「つなぐ、ほどく、ひらく」を合言葉に、さまざまな視点から教育に真摯に向き合います

いくつもの問いを手に、教育に思いを巡らす。
「つなぐ、ほどく、ひらく」を合言葉に、分からなさをたのしみ、
しなやかに考えるための目印となる一冊を編んでいきます。

教育を支える出版社として

1948年の創業以来、教育書の専門出版社として、主に学校教育に関わる出版活動を続けて参りました。学術書から実用書まで、教育書という分野において確かな地盤と実績を築いてきたという自負があります。

一方で、社会の大きな変化と、それに合わせた学校教育を含む教育情勢の変化も感じて参りました。創業前年の1947年には最初の学習指導要領が作成されました。当時はまだ「試案」という形で、戦争を省みる言葉とともに、子どもの興味や関心を大切にする児童中心主義の教育観が打ち出されました。

それから約70年が経ち、変わらない本質的な部分は現代に引き継がれつつも、全国の小中学校の9割以上に一人一台端末が配備され、授業風景が大きく変わろうとしています。学校から目を転じてみると、生産年齢人口の減少や科学技術の革新、地球規模での気候変動といった今まで人類が経験したことのない局面に直面しています。そのような変化の時代において、未来を生きる子どもたちのために、教育を支えるすべての人のために、何かまだできることがあるのではないだろうか――そのような思いから、本シリーズを新たに2022年より刊行いたします。

 

さまざまな人々と手をたずさえ、みんなで教育を支えていく

今後も学校や先生に寄り添った出版活動を続けていくと同時に、教育図書を出版する出版社として学校教育の枠を超えて、これからの教育を考えていく必要があると感じています。教育が包摂している範囲は広く、社会のさまざまな事柄と深く結び付いています。その教育の裾野の広さと他分野との結び付きに注目し、現代的な諸課題を抱える、さまざまな分野を教育専門書の叢書という一つの枠組みの中で取り扱い、教育と行き来させることで、よりよい社会の創生に貢献したいと考えています。

また、教育を学校だけの問題、家庭だけの問題といったように切り離すことなく、多くの人々と手をたずさえて支えていく流れをつくりだすことも企図しています。教育という、正解のない難事業に、一人でも多くの人が関わり、みんなで支えていく、そのためのきっかけとして少しでもお役に立てることを願っています。

 

シリーズ第1作 内田樹『複雑化の教育論』
「教育は何のためにあるのか」を改めて考える

以上のような願いを込め、シリーズ第1作として、内田樹先生による『複雑化の教育論』を2022年1月28日に出版いたします。

内田先生は2008年に刊行した『街場の教育論』(ミシマ社)をはじめ、多くの教育論を展開し、教育関係者からの共感を得てきました。本書では教員志望者の減少、不登校問題、問題視される教師の働き方、いじめ問題、見直される部活動、オンライン授業など、教育に複雑に絡み合う事象をトピックに、内田氏が長年考え続けてきた教育論の決定版とも言える内容となっています。

内田先生は「成熟とは複雑化することである」と定義し、現代社会に見られるさまざまな病理を引き合いに出し、論を展開しています。例えば、「組織マネジメント原理主義」や「管理コスト最少化原理主義」に侵された現代社会では、複雑化の価値が過小評価され、子どもに寄り添う教育を行うことが難しくなっていると内田氏は警鐘を鳴らします。

このように「複雑化」を一つのキーワードに「複雑なものを複雑なまま扱う」という実践的な賢さを取り戻し、レジリエンスのある社会を形成するための教育の在り方について考えています。

 

>>シリーズ・越境する教育『複雑化の教育論』連載第1回「複雑化とは何か」

 

しなやかさと強さ、懐かしさと新しさの共存を目指したデザイン

本シリーズの書籍は一般的な読み物の判型(四六判)より少しだけ小さいサイズをしています。

両手で包み込んで読めるような可愛らしいサイズに、少しでもみなさまの近くに寄り添いたいという思いを託し、温かみや柔らかさを表現しました。

また、製本方法は仮フランス装という形態を採りました。小さいながらも、しっかりとした存在のある強さとしなやかさを表現しています。

 

