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これからの道徳教育はどうあるべきか

ISBN: 9784491059082

浅見 哲也/著

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商品説明

まだ見ぬ〈新しい道徳科の授業〉へ

次期学習指導要領を見据え、前・文科省教科調査官が「これからの道徳教育の姿」を提案する!

本書の概要

道徳教育が「特別の教科」として位置付けられてから10年。いじめ問題の深刻化、ICT端末の急速な普及、そしてAIとの共生が求められる社会の到来──学校現場では、道徳教育に対する期待と課題がこれまでになく交錯しています。

・道徳科の「特別の教科」化で授業はどう変わったのか
・資質・能力ベースの学びへの転換で生じた課題は何か
・全教育活動における道徳教育はどう再構築されるべきか
・「深い学び」「個別最適な学びと協働的な学び」:これからの授業はどうあるべきか
・AI時代における「人間らしさ」「道徳性」とは何か

こうした問いに向き合いながら、授業づくりの基本・教材観・発問の再考・指導と評価との一体化など、明日からの授業改善に直結する視点を豊富な実践とともに提案します。
さらに本書では、著者が提案する「タメ(溜め)」をつくる指導の在り方、他教科等の学習過程から学ぶ柔軟な発想、AIとの共生を踏まえた新たな道徳教育の方向性を描きます。加えて、オリジナル教材として新たに考案した 内容項目[義理と人情]教材『ぼくの友達』 を収録。教科調査官経験者ならではの深い洞察と、現場感覚に根ざした実践提案が融合した「道徳の次の10年」を示す一冊です。

本書からわかること

道徳教育10年の成果と課題を総点検

本書はまず、「特別の教科 道徳」開始からおよそ10年の歩みを、道徳教育実施状況調査のデータや政策文書を丁寧に読み解きながら点検します。道徳科が「量的に確保され、教科として定着してきた」こと、教師の意識の高まりや授業時間の確保、学校全体で取り組む姿勢が広がったことなどの成果の一方、多くの学校が「話合いや議論を通じて考えを深める指導」「物事を多面的・多角的に考える指導」「道徳的価値を自分との関わりで深める指導」が難しいと感じていること、評価の妥当性・信頼性の確保などが課題として挙がっています。
本書は、これらの成果と課題を踏まえて、今後の道徳教育を「量から質へ」「教科として定着させる段階から、学びの本質を問う段階へ」進めるための視点を、わかりやすく整理しています。

道徳科の授業改善
――「読み取り道徳」「押し付け道徳」から、子ども主体の授業へ

本書の大きな柱の一つが、「道徳科の授業はどう変わるべきか」です。教科化前の道徳の授業では、ややもすると子どもが一本のレールに乗せられ、登場人物や教師の考えという「終着駅」に向かっていくだけの授業であることが課題となっていました。これからは、ねらいとする道徳的価値を、一面的にではなく多面的・多角的に考え自分との関わりで捉え直していくという、質的に高い学びを目指そうとしています。そのレベルを志向するようになったからこそ、教師は「道徳の授業が以前より難しくなった」と感じています。しかしそれは、かつての「読み取り」「押し付け」から脱却しようとしている証でもあります。

①ねらいとなる道徳的価値をどう言語化し、授業の中でぶらさずに扱うか
②子どもの「人間理解 → 他者理解 → 価値理解」をどうつなげていくか
③評価と指導がちぐはぐにならないよう、「学習状況」を手がかりに授業を設計するにはどうするか

本書では、上記のポイントを、具体的な授業イメージとともに整理し、「子どもが自分の弱さも含めて本音で考えられる授業」「ねらいとする価値に向かって、子ども自身の足でたどり着いていく授業」への改善の方向を、現場目線で提案しています。

「タメ」をつくる授業と、提案型の3つの実践
――議論が深まる「堰き止めポイント」を意図的につくる

本書では、道徳科の授業に「タメ」=立ち止まって考える時間をつくるという明確な視点を示しています。道徳の1時間は流れる川のように進みますが、教師が“どこでその流れを堰き止めるか”をイメージすることで、子どもの議論は大きく深まります。その際、特に「① 子どもが問題意識をもって授業に臨めているか」「②ねらいとする道徳的価値を自分のものとして捉えられているか」が重要になります。
 例えば、導入場面では、子どもが「今日はここを考えたい」と自然に思えるような一言の“タメ”を置いたり、展開場面では、「人間理解 → 他者理解 → 価値理解」の流れの中に、ねらいに向かいきれない子どもも参加できる“タメ”を挟むということです。
実践編として、低学年・中学年・高学年の3つの提案型実践を掲載しているので、導入でどのように問題を立ち上げ、どの場面で話合いに時間をかけ、どの発問で価値へと収束させるのかという「タメをつくる授業」を実践するうえでも参考になる構成になっています。

こんな先生におすすめ

・道徳科の授業づくりに自信をもちたい先生
・道徳教育を学校全体でどう展開するか悩んでいる管理職・道徳教育推進教師
・ICT活用・AI時代の学びに対応した道徳教育を考えたい先生
・教育委員会・指導主事・大学院生など、道徳教育政策・カリキュラム研究に関わる方
・次期学習指導要領に向けて、道徳教育の方向性を把握しておきたい方