不適切な関わりを予防する 教室「安全基地」化計画

    不適切な関わりを予防する 教室「安全基地」化計画

      ISBN: 9784491050850

      川上康則/編著、武田信子/著、村中直人/著、荻上チキ/著

      $15.00

      著者紹介

      川上康則(かわかみ やすのり)
      東京都杉並区立済美養護学校主任教諭。公認心理師、臨床発達心理士、特別支援教育士スーパーバイザー。NHK Eテレ『ストレッチマンV』『ストレッチマン・ゴールド』番組委員。立教大学卒業、筑波大学大学院修了。肢体不自由、知的障害、自閉症、ADHDやLDなどの障害のある子に対する教育実践を積むとともに、地域の学校現場や保護者などからの「ちょっと気になる子」への相談支援にも携わる。著書に、『〈発達のつまずき〉から読み解く支援アプローチ』(学苑社)、『通常の学級の特別支援教育 ライブ講義 発達につまずきがある子どもの輝かせ方』(明治図書出版)、『子どもの心の受け止め方』(光村図書出版)、『教室マルトリートメント』(東洋館出版社)など。

      武田信子(たけだ のぶこ)
      臨床心理士。武蔵大学教授、トロント大学、アムステルダム自由大学大学院で客員教授などを歴任した後、一般社団法人ジェイスを立ち上げ、代表理事。ウェルビーイングな発達を保障する養育環境の実現とマルトリートメントの予防のために、対人援助職の専門性開発に取り組む。著書に、『教師教育学』(フレット・コルトハーヘン著書の監訳/学文出版)、『教員のためのリフレクション・ワークブック』(編著/学事出版)、『やりすぎ教育』(ポプラ新書)、『教師の育て方』(多賀一郎氏との共著/学事出版)など。

      村中直人(むらなか なおと)
      臨床心理士、公認心理師。一般社団法人子ども・青少年育成支援協会代表理事、Neurodiversity at Work 株式会社代表取締役。人の神経学的な多様性に注目し、脳・神経由来の異文化相互理解の促進、および学びかた、働きかたの多様性が尊重される社会の実現を目指して活動。2008 年から多様なニーズのある子どもたちが「学びかたを学ぶ」ための支援事業「あすはな先生」の立ち上げと運営に携わり、現在は「発達障害サポーター's スクール」での支援者育成にも力を入れている。著書に、『ニューロダイバーシティの教科書』(金子書房)、『〈叱る依存〉がとまらない』(紀伊國屋書店)など。

      荻上チキ(おぎうえ ちき)
      評論家。メディア論を中心に、政治経済、社会問題、文化現象まで幅広く論じる。NPO 法人ストップいじめ! ナビ代表理事。一般社団法人 社会調査支援機構チキラボ所長。TBS ラジオ番組『荻上チキ・Session』メインパーソナリティー。同番組にて2015 年度、2016 年度ギャラクシー賞を受賞。著書に『すべての新聞は「偏って」いる』(扶桑社)、『日本の大問題』(ダイヤモンド社)、『いじめを生む教室』(PHP 新書)、『社会運動の戸惑い』(山口智美氏、斉藤正美氏との共著/勁草書房)、『ブラック校則』(内田良氏らとの共著/東洋館出版社)、『みらいめがね(1 ~ 2)』(ヨシタケシンスケ氏との共著/暮しの手帖社)『宗教2 世』(櫻井義秀氏らとの共著/太田出版)など。

      目次

      目次
      はじめに 001

      序章 教室マルトリートメントを考えるポイント
      マルトリートメントの概念の整理 012/ネガティブなヒドゥンカリキュラムが子どもの「育つ権利」を奪っている 015/処分の対象にはなっていないグレーゾーンを言語化する 018/教室と職員室をつなぐマインドセット 021/なぜ、教室マルトリートメントは続くのか? 023/教師もまた「権威勾配」の影響を受ける当事者である 027/「働き方改革」がもたらした「時間をかけたくない」気持ちの増長 030/不適切な関わりはトラウマを残す 034/教室マルトリートメントがもたらすさまざまなストレス036/不穏で尖った空気感をつくり出す「毒語(毒のある言葉)」 038/あらためて子どもへの適切な関わりを考える 043/「安全基地」としての教師の役割  044

