ホーム 問題解決型国語学習を成功させる「見方・考え方」スイッチ発問
問題解決型国語学習を成功させる「見方・考え方」スイッチ発問 - 東洋館出版社
問題解決型国語学習を成功させる「見方・考え方」スイッチ発問 - 東洋館出版社
問題解決型国語学習を成功させる「見方・考え方」スイッチ発問 - 東洋館出版社
問題解決型国語学習を成功させる「見方・考え方」スイッチ発問 - 東洋館出版社

問題解決型国語学習を成功させる「見方・考え方」スイッチ発問

ISBN: 9784491043593

小林 康宏/著

セール価格 2,310(税込)
付与予定ポイントpt
6
人がこの商品を閲覧しています
タイプ: 書籍

レビューを書くと100ポイントプレゼント

Customer Reviews

Be the first to write a review
0%
(0)
0%
(0)
0%
(0)
0%
(0)
0%
(0)
商品説明

国語の「できるようになる」力とは

令和2年度に完全実施となった小学校学習指導要領では、資質・能力の育成を主眼としている。そのために、教科等において<知識及び技能><思考力、判断力、表現力等><学びに向かう力、人間性等>の三つの柱を立て、各教科等で学ぶべき内容が整理された。

では、国語で育成を目指す資質・能力、すなわち「できるようになる」力とは何であろうか。

それは、これまでの学習で獲得してきた言葉の力を、目の前のテキストを読むことや表現することに応用できる力であり、新たに獲得した力と関連付け、自覚化し、更新する力である。

だがここで、国語科特有の壁がある。

それは、学びの素材としての「教材」である。

子どもたちは、純粋な“読者”として書かれている「内容」を読む。

「ごんぎつね」を読み浸り、ぐったりと目をつぶったままうなずくごんの、やっと気付いてもらえたといううれしさ、でももう兵十と関わり合うことが叶わない切なさ、孤独を味わう。その感動を教室で学ぶ仲間と共有できることの価値は高い。

一方、教師は、「追究内容」と共に「仲間との学びの共体験」に対するこだわりが強い。

「海のいのち」を読んだ子どもたちの初発の感想をもとに学習課題を設定し、いよいよクライマックス場面の授業において「どうして太一はクエを打たなかったのだろう」と投げかける。ペアやグループ、学級全体でそれぞれの意見を交流させ、最終的に「クエの姿に偉大な父の姿を感じたから」「生命の尊さを感じたから」等の考えを引き出し、感動を共有して授業を終える。この体験も子どもたちにとっては大切な時間となるだろう。

だがしかし、その時間や経験に、言葉の学びとしての価値付け、自覚化がどこまで子どもたちにもたらされているだろうか。

様々な読解スキーマ(読む力)をもつ子どもが集まる教室という場所で、同じ土俵で、同じように読みを共有できているだろうか。

ここに、国語授業が抱える難しさがある。

だからこそ、ここで教師が教えるべきは、学びの共体験を通過し、教材の豊かな読みを成立させる過程で、どうしてごんと兵十の関係に切なさを感じるのか、太一のここに至るまでの心情の変化がどの叙述にどの様に書かれてきたのかに気付かせる、つまり「どこに目を付ければ、どのような解釈がもてるか」という、考える術となる「読み方」なのである。

なぜ問題解決学習なのか

その課題を乗り越えるために、新学習指導要領では、授業改善の視点として「主体的・対話的で深い学び」が示された。子どもを学びの主体者とするための子どもの思考の文脈に寄り添う手立て、そして開かれた学びにしていくことによる学びの深まりを目指すということである。そして、この「深い学び」こそが「見方・考え方を働かせた問題解決のプロセス」である。つまり「問題解決学習」である。

<問題解決学習の効果>

  • 問い→解決、という構造が子どもに読む必然性をもたせることができる。
  • 様々な読みの手法を使って解決していく過程で、汎用的な言葉の力を育てられる。
  • 子どもにとっての読む目的(もっと知りたい、なぜなのかを知りたい=内容を読むこと)と、学習指導要領の基幹である汎用的な資質・能力の獲得を達成できる。

<国語の問題解決学習に必要な条件>

  • 子どもに読む必然性をもたせるための、単元を通して追究したい問いを設定すること(設定方法も重要)。
  • 問いを解決するための見通しをもたせ、毎時間の授業につながりを付け、それを子どもに自覚させること。
  • 学習課題の設定、見通しの共有、個人追究、ペア対話、全体追究、精査・推敲、振り返り、定着など、一貫性のある学習過程を繰り返すことで、安定した学びのスタイルの中で、学習内容に集中できること(「授業展開7原則」本書参照)。

<国語の問題解決学習に「見方・考え方」が有効なわけ>

  • 学びを焦点化させるための、観点となるから。
  • 誰もが取り組める活動になるから。
  • 「深い学び」(汎用的な資質・能力を獲得する姿)に向かうスイッチになるから。
  • 内容の読みと共に、読み方を学ぶ、国語の本質的な学びに導くものだから。

「見方・考え方」のスイッチを入れる

国語の問題解決学習を行う際、言葉の学びに焦点化し、互いの学びを共有し合い、問題解決力を駆動していくためのスイッチとして、見方・考え方を働かせることを重視したい。本書では、見方・考え方を働かせるための「発問」に重点を置き、「スイッチ発問」として提案する。

<スイッチ発問の定義>

問題解決のための見方・考え方を意識していない状態から、解決のための見方・考え方を意識し、働かせていく状態に切り替える発問

<スイッチ発問の例>

ここでは、太一の気持ちを考える際に、クエの目の描写に着目させ、その変化から、そう見えるようになった太一の心情の変化を読み取らせている。同時に子どもたちは、「対象の変化を捉え、比較する」という見方・考え方を獲得し、働かせているのである。

このように、問題解決のための見方・考え方に自覚的になる「スイッチ発問」を投げかけることにより、子どもたちは学習課題を確実に解決していくことができるとともに、働かせた見方・考え方のよさを実感することで、次の問題解決に向かう力も得ることができるようになるのである。

国語に苦手意識をもつ多くの子ども、さらには、国語の指導に対して苦手意識をもつ教師にとっても「スイッチ発問」は効果が期待される。

本書はきっと、あなたの明日の国語授業を変えるスイッチとなる。