思考ツール×物語論で国語の授業デザイン
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商品説明
思考ツールを使って物語の仕組みに迫ると、教材の読みはもっと深まる!
登場人物に寄り添い、その気持ちを考えるだけの授業でいいの?
物語がどのような構造や技法によって組み立てられているかということを分析する「物語論(ナラトロジー)」。文学研究の世界では古くから取り入れられている概念ですが、国語の授業ではどうでしょうか? 文学教材の読みにおいて、物語を構造的に読み解くための指導が十分になされてきたとは言えません。
物語の普遍的な類型や機能、語りの技法などを踏まえた指導によって、物語を外側から分析する姿勢が身につき、教材の読みが格段に深まります。「物語論」と聞くと、子どもたちには難しいと感じるでしょうか? 本書では、「思考ツール」と組み合わせることで、小学校低学年の子どもでも理解できる方法を紹介しています。
物語論によるアプローチが国語の授業を変える!
国語授業の伝統的な方法と言えば、描写や心情を丁寧に読み取り、帰納的に人物像や作品の主題に迫っていくというボトムアップによる読み方です。それに対して、物語の型を当てはめるというトップダウンによって素早く読み取り、推論に基づいて自分の考えを形成していくという学習が、これからの時代の国語授業には求められています。
登場人物に寄り添い、その気持ちを考えるだけの授業では、国語の資質・能力は育成できないのです。
思考ツールと物語論の融合がもたらす効果
思考ツールとは、考えたことを可視化して整理・共有したり、より深い思考を促したりするための道具です。国語の教科書にも大きく掲載され、その機能性は広く認められるところでしょう。授業に取り入れている先生も多いのではないでしょうか?
この思考ツールを活用することによって、物語論的アプローチが飛躍的にわかりやすくなります。なぜなら、物語論は物語の類型を分析する学問なので、枠組みで捉える思考ツールとの親和性がとても高いのです。思考ツール×物語論は最適な組み合わせと言えるでしょう。
おもしろすぎる基礎理論
本書の第1章では、教授と教え子との軽妙な対話によって、思考ツールや物語論の基本的な考え方、授業に取り入れるポイントなどを解説しています。物語論のちょっとややこしい理論も、二人の対話を楽しんでいるうちに理解できてしまう仕組みです。
第1章を読むだけでも、教材分析や授業づくりに生かせる知見を手に入れることができるはずです。
思考ツール×物語論の授業モデル
第2章では、以下の6つのカテゴリーごとに、計21種類の思考ツールを使った具体的な授業実践を紹介しています。
・人物関係
・物語の構造
・願いとテーマ
・表現効果
・語り手
・批評と創作
さらに、第3章では、教師の授業デザインや学習の振り返りにおいて、思考ツール×物語論を取り入れた事例も紹介しています。授業もまた一つの「物語」と捉えれば、物語の構造を授業づくりに当てはめて考えることもできるのです。
定番教材の豆知識も
コラムでは、定番教材の意外な豆知識も披露しています。これらもまた、物語を外側から分析する視点へと導くでしょう。
物語の仕組みがわかると、国語の授業は面白くなる!
山本茂喜
香川大学教育学部教授。
1957年生まれ。筑波大学第一学群人文学類卒、筑波大学大学院教育研究科修了。桐朋中・高等学校教諭、上越教育大学助手を経て現職。国語科教育専攻。
主な著書に、『ビジュアル・ツールで国語の授業づくり』『魔法の「ストーリーマップ」で国語の授業づくり』『思考ツールで国語の「深い学び」』(以上東洋館出版社,編著)。共著に、『国語科教育研究法』(聖文社)『国語教育研究の現代的視点』『新しい時代のリテラシー教育』(東洋館出版社)『小学校「物語づくり」学習の指導』(渓水社)等がある。