複雑化の教育論 (シリーズ・越境する教育)

複雑化の教育論 (シリーズ・越境する教育)

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内田 樹著/著

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教育とはなにか? 成熟とはどのような過程なのか? 子どもたちに何を手渡すのか? ――教育を支えるすべての人に贈る希望の書

このたび、新たなシリーズ・越境する教育の刊行を2022年よりスタートいたします。
「つなぐ、ほどく、ひらく」を合言葉に、唯一解のない複雑な世界の分からなさに誠実に向き合い、教育に関わる全ての人を励まし、ともに考えていくための本づくりに努めてまいります。
第一弾として内田樹先生の『複雑化の教育論』を来年1月に刊行いたします。
内田先生は16刷を重ねる『街場の教育論』(ミシマ社)や10万部突破の『下流志向』(講談社)をはじめ、多くの教育論を著し、教員、保護者などから共感を得てきました。 本書は内田先生が長年考え続けてきた教育論の決定版とも言える、これまで以上に「成熟」というテーマに踏み込んだ内容となっています。

成熟とは「複雑化する」ことである

教育が子どもたちの「成熟」を支援するための営みだということは周知のとおりでしょう。
では、その「成熟」とは一体なにを指しているのでしょうか。
新たな知識を獲得して、できることが増えていくことでしょうか。
あるいは、周囲の人々と協力して、よりよい社会をつくるための役割を果たすようになることでしょうか。

内田先生は「成熟とは複雑化することである」と定義します。
例えば、以前とは違った表情を浮かべ、聞いたことのない語彙を用いて語り始め、これまでしたことのないふるまいをするようになる――、このような変化が複雑化するということだと言います。
このとき、子どもは自ら「複雑になろう」として複雑になるわけではありません。

自分の中に新たに生まれたズレや葛藤と向き合う中で、これまで通りではうまく表現できないことに気付き、別の仕方で表現せざるを得ない、そうせずにはいられないから複雑になる、そういった統御できない変化なのです。
ですから、一番当惑しているのは子ども自身です。
まるで別人になってしまったかのように感じられる自分自身に戸惑い、苦しみます。そのため、周囲からの承認や支援が得られないと、子どもはできあいの、ある「定型」に収まろうとしてしまいます。

それは「ヤンキー」などのふるまい方の一つの類型であったり、周囲から設定された「キャラ」であったりします。
これは複雑化ではありません。このような定型に収まるという仕方は、一時の解決策にはなりますが、いずれ無理がきてしまいます。
子どもに寄り添う大人が複雑化していく子どもを認め、歓待することで、そのような「飛躍」や「転回」をさせないようにし、子どもが安心して複雑化することができる環境をつくることが重要です。
しかし、複雑化の過程にある子どもに寄り添う大人にとっても、子どもがあるとき突然別人になったと感じられるような変化であり、受け入れる側に胆力が求められます。

さらに複雑化には即席な効果は期待できず、またそれを測るものさしもなく、子どもの複雑化に向き合うには骨を折る必要があります。
それでも、教師も親も、周りの大人たちは複雑化を支援するという立場を選び取る必要がある、複雑化プロセスを連続的に繰り返す以外に子どもたちが成熟する道筋はないと内田先生は主張します。
そのような複雑化を支援する立場を選び取る大人を一人でも多く増やしたい、このような思いから内田先生は筆を執りました。

過小評価されている複雑化の価値を再評価する

一方で、今の世の中では、複雑化が過小評価されており、子どもの複雑化を支援する教育を行うことが難しくなっていると言います。
現代日本では、さまざまな事象について、分かりやすくて単純な説明をすることが「賢さ」とみなされてはいないでしょうか。
同時に、組織の生み出す価値よりも効率的な管理の仕方を重視する「組織マネジメント原理主義」や、組織管理コストを最少化することが絶対善であると信じ込む「管理コスト最少化原理主義」に現代社会が侵されているのではないか、と指摘しています。

そのような社会では、複雑で予測の立ちにくい仕組みよりも、単純で誰が操作しても同じ結果が出力されるような仕組みが好まれます。
しかし実際に私たちが直面する現実は非常に複雑です。複雑な現実に対処するためには、同じような複雑な仕組みでなければ立ち向かえません。問題処理の仕組みが単純化するにつれ、現実と仕組みの間の乖離が拡大し、問題処理能力が低下するからです。

このように現代社会に見られる様々な病理を引き合いに単純化と複雑化について論を展開し、過小評価されている複雑化の価値の再評価を試みています。
教育、哲学、宗教、武道、映画など様々な側面から織りなされた内田先生独自の重層的考察には、普段感じているものの、言葉にならない感覚や経験知が言語化されており、新しい気付きを得られるはずです。

本書では、このように「複雑化」を一つのキーワードに「複雑なものを複雑なまま扱う」という実践的な賢さを取り戻し、レジリエンスのある社会を形成するための教育の在り方について考えています
教育を支えるすべての人に贈る希望の一冊です。

シリーズ・越境する教育

いくつもの問いを手に、教育に思いを巡らす。
「つなぐ、ほどく、ひらく」を合言葉に、分からなさをたのしみ、
しなやかに考えるための目印となる一冊を編んでいきます。

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