えて、統計的な内容には、いわゆる数学の内容と関連することが多く含まれ、データの特徴を捉える際の考え方は数学の中でも重要視されるべきものであるため、統計的な内容を算数・数学科の授業の中で学ぶことは、算数・数学科の他の内容項目との橋渡しにもなる。しかし、ややもすると統計的な内容の学習は数学とのつながりが希薄になりがちであることも否めない。そのため、統計的な内容と数学とのつながりのある授業を展開することが必要だと考える。本研究では、このような問題意識のもと、批判的思考に着目した。

批判的思考力は、情報を分析して論理的に解釈し、その情報の価値を評価したり、正しい判断を下したりするために必要なスキルである。特定の考えや状況を対象として批判的思考を行う際は、客観的な事実に注目し、先入観を排除して多様な視点を考慮しながら、その過程で得た情報を踏まえて結論を導く。その際、偏見をもたず、自分自身の考え方も批判的に考察し、公平かつ合理的な判断ができるようにすることが求められる。これは、算数・数学教育を通してのみ育成するスキルではないが、算数・数学教育を通して育成するスキルの一つであることは間違いない。

一方、批判的思考力の高まりが、数学そのものの学習において有意な役割を果たすものでもあろう。特に統計的探究プロセスによる問題解決学習において、学習者が身につけている数学を使い、新たな「道具」を作って解決する学習(概念学習型)では、批判的思考が文脈と数学との往来に関与するものと考える。そこで、統計的探究プロセスにおける文脈と数学との往来に関与する批判的思考の様相を明らかにすることを目的とした。

この目的に対し、Wild-Pfannkuch(1999)が示した統計的探究において絶えず使用されるとする一般的な思考過程(尋問サイクル)を参考に、大学生のデータ分析過程を整理することにより、「A:外部から得たデータ、B:外部から得た見解、C:他者の発想・判断、D:自分自身の発想・判断、E:所々で得た結果」の5 つを対象とし、「1 :正しいか、2 :理にかなっているか、 3 :既知の事実と一致しているか、4 :目的は何か、 5 :先入観や思い込みになっていないか、 6 :情的になっていないか」の6 つの基準で尋問する批判的思考を捉える枠組みを構築した。そして、これに沿って筆者が行った授業等における中学生の思考を整理することにより、批判的思考が文脈と数学との往来に関与する ことを示し、批判的思考が数学の学びへの移行を可能にすることを指摘するに至った。

真偽を問わず様々なデータが氾濫している現代社会において、データと正しく向き合って活用することができる力は不可欠である。その際、数学を用いて問題を解決することのみならず、結論に責任をもつことが求められるため、統計的な内容の学習がその範疇だけで 終わるのではなく、時には統計的な内容の学習から文脈に依存しない数学の学びに移行し、相互に関連付けながら理解できるようにすることが重要であろう。そのためには、統計的探究プロセスにおける学習者の批判的思考の様相を捉え、学習指導への示唆を得ることが必要だと考える。本書は、このような視点で取り組んだ研究の成果と今後の課題を示そうとするものである。

こんな先生におすすめ

中学校数学で統計を研究したい先生