弊社は1948年の創業以来、日本の教育の未来を支えるために、書籍を通して教育現場の先生方のサポートに尽力してまいりました。この七十有余年の歩みは、読者の皆様、書店の皆様、そして日々研鑽を重ね執筆いただいた著者の皆様をはじめ、多くの方々の温かいご支援とご厚情により築かれたものであり、ここに深く感謝申し上げます。
弊社の歴史は、決して平坦なものではございませんでした。幾度となく訪れた試練の中にあっても、『板書シリーズ』に代表される新たな教育書のジャンルを切り拓き、挑戦を恐れず歩みを進めてまいりました。近年、AIをはじめとするかつてない技術革新が教育のあり方そのものに変革をもたらしております。子ども一人ひとりの特性や学びの速度に応じた教育が重視されるようになり、教育に「唯一の正解」は存在しない時代となりました。私たちが果たすべき役割は、一つの答えを示すことではなく、多様な価値観と方法論を提示し、書籍という形で社会に提供し続けることにあります。
同時に、出版業界を取り巻く環境も急速に変化しています。原材料や物流コストの高騰、取次各社の変化、そして何より書店数の減少は、専門書出版社にとって重大な影響を及ぼしております。この二十年間で国内の書店数は半減し、教育の輪を広げる機会が減少していることは、日本の教育全体の停滞につながりかねない深刻な問題であると考えております。
このような厳しい環境下においても、私たちが挑戦をやめることはありません。雑誌のWEB化や「Education Palette」による先生方の学びの支援など、従来の枠を超えた取り組みを推進しつつ、幅広いテーマと多角的なアプローチによる出版活動をさらに拡充してまいります。そして、紙媒体の価値を守りながら、新たなビジネスモデルの創造にも果敢に取り組んでまいります。
今後も、「挑戦」と「継承」を両輪とし、そして何よりも、私たちのミッションである「教育の輪をつなぐ」ことを胸に、全力を尽くしてまいります。引き続き、東洋館出版社への変わらぬご支援とご厚誼を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。