中学校道徳科 ゼロからわかる授業づくり
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商品説明
2019年度から教科化された中学校特別の教科 道徳は、各地で授業研究が盛んに行われています。山口大学附属光中学校を経て山口県の研究指導主事を務める藤永啓吾先生は、約750人が参加するLINEのオープンチャットを運営するなど、日夜研究を進めています。
本書では、『中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳』を丁寧に読み解き、授業づくりを「ねらいづくり」「問いづくり」「指導案、板書づくり」「道徳科の時間を豊かにする一手間(授業前後の関わり)」の4STEPに分けて解説するほか、「視点替え」や「リレー発表」などの授業モデルを5つ提案します。その中から、「役割演技」を紹介します。
まずは漫画をご覧ください。(漫画は左から右に読むコマ割りです。)
役割演技とは
現実の場面を想定し、テーマに基づいて複数の人がそれぞれの役を即興的(形にとらわれず思うままに)に演じる方法です。ロールプレイングとも呼ばれています。効果としては、自己や他者の行動の在り方、考え方等を、現実感を帯ながら見つめたり、考え直したりすることができます。
役割演技の特徴
中心となる問いを基に役割演技の場面を設け、様々な立ち位置を体験的及び客観的に捉えることで、自己の考えをより一層深めることができる。
授業の流れ(50分)
- ① ねらいに関わる子どもの認識を共有する(4分)
- ② 教材を読んで、感想を共有する(7分)
- ③ 中心的な問いを投げかけ、考え合う(6分)
- ④ 役割演技をする(10分)
- ⑤ 役割演技を通して感じたこと、考えたことの意見を共有する(8分)
- ⑥ 深める問いを投げかけ、考え合う(8分)
- ⑦ 考えを自己または人間としての生き方につなげる(7分)
◆ 教材
『二通の手紙』で実践(あらすじは漫画より)
◆ 導入
きまりの必要性を考えます。その後、意見交換の場面を設けます。
T: 「きまり」があることは、私たちの生活の中でどのように役立っているのかな?
C: 安心できる。
C: 嫌な思いをする人がいなくなる。
C: スポーツや社会が成立する。
◆ 展開1
教材を読み、元さんの心情を考えます。
T: 二通の手紙を見比べながら、元さんは何を考えていたのかな?(中心的な問い)
C: きまりを破ることがこんなにも大問題になるとは思わなかった。
C: ちょっとした自分の甘さが大問題になる可能性があると思った。
C: あの時、自分に他の選択肢はなかったのかな。
C: 自分勝手な行動で他人を傷つけずに済んでよかった。
◆ 展開2
役割演技を通して、更に考えを深めます。
もし、あなたが元さんの同僚だったら、元さんの姉弟に対する行為に対して、どのような行動をとるかな?
シナリオ-姉弟を園内に入れようとする元さんと園のきまりを遵守する同僚とのやりとり
視点-きまりの意義
分担①姉と弟、②同僚、③元さん(授業者が行います)
役割演技を基に、更に考えを深めます。
T: 園に残った同僚の佐々木さんが元さんから受け継いだ思いとはどんなものだと思う?(深める問い)
C: 何のためにきまりがあるのかをしっかりと考えてほしいという思い。
C: きまりを守るというのは動物園のことだけでなく、利用者の安全や安心をも守っているということ。
◆ 終末
学んだことをワークシートや道徳ノートに書きます。
T: 人はどうして多くの場面できまりをつくったり、守ろうとしたりするのだと思う?
板書例
評価のポイント
① 子どもの学習に関わる評価
自分たちの生活や権利を守るための「きまり」の大切さを再認識しようとする姿や、自分の生き方につなげて考えようとする姿、また、よりよい社会の実現に向けて考えようとする姿を積極的に探し、認めていくことが大切です。
② 授業者のための授業評価
法やきまりについて、単に守ることだけでなく、守ることの必要性や影響、つくったり変更したりすることの意義等の視点から捉え直し、自己の考えを広げたり、深めたりしようとしていたかを見取っていくことが大切です。
道徳科の授業づくりについての悩みの原因は3つに分かれるでしょう。
- ① 「子どもの発達の段階」
- ② 「教材内容の難易度が高い」
- ③ 「一つの型に即して全ての授業を同じような流れでつくっている」
担任として受け持つ道徳科授業では、内面、外見の変化の多い中学生と持続的に関わっていく必要があります。
さまざまな授業スタイルを身に付けつつ、学習指導要領に準拠し、系統的に道徳科の授業をつくっていきたい先生にお勧めです。