      第1章 「やりすぎ教育」と教室マルトリートメント
      対談 武田信子×川上康則
      [イントロダクション/川上より] 私たちはなぜ、機嫌よくいられなくなるのか 053/「枠組み」の存在と「あるべき姿」の呪 056/教師の「恥ずかしい」は二重構造 062/社会環境と子どもの変化 065/教師の認知バイア 068/「ないものねだり」から「あるもの探し」へ 070/「やりすぎ教育」と教室マルトリートメント 076
      [講演/武田より] 「やりすぎ教育」を生む社会的マルトリートメント 079/エデュケーショナル・マルトリートメントという言葉 080/大人から子どもへのディスエンパワーメント 088/子どもにかかるストレス 095/日本は〝幸せな国〞と言えるか? 099/子どもの権利条約 101/「生き残る力」VS.「共に生きる力」 102
      [対談] 子どもに試練を与える教師 110/教師教育とセルフスタディ 116
      [Q&A] 安全に失敗できる場で、レジリエンスを高める 121/枠にとらわれすぎない 124/教師に、安全な基地を 127/自分の違和感を大切にする 130
      参加者のみなさまからの声 138
      対談を終えて 国際的な視点から見るエデュケーショナル・マルトリートメント(武田信子) 142
      付録資料 148

      第2章 学校現場の〈𠮟る依存〉と教室マルトリートメント
      対談 村中直人×川上康則
      [イントロダクション/川上より]感情労働としての教師 155/あれもこれも最優先 160/自分で自分に「とらわれない」と言い聞かせる 166/強い圧と弱い圧 168/学校現場の〈𠮟る依存〉と教室マルトリートメント 172
      [対談]アディクション(依存)という視点から 176/𠮟る人の「苦しみ」に思いをはせる 184/「𠮟る」も「褒める」も、〝後さばき〞 188/防御モードと冒険モード 192/無力化される子どもたち 197/権力者の立場から降りる 202/〝前さばき〞のススメ 204/ないものねだりではなく、あるもの探しを 208/ 子どもの〝立つ瀬〞を考える 216/ニューロダイバーシティなものの見方 218
      [Q&A]予測力の精度を上げる 221/ 「目的・目標」を権力者から切り離す 225/社会に吹く風を変えよう 230
      参加者のみなさまからの声 236
      対談を終えて 〝あるべき姿〞と向き合い続ける(村中直人)240

      第3章 子どもの「心理的危機状態」とは何か
      ――教室マルトリートメントの視点から考える
      対談 荻上チキ×川上康則
      [イントロダクション/川上より]学級の荒れの山場 249/環境要因の重要性 252/教室を重く苦しめているもの 257
      [レクチャー]研究データをもとにいじめ対策を 266/いじめは減少しつつある 270/いじめとトリートメント/マルトリートメント 272/いじめ対策の1・2・3 277/がらりと変わる先生の「モード」280
      [対談] 複数担任制やサポート人員との権限の分配の重要性 283/心理的危機状態とは何か 289/「連休明けブルー」にご用心 302/不機嫌な教室とご機嫌な教室 306
      [Q&A]ハームフルな教師/ハームレスな教師 315/手続き的公正を確保する 323/学校を小さな民主主義に 328/笑顔の子どもたちと出会うために 330
      参加者のみなさまからの声 336
      対談を終えて 「いじめマルトリートメント」への理解を(荻上チキ) 340

      第4章 教室マルトリートメントの処方箋――対談を終えて
      対談を終えて 348/「指導者の窮屈さ」論を乗り越える 351/傷つき体験は怒りになる 354/教師の「正義のフィルター」の構造 356/思い描くイメージと実際との落差を埋めるのは、マニュアルや手引ではない 356/「観」を磨くことの大切さ 359/人間観を磨く 360/関わりの基本的な原則 362/「主体的に生きる存在」としての子どもを支える教師の態度 363/ 教師自身も「主体的に生きる人」を実現する 366/人生からの問いかけに対して応えていくこと 367/「ホモ・パティエンス(苦悩する存在としての人間)」であり続ける教師 369

      おわりに 375
      教室「安全基地」化計画ブックガイド i

        • 本日発送 Dec 08, 2023 09:00:00 +0900 以内に注文する

        商品説明

        専門家と考える「教室マルトリートメント」の処方箋

        本書の概要

        1「やりすぎ教育と教室マルトリートメント」(武田信子)、2「学校現場の〈叱る依存〉と教室マルトリートメント」(村中直人)、3「子どもの心理的危機対応とは何か」(荻上チキ)の三つのテーマから考える、不適切な指導への予防策。累計750名の教育関係者を動員したオンラインセミナー待望の書籍化!

