授業革命 「発問-応答」型から「参加-構成」型へ
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商品説明
「授業に発問は、それほど重要ではない。発問がなくても授業は成立する」と言ったら、
読者の方々はどのように思われるだろうか。
教師の「発問」とそれに対する子どもの「応答」で展開していく授業を「発問?応答」型の授業と呼ぶ。
この型の授業で参観日や研究授業を行い、用意していた発問に子どもたちが反応せず、反応しないからさらに発問し、
どんどん教室の空気が重くなる、そんな経験をした教師も少なくないはずである。
そこには、発問のたたみかけの問題がある。
それ以外にも、子どもの主体性や子ども同士の対話など、いくつか問題を孕んでいる。
本書では、それに代わる授業として、「参加?構成」型の授業を提案する。
「参加?構成」型がどのような授業であるのか、「発問?応答」型と何が違うのか、
どのような考え方や具体的な手立てが必要なのかを詳解している。
まず、第一章では、「発問?応答」型からの脱却について、「発問?応答」型の授業を考察する。
授業の実際や問題点についてまとめた。そして、それに代わるものとして「参加?構成」型の授業を提案する。
続く第二章では、「参加?構成」型の授業をつくる方法やその授業で子どもたちに身につく力をまとめている。
次に、第三章では、「参加?構成」型の授業をつくるための、単元構想についてまとめている。
ここでは、拙著「活動する国語(東洋館出版社)」で提案している「パフォーマンス単元」を、国語科だけでなく他教科に広げていく。
最後の第四章では、「参加?構成」型の授業を支える、新たな教育モデルについてまとめている。
それは、さまざまな関係性やかかわりを重視し、「学ぶこと」と「教えること」が相互に共鳴し合うようなモデルである。
そして、学力観やカリキュラム観、単元観などを提案し、さらに、評価についてもまとめている。
はじめに
「授業に発問は、それほど重要ではない。発問がなくても授業は成立する」と言ったら、読者の方々はどのように思われるだろうか。
きっと、「そんな馬鹿な。発問のない授業なんて考えられない」のような反応が返ってくるだろう。確かに、発問は、教育技術の基礎であり、子どもの学びに不可欠のように捉えられていることが多い。授業を展開するのに発問の流れを考えたり、主発問や補助発問で授業を構想したりする。
しかし、本当にそれほど重要なのだろうか。もちろん、発問を全くしないというわけではなく、必要な時もある。ただ、その発問に応えている子どもたちの姿は、自主的、対話的とは言えない。なぜなら、子どもたちは、教師に問われないと考えないからである。また、問いかけの主が教師であるため、子どもたちは教師に向かって応答する。教師と子どもの対話になりがちなのである。
仮に、授業で子どもたちが活発に思考し、発言するような発問ができたとしよう。その発問が、他の授業や教科に活用できるだろうか。それもなかなか困難だろう。授業や教科によって学習する内容が異なり、子どもたちの学びを促すための発問は、その都度異なるからである。
それよりは、子どもたちの反応が予想と違っていたり期待外れだったりすることの方が気になる。参観日や研究授業などで、用意していた発問に子どもたちが反応せず、反応しないからさらに発問し、どんどん教室の空気が重くなる、そんな経験をした教師も少なくないはずである。そんな時、真面目な教師は、自らを反省する。今日の発問は何がよくなかったのだろうかと。
もちろん、授業に対する自省的な態度は、とても重要である。しかし、自ら振り返る点は、発問だけではないのである。なぜなら、授業の中では、子どもたちの意欲や態度、学習内容への興味や難易度、学習集団や教師との関係、学習環境との関係など、様々な要素が絡み合って成立するものだからである。特に、様々な関係性やかかわりに着目することで、新たな授業観を確立することができる。
以上のような発問と、それに応答するこどもたちで展開される授業を「発問?応答」型と呼んでいる。そして、この「発問?応答」型ばかりの授業を展開していては、教師と子どもの対話となるという問題だけでなく、様々な問題を生じさせるのである。
そこで、それらの問題を解決し、子どもたちの自主的で子ども同士の対話的な授業を展開するために、今回、「参加?構成」型の授業を提案する。子どもたちが自ら授業に参加し、対話を行う。そして、教師は、それらを組み立て、組み上げて授業を構成していく。「発問?応答」型が、教師の発問が先にあって、それに応答する子どもがいる授業であるのに対して、「参加?構成」型では、先に子どもの授業への参加があって、それらを後に教師が構成していくという、「はじめに子どもありき」の授業なのである。その意味からも、「参加?構成」型の授業が、子どもたちの自主的で対話的な授業であると分かるだろう。
本書では、「参加ー構成」型がどのような授業であるのか、「発問?応答」型と何が違うのか、どのような考え方や具体的な手立てが必要なのか、などをできるだけ詳しく説明していく。時には、授業記録を紹介する。また、単元の流れも示している。「参加ー構成」型の授業が、全ての教科や領域で展開することが可能であり、単元の流れや単元主題などは、全ての教科や領域で紹介している。そして、「参加ー構成」型の授業だけでなく、それを支える新たな教育モデルについても提案する。
まず、第一章では、「発問ー応答」型からの脱却について、「発問ー応答」型の授業を考察する。授業の実際や問題点についてまとめた。そして、それに変わるものとして「参加ー構成」型の授業を提案する。ここでは、その授業を大まかに紹介し、子どもが教材と出会うことや子ども同士の対話を重視することなどをまとめている。
続く第二章では、「参加ー構成」型の授業をつくる方法やその授業で子どもたちに身につく力をまとめている。具体的には、「参加ー構成」型の授業の実際を国語科と算数科の授業記録で紹介し、そのような授業をつくるための話し合いのルールや教師の働きかけの具体を示した。そして、最後には、「参加ー構成」型の授業で子どもたちに身につく力についてまとめた。
次に、第三章では、「参加ー構成」型の授業をつくるための、単元構想についてまとめている。ここでは、拙著「活動する国語」で提案している「パフォーマンス単元」を、国語科だけでなく他教科に広げていくことを提案している。そして、それぞれの教科で活用できる、パフォーマンスを「単元主題」とし、その主題に迫るための活動を「活動テーマ」として紹介している。
最後の第四章では、「参加ー構成」型の授業を支える、新たな教育モデルについてまとめている。それは、さまざまな関係性やかかわりを重視し、「学ぶこと」と「教えること」が相互に共鳴し合うようなモデルである。そして、学力観やカリキュラム観、単元観などを提案している。さらに、評価についてもまとめ、指導と一体化する評価活動やカリキュラムに反映できる評価方法などを紹介している。
本書の内容は、教師として三十五年間、授業を実践してきた中から導出したものである。子どもたちとの日々の営みである授業を通して、獲得してきたものである。もちろん、先輩諸氏からのご助言やご意見、様々な文献を参考にしながらの実践ではある。
そして、様々な場で、その実践を紹介したり発表したりして、多くの方々から共感や賛同を頂いたものでもある。それらをまとめることができたのではないかと考えている。
しかし、具体性にかけているところや、抽象的すぎて分かりづらいところも多いと考える。まだまだ改善が必要なところも多いだろう。それらについては、読者諸氏のご批評をいただき、改良していきたい。忌憚のないご意見を頂けたら幸いである。