月刊 初等教育資料2024年12月号
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商品説明
特集Ⅰ
個に応じた指導の充実①
小学校学習指導要領(平成29年告示)では、指導方法や指導体制の工夫改善など個に応じた指導の充実について、「児童が、基礎的・基本的な知識及び技能の習得も含め、学習内容を確実に身に付けることができるよう、児童や学校の実態に応じ、個別学習やグループ別学習、繰り返し学習、学習内容の習熟の程度に応じた学習、児童の興味・関心等に応じた課題学習、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れることや、教師間の協力による指導体制を確保することなど、指導方法や指導体制の工夫改善により、個に応じた指導の充実を図ること。その際、第3の1の⑶に示す情報手段や教材・教具の活用を図ること」と示されています。
また、『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 総則編』には、個に応じた指導の充実を通して、「児童一人一人の資質・能力を偏りなく育成し、その後の学習や生活に生かすことができるようにすること」「児童が自分にふさわしい学習方法を模索するような態度を育てること」「学習の遅れがちな児童には特に配慮する必要がある」ことなどが示されています。
今回、12月号と1月号にわたって「個に応じた指導の充実」を特集し、総則の視点及び教科等として大切にしたいことについて焦点を当てて展開していきます。12月号では、解説と論説(幼児教育、国語科、社会科、算数科、理科、生活科、音楽科)を示しています。本特集が、各幼児教育施設、各校の個に応じた指導の充実につながることを期待します。
特集Ⅱ
学習指導要領における指導のポイント[生活]
好奇心や探究心を高める学習活動
生活科の教科目標の冒頭には「具体的な活動や体験を通して」とあります。この文言は、平成元年に生活科が新設された当初から一貫して変わっていません。このことは、生活科は、「具体的な活動や体験を通して思考する」などの小学校低学年の発達上の特徴を踏まえていることや、生活科の学習は、具体的な活動や体験をすることを前提にしていることを示しています。ここでいう「具体的な活動や体験」とは、見る、聞く、触れる、作る、探す、育てる、遊ぶなどして身近な人々、社会及び自然に直接働きかける学習活動でもあります。その際、子供が身近な人々、社会及び自然に一方的に働きかけるのではなく、それらが子供に働き返してくるという、双方向性のある活動が行われるようにすることが大切です。生活科では、身近な人々、社会及び自然との出会いや、体験活動と表現活動とが繰り返される学びのプロセスによって、好奇心や探究心が高まり「やってみたい」「知りたい」「できるようになりたい」といった思いや願いをもつ。そして、その思いや願いがさらに膨らむような学習活動を展開していくことで、身近な人々、社会及び自然を自分との関わりの中で捉え、単元を通して主体的に学びます。
具体的な活動や体験を通して、自立し生活を豊かにしていこうとする資質・能力を育成するという教科の特質や、幼児教育と小学校教育の接続の観点からも、生活科の学習にとって好奇心や探完心は、身近な人々、社会及び自然に双方向性のある活動としていくため
に大きな原動力となり、欠かすことができないものです。また、遊びを通した学びから、より自覚的な学びとするために、子供の思いや願いの実現に向けた必然性のある学習活動を生み出し、気付きの質を高めていくためにも必要なことです。だからこそ、子が供好奇心や探完心を高める学習活動が極めて重要となるのです。
そのためには、身近な人々、社会及び自然への好奇心や探完心を高めながら、体験活動と表現活動とが繰り返される学習活動とする同時に、好奇心や探究心によって連続的・発展的な学習活動としたり、単元を展開したりすることで、より自覚的な学びとします。このことによって育成を目指す資質・能力が繰り返し発揮され、確かなものになっていくことが求められるのです。
そこで、本特集では、各学校において、好奇心や探究心を高める学習活動としていくために、解説、論説、事例を示し、学習指導要領のよりよい実施となる指導計画や授業改善に寄与するものとします。