シリーズのロゴには、鳥がモチーフとして使われています。鳥は「解放」や「知性」の象徴として知られています。デザイナーの六月さんの手によって、懐かしさの中にも新しさが感じられる、素敵なロゴに仕上げていただきました。

 

今後の刊行予定

本シリーズでは引き続き、「分からなさをたのしみ、しなやかに考えるための目印となる一冊」を編んで参ります。今後のラインナップは以下の3点を予定しております。

 

『日本の教育とマルチフレーム(仮題)』

ウスビ・サコ [著]

<刊行時期>
2022年夏ごろ

<本の内容>
昨今、社会に関するあらゆる議論で耳にする言葉「多様性」。多様性と包摂性のある、だれもが生きやすい社会を目指し、日々その実現について議論されています。

教育や子育てにおいては、こうした「多様性」に関して考えや理解を深める必要性が問われる一方で、モノフレームな指導や価値観が根強くのこっているとも言われています。「個の時代」と言われる現代で、他者と「ちがう」自分自身、自分と「ちがう」他者をどのように認め、はげまし、ともに生きる力をはぐくむのか。「マルチフレーム」を切り口に、現代の教育がめざす社会や幸福について問いかけます。

 

(著者略歴)マリ共和国生まれ、中国・北京語言大学、南京東南大学を経て来日し、2001年より京都精華大学教員。2018年から京都精華大学学長に就任(2022年3月まで)。バンバラ語、英語、フランス語、中国語、関西弁を操るマルチリンガル。


『不登校新聞社子ども若者編集部 ―自分が救われるための活動を―(仮題)』

全国不登校新聞社・子ども若者編集 [著]

<刊行時期>
2022年冬ごろ

<本の内容>
日本で唯一の不登校に関する専門紙「不登校新聞」を発行する全国不登校新聞社には、当事者により構成される子ども若者編集部があります。不登校や引きこもりを経験した編集部員は、その経験を振り返りながら、記事の執筆、インタビュー取材、イベント運営などを行っています。

「不登校新聞の活動を通じて、プライド・自尊心を獲得する」を活動目的として掲げる子ども若者編集部では、「人(社会)のためではなく、自分が救われるために書く」「自分が本当に話を聞きたい人に、本当に聞きたいことを聞く」といった視点で活動が行われ、編集部員は自分自身にとことん向き合います。

 「本当は『不登校』だったことを誰にも知られたくなかったけれど、それだとあんなに辛かった過去の自分が可哀そうで編集部に参加しました」「『不登校は悪いこと。マイナスなことだ』という内なる声に苦しんでいる子に『不登校経験を埋め合わそうと思わなくても大丈夫、焦ったりプレッシャーに思ったりしなくていいんだよ』と伝えたくて記事を書きました。私がずっとそういう価値観に振り回され続けてきたから……」――、編集部員が活動を通して何に気付き、何を感じたのか。

 「不登校」を切り口に、社会がもつ圧力や価値観を捉え、よりよい社会とは何なのかを問います。


『むずかしい対話(仮題)』

永井玲衣 [著]

<連載時期>
2022年初夏より開始

<連載内容>
「今こそ対話が重要だ」「対話力を高めてコミュニケーションを円滑に!」「対話をして分かり合おう」――、世の中には「対話」があふれています。確かに対話は重要で、コミュニケーションの一形態で、時に分かり合えたように感じる瞬間をもたらします。けれど、それぞれが描く「対話」は実は異なっていて、経験する「対話」の形も違います。同じ対話の場に集っていたとしても。

 そんな「対話」に苦手意識がありつつも、なぜか哲学対話に惹きつけられている永井玲衣さんは、哲学研究を続けながら、学校や企業、寺社、自治体などで哲学対話を行う哲学対話の実践者です。哲学対話をファシリテートし、さまざまな「対話」の場に立ち会ってきました。そこで感じた対話の難しさやおもしろさ、そこで起きていることなどを具体的なエピソードをもとに描き出していただきます。

 

 上記企画以外にも、今後も社会の実情を反映した実りある書籍の刊行を続けてまいります。シリーズの今後の展開に、どうぞご期待ください。

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