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月刊 理科の教育2026年7月号

ISBN: 4912093130761

一般社団法人日本理科教育学会/編

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商品説明

特集:理科の目標の枠組を超えた 成長が期待できる授業とは

人間形成に迫る理科教育の意義とは

現行の学習指導要領が全面実施されて以降、理科の授業においては、問題解決の活動や探究活動を通して、理科の目標に示された資質・能力の育成が図られています。そのため、単元ごと、あるいは時間ごとに育成すべき資質・能力を明確にした「単元目標」や「本時の目標」を設定し、それらの達成に向けて指導と評価を繰り返しながら、日々の授業が行われていることでしょう。
そのような中で、児童生徒が授業を通して、設定した目標以上の資質・能力を獲得したり、目標とは異なる側面で成長したりする姿に出会うこともあるのではないでしょうか。その内容は理科の学習と密接に関わるものにとどまらず、理科とは直接関係のない、倫理 面や道徳面など、全人的な成長として表れることもあるでしょう。また、他教科と関連させながら、より深い概念を子どもたち自身が形成する場合もあります。それらは、教員が意図して育成を図った結果である場合もあれば、教員の想定を超えた学びとして生じることもあるでしょう。いずれにしても、このような児童生徒の成長した姿に出会えることは教員にとって大きな喜びの一つです。
そもそも教育の目的は、教育基本法に示されているとおり、「人格の完成」を目指すことにあります。その目的を達成するための一時期として学校教育が位置付けられ、その中に教科指導があります。また、2022年12月に改訂された「生徒指導提要」(文部科学省)では、 「授業は全ての児童生徒を対象とした発達支持的生徒指導の場となる」と示されています。さらに、「教科の指導と生徒指導を一体化させた授業づくり」が、自己存在感の感受、共感的な人間関係の育成、自己決定の場の提供、安全・安心な風土の醸成を意識した実践であるとされています。理科授業を実践する教員は、これらの視点をどの程度意識して授業をデザインしているのでしょうか。
理科授業を構想し、実施する際には、教科の目標を明確に設定しつつも、理科の学習を通して実現したい別の目的を併せもつことがあってもよいのではないでしょうか。例えば、地学領域の指導において、知識の習得を主たる目標としながらも、「防災意識を高める」や、「地球規模の環境保全の行動ができる人材を育てる」といったことを期待することはないでしょうか。また、物理分野の実験において、数値が揃いにくい実験結果を基に集団で考察することを通して、規則性や関係性を見いだすと同時に、より妥当な考えを導き出すための「合意形成することのよさや価値」に気付かせたいと願うこともあるでしょう。さらに、中学校での「天体の日周運動と地球の自転」や「金属の電気抵抗」の学習を通して、生徒は小学校段階で学習した「太陽の位置の変化」や「電気を通す物」に関する知識が更新される経験をします。したがって、「視点や視座を変えることで、自然の事物・現象に対する理解は変容することがある」という自然科学の本質に気付かせることを目的とした授業実践も考えられます。
このように、単元目標や本時の目標の先や裏に、児童生徒の人間としてのさらなる成長を期待しながら授業実践を行っている事例はないでしょうか。あるいは、意図的・計画的ではなかったとしても、教員の期待を超えて児童生徒が自らの学習を通して成長したと実感させられた事例はないでしょうか。本特集では、理科の目標達成を目指しながらも、教育の目的である人間形成に迫る実践や事例を共有することを通して、理科教育、ひいては学校教育が果たしている意義を再認識できる機会にしたいと考えています。

(『理科の教育』編集委員会)