        本書からわかること

        子どもの育ちに必要なものとは?

        「安全基地」とは場所のことではなく、人の役割や働きかけのことを指し、発達心理学の用語です。かつて、子どもの育ちと愛着の関係に着目した心理学者・ボウルビィは、「子どもたちが順調に穏やかに育つためには、安全と探索が必要だ」と述べ、その土台として「アタッチメント」の形成が不可欠であると説明しました。アタッチメントは、日本では「愛着」と訳されていますが、本来の意味は「接続・装着・連結・取り付け」です。

        教室を「安心と信頼」で溢れる場所にするには?

        人が主体的に行動しようとする際には、喜んでその背中を送り出してくれるような空港の滑走路のような役割を果たし、何かあったときに戻って来ることができる、安心感のある場所が必要です。離れていてもお互いのことを思い、何かあったときには戻って安心感をもたらすことができる存在。後年、心理学者メアリー・エインズワースによって、この役割をもった大人の存在が「安全基地(Secure Base)」と名付けられました。本書は、教室を子どもたちの「安全基地」にしていくことを目指した1冊です。

        あらためて「教室マルトリートメント(不適切な指導)」とは?

        「教室マルトリートメント」とは、編著者である川上康則先生による造語です。教室内で行われる指導のうち、体罰やわいせつ行為のような違法行為として認識されたものではないけれども、日常的によく見かけがちで、子どもたちの心を知らず知らずのうちに傷つけているような「適切ではない指導」を取り上げています。例えば、事情を踏まえない頭ごなしの叱責、子どもたちを萎縮させるほどの威圧的・高圧的な指導などは分かりやすい例です。

        教育界の構造的な問題とは?

        2022年4月に刊行した『教室マルトリートメント』は、これまでグレーゾーンとされてきた教師の不適切な関わりを、単に教師個人の資質や能力の問題として捉えるのではなく、むしろ誰もが陥る可能性があり、かつ教育界の構造的な問題に端を発している課題と考えるべきではないかと指摘し、教師や保護者の皆さまから大きな反響が寄せられました。それらの共感の声から後押しを受けて開催した刊行記念イベントを書籍化したのが、本書『不適切な関わりを予防する 教室「安全基地」化計画』です。

        適切な関わりのために手に入れたい新たな発想や概念とは?

        共著者として、臨床心理士で一般社団法人ジェイス代表の武田信子さん、臨床心理士で公認心理師そして『〈叱る依存〉がとまらない』(紀伊國屋書店)の著者である村中直人さん、評論家でNPO法人ストップ!いじめナビ代表の荻上チキさんという各論者から、社会システムから問い直す/ニューロダイバーシティを知る/権力勾配を緩やかにする/学校ストレスを言語化する……等、多くの視点が提案されています。また、「マイクロアグレッション(小さな攻撃)」の概念や、「子どもの権利条約」に関する知識などを丁寧に整理するのに加え、教室マルトリートメントを防ぐための読書案内も収録し、豊富な情報提供となるように心がけました。

        こんな先生におすすめ

        ・威圧的な指導や子どもに試練を課すような指導の在り方に違和感を抱いている先生

        ・子どもたちの安心と信頼で溢れる教室を目指す先生

        ・2学期からの学級経営を見直したい先生

        商品の仕様

        • 読者対象: 小学校教員、中学校教員、高等学校教員、特別支援教育担当教員
        • 出版年月: 2023年8月16日
        • ページ数: 384

        Customer Reviews

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        ダイスケ
        見直しに

        このような本、自分を見直すことは大切だと思いました。

        上野 明
        子どもと向き合う力に

        自分のマインドを変えてくれる1冊でした。教師だから正しい、自分の指導は正しい。それが子どもの安心を崩すことにつながっていく。こうあるべきにとらわれず、子どもに寄り添い、耳を傾けながら、受け止めることを大事にしようと改めて感じさせられる本でした。

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