指導と評価を一体化する 小学校国語実践事例集

指導と評価を一体化する 小学校国語実践事例集

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茅野 政徳/編著

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評価は、児童と教師の成長のきっかけとなり、自信や笑顔を生み出すもの



国立教育政策研究所が「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料」を作成して、1年。新型コロナウイルス感染症の対策の中ではありますが、普段の授業づくりのPDCAサイクルを改めて見直し、実践に励まれたことと思います。

本書では、同資料の作成協力者など授業研究の第一線でご活躍される実践者9人に、指導と評価を一体化する視点に重点を置いて、ご自身の学級での授業づくりを原稿化していただきました。

また、本書作成の中で出てきた「評価と評定の違いって?」や「主体的に学習に取り組む態度の評価の方法が難しい」などの疑問については、オンラインで協議を重ね、Q&Aとして、山梨大学大学院の茅野政徳准教授に一定の回答を作成いただいています。茅野准教授には、講演などで赴く全国各地の学校におけるリアルタイムの疑問も反映していただき、より現場目線で考え方を整理していただいています。



今後、指導と評価に関わる研究授業などを行われるときや、普段の指導と評価を見直される際に、本書をお役立ていただければ幸いです。

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以下にQ&Aと実践の一部を紹介します。

 

Q1 「指導と評価の一体化」の基本的な考え方を教えてください

A1評価項目を計画的に焦点化する

「指導と評価の一体化」は全く新しい概念ではなく,基本的に先生方がこれまでやってきたことと大きく変わるものではありません。評価の場面を焦点化することで,より計画的な授業づくりにつながるという意味合いが込められています。これは,どの教科でも変わらないということを確認しておきましょう。

1年間のカリキュラム,2年間のまとまり,そして6年間でスパイラルに資質・能力を育成するという考え方に立つことで,思い切って評価項目を精選することが国語科では特に重要となるでしょう。

 

A2さらなる焦点化を進め、評価項目を具体化する

一つの指導事項の中に,複数の内容が入っている場合があります

3・4年「読むこと」では「エ 登場人物の気持ちの変化や性格,情景について,場面の移り変わりと結びつけて具体的に想像すること。」と示されており,教材の特徴や児童の実態によって,気持ちの変化を場面の移り変わりと結びつけて想像する場合もあれば,場面と場面を関連させながら登場人物の性格を読み取る場合もあるでしょう。単元によって,指導事項に示された資質・能力を全体的に扱うことも可能ですし,重点的に指導する内容を絞ることもできます

 

A3学習改善を通して、児童の笑顔を生み出す

評価というと児童の出来ていないところを見取り,指導し,出来るようにする,というイメージがわくことがあります。児童が自らの学習状況を理解し,出来るようになったことやわかったことに達成感や満足感を得,自分自身のよさを自覚すること(自己肯定感を高めること)。そして改善点を見出し,学習したことの意義や価値を感じながら,さらに出来るように,わかるようになるために自らの手で見通しをもって活動を進めること。その支えとなるのが評価です。評価は児童の笑顔を生み出す,教師と児童のかかわりであるという意識を持ちたいですね。

 

A4授業改善と教育課程の改善により、教師も成長する

A5評価と評定を混同せず、児童を見取る力量を形成する

(本文より抜粋)

以下、ほか9つのQです。

Q2  評価と言語活動の関係をどう考えるとよいですか

Q3「記録に残す評価」と「指導に生かす評価」が、分からないのですが

Q4  もう少し詳しく「指導に生かす評価」について教えてください

Q5「記録に残す評価」と学習場面(時間)との対応に規則はありますか

Q6  第1時は「記録に残す評価」をしないのでしょうか

Q7  評価基準の設定の仕方について教えてください

Q8  評価規準に達しているか、判断が難しいのですが

Q9「主体的に学習に取り組む態度」をどのように見取ればよいですか

Q10 「考えの形成」と「共有」の評価で心掛けることは何ですか

※国語科の「参考資料」内では「記録に残す評価」「指導に生かす評価」という言葉は使用されていません。本書では、指導と評価を一体化する部分に執筆の力点を置くことや、各種国語科の雑誌や教育委員会の作成した資料などでの使用例などを参考に、「記録に残す評価」「指導に生かす評価」の文言を便宜的に使用しています。


■実践 子どもとの関わりを重点的に紹介

各実践では、まず「全ての子どもを『おおむね満足できる』状況(B)」に指導し、その姿を評価することを心掛けています。各執筆者にはなるべく具体的にBやC、また「教師の想像を超えた」姿としてのAの状況も記していただきました。

 

〈2年生 話すこと・聞くこと たからものをしょうかいしよう より〉

 

・「指導と評価の一体化」の視点からのポイント

実践には最初の見開きとして指導案に加えて、このコーナーを設けています。

本実践では、

「前単元において、児童は自分の好きなことについて紹介するスピーチの学習を行った。その際、児童は、丁寧な言葉と普通の言葉との違いに気を付けて話したり、好きなことについて伝え合うために必要な事柄を選んだりすることができていた。一方、相手に伝わるように行動したことや経験したことに基づいて話す事柄の順序を考えたり、話し手の話すことや自分が聞きたいことを落とさないように集中して聞き、感想をもったりすることには、まだ課題が見られた

