教職エンパワーメント
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商品説明
上意下達型組織像からの脱却———
「学習する組織=学校」として、山積する課題を解決する!
本書の概要
近年、学校現場は業務過多により疲弊し、教員志望者の減少、子どもの不登校の増加、AIによる学習環境の変化、そして「教職の劣位化」という構造的な課題が山積しています。こうした変化の中で、教職は何をよりどころにし、どこへ向かうべきでしょうか。本書は、学校ガバナンス改革・教職の専門性・校長のリーダーシップの在り方・組織マネジメントなど、教育経営学の核心を体系的に示した一冊です。 教職が本来もつ力を取り戻すための理論と実践を提示する、現場・研究双方の第一人者による決定版です。
本書からわかること
「教職ディスエンパワーメント」からの反転へ
ここ20年以上にわたって、教職は「ディスエンパワーメント(自信や自己効力感の剥奪)」の状態に追い込まれてきています。その要因として、以下が挙げられるのではないでしょうか。
・教師自身が、自分の職に対する誇りや手応えを失わされている
・学校組織の内側に、教師の潜在力を押さえ込む構造が存在している
・近年のガバナンス改革・「高度専門職業人」論が、結果として教職の劣位化を促進している
本書で述べる「教職のエンパワーメント」とは、「教授・学習活動の質を高めることに、自分は関与できるし、変えられる」という確信と自己効力感を取り戻すことです。教職をエンパワーメントするため、過去数十年にわたる教育政策・学校改革の軌跡と、国内外の調査データを丹念に紐解きながら、なぜ教職がディスエンパワーされてしまったのか。どうすれば、教職の専門性を回復できるのかを理論的・歴史的に描き出します。
「学識ある専門職」としての教職像を取り戻す
かつての「教師=専門職」論は、医師や法曹のような独立専門職をモデルにし、地位や処遇の向上を目指してきました。その後、ショーンらの「省察的実践」論によって、教職の専門性というのは暗黙知と形式知を行き来しながら、実践の中で深まるものだという理解が広がります。
・子どもの実態に即して判断し、試行錯誤しながら実践する省察的な営み
・過去の優れた実践や教育諸科学からの知見を統合しながら、日々の授業・学級づくりに向き合う姿
このことこそが、教職の専門性の核であり、「学識ある専門職」としての教職像だと位置づけられます。しかし一方、「高度専門職業人」という概念が、産業界・経済効率の文脈から生まれ、それを無批判に教職に当てはめることには限界があるはずです。教職のエンパワーメントには、「学識ある専門職」という視座を明確に掲げる必要があります。
本書では、そのためにも勤務環境を「専門職の仕事」にふさわしいものへと変える必要性を述べています。「時間内に処理しきれない業務の膨張」により、授業準備や評価・記録、学級経営に必要な思考の時間が圧迫されることで、教職が「単純労働化」し細かなテクニックの習得だけに矮小化される「瑣末技術主義」に陥る危険があるのです。
エンパワーメントの第一歩は、教師が授業・学級づくりに本来必要な時間とエネルギーを注げる勤務条件を再構築することです。それには、教員配置や業務を、「学識ある専門職の仕事」として組み直す発想が不可欠なのです。
管理職だけの本ではない――すべての教師が「学校経営」の主体
本書では、一貫して「学校経営で最も重要なアクターは、一人ひとりの教師であること」「すべての教師が、自分の授業や学級を超えて、学校組織全体をどうつくるかに関わる主体でありうること」を述べています。
授業改善や学級経営の工夫が、なぜ学校全体の変化につながりにくいのか。研究主任や分掌担当者が、研修や研修所で学んだアイデアを「自分の学校ではムリだ」と諦めてしまうのはなぜか。
その背後にあるのが、「組織」という壁をどう扱うかについての知識と視点の欠如にほかなりません。本書では、過去の専門家たちの理論を学ぶとともに、学校経営学の知見を「管理職のための理論」に閉じ込めるのではなく、教師自身が自律的に組織を動かすための方策を考えていきます。
こんな先生におすすめ
・校長・副校長・教頭など学校管理職
・教職の専門性や学校改革を体系的に学びたい教員
・教育行政・教員養成に関わる方
・大学院で教育経営学・教育行政学を学ぶ学生
・学校改革を進めたいが、何から考えればよいか悩む方