 そこで、本単元では、自分の宝物を紹介するという言語活動を設定し、話す事柄の順序を考えて話すこと、集中して聞き感想をもつことに重点を置いて指導することとした。また、相手に伝わるように話すためには、姿勢や口形、発声や発音に気を付けて話すことや身近なことを表す語句の量を増やしたりすることも必要となるため、知識及び技能の指導内容として取り上げて指導する。

 以上のような観点を評価するために、本事例ではワークシートを用いた。ワークシートには、話したいことを書いたカードを置かせて、話す順序を考えながら操作する様子を観察したり、どのような意図に基づいて操作しているのかを児童に質問したりして評価する。また、カードの順序を決定した理由を別のワークシートに記述させ、その内容を評価の対象とすることにする。」

 

・実践においては、思考力・判断力・表現力A?イを総括的に評価すると設定した時間において、「事柄の順序に沿ってカードを並べることのできない」という「努力を要する」状況(C)の子どもの姿を教師が見取り、「教師がやり取りしながら、相手に一番伝えたい内容を決めるように」するなどの指導を行いました。

その後、「伝えたいことが相手に伝わるように、話す順序を考え、カードを並べている」という「おおむね満足できる」状況(B)になりました。

また、「順番を考える際に、事柄の順序だけでなく、聞き手に与える印象や効果まで含めた理由を記述している児童もいた。こうした児童はAの状況の姿として」評価したことを事後的に記述していただいています。



■本書を通して

みなさまの実践を編集する中で、「どういう姿がBの状況なのか」「全員をBにするにはどういう指導が必要か」という準備段階の意識の大切さが分かりました。

また、子どもたちの「できた!」「できない……」という気持ちを正面から受け止め、その意欲を駆り立てるように交流や発問を時にはリアルタイムで組み立てていく「評価」の姿勢が見られました。

 

「評価」は、型に押し込めるものでも、排除するものでもない——

言葉を通じて、世界が広がっていく子どもたちの姿をぜひご覧ください。




●お詫びと訂正

初版第1刷に誤りがございました。謹んでお詫びし、訂正いたします。

P71の上のワークシート記入例について
誤:メモ(立場:実際の名前)
正:メモ(立場:分かりやすい名前)
合わせてワークシート内の丸の位置も誤っております。
ご執筆者からご修正の指示があったものを編集者が落としました。申し訳ございません。

人が人を評価する。それは難しいことです。

時に評価は、人を傷つけてしまうこともあります。

本書がめざしたのは、教師の力量と児童の資質・能力がはぐくまれ、教師と児童の笑顔や自信につながる指導と評価のあり方を提案することです。

小学校では令和2年度から新たな学習指導要領が全面実施され、国語科は特に観点別評価の項目に大きな変更がありました。「指導と評価の一体化」というキーワードのもと、どのように児童の姿を見取り、適切に指導と評価を行うのか。先生方の模索が始まろうとした矢先、未曽有の事態が起こりました。

このような状況下でも可能な範囲で研修や研究を進めようとする自治体や学校に数多く出会いました。そこで聞かれたのが、新たな枠組みのもと評価に戸惑う先生方の切実な叫びでした。それが本書刊行のきっかけとなりました。

 

第一章では、先生方からお寄せいただいた「指導と評価の一体化」に関する質問や、本書編集に際してくり返し行った打合せで話題になった点をQ&Aとしてまとめました。いつ、どのような方法で児童の学習状況を記録するのか。評価内容と評価場面を精選し、指導と評価を一体化させた計画を立てることが大切です。Q&Aでは、「指導と評価の一体化」の基本的な考え方を整理したうえで、評価規準の設定や評価を記録に残す場面や方法、「主体的に学習に取り組む態度」の見取りなどについて、解説しています。第一章を通して、読者の皆さんと「指導と評価の一体化」について共通理解を図りたいと考えています。

第二章では、各地で活躍している実践者の協力を得、9つの授業実践を掲載しています。それぞれの実践では、育成を目指す資質・能力の明確化が図られ、授業の流れと指導の手立て、評価の様相が具体的に記述されています。授業者が児童の学びに正対し、「おおむね満足できる」状況(B)の具体的な姿を追い求め、「十分満足できる」状況(A)の試案を示し、「努力を要する」(C)状況を改善しようと様々な手立てを講じています。そして、毎時間の省察(振り返り)を通して自らの指導と評価を見つめ直しています。このような実直な行為の積み重ねが、教師の力量形成につながるのだと確信しています。

 

Q&Aの最後に、次のような言葉を添えました。 評価は、児童と教師の成長のきっかけとなり、自信や笑顔を生み出すものです。先生方が普段何気なく行っている学習中の声かけも、ノートやワークシートへのコメントも、児童にとっては大切な評価です。評価は先生方の思いや考え、願いや期待を児童に届けるものです。 本書が、先生方の指導と評価、児童の資質・能力の育成に役立ち、「指導と評価の一体化」によって、教室が、教師と児童の関係が、そして児童の学びが、あたたかな雰囲気に包まれること。そして、全国の教室で確かな言葉、豊かな言葉が生み出される国語科の授業が展開されることを心より願っています。 茅野政徳

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