月刊 理科の教育2023年9月号

    月刊 理科の教育2023年9月号

      ISBN: 4910093130934

      一般社団法人日本理科教育学会/編

      $6.00

      目次

      令和5年9月号
      通巻854号
      2023/Vol.72

      【特集】教師と子どもの思い込みや想いの「ギャップ」を補う指導の工夫

      ■日常生活や社会との関連を重視すること
      ●小学校の理科では酸素が燃えて窒素が消える,そんな事実が?!
      -言語活動の充実と防災教育につながる話題の提供- 中山 慎也5
      ●自らの力で社会の課題を解決しようとする児童生徒の育成 小林 一人9
      ■教師と子どもの思い込みや想いの「ギャップ」を補う指導の工夫(小学校)
      ●防災意識を高めながらギャップを補う授業改善の視点
      -第6学年「ものが燃えるしくみ」の導入の工夫- 森村 英俊13
      ●児童の中にしぶとく残る誤概念との戦い
      -小学校第3学年「ものの重さ」の実践事例を通して- 大越 翔16
      ●資質・能力の育成を目指した「経験の場」の設定
      -第4学年「ものの温度と体積」の実践を通して- 佐々木 惇基19
      ●自らギャップに気付き,それを基に学びをデザインしていく授業-「誰のために(目的)」「何のために(動機)」を明確にすることを通して- 真田 順平22
      ●目の前の事実をありのままに捉えることができる児童の育成
      -植物の観察を例に- 長島 雄介25
      ●理科の教材研究に関して
      -「単元観」「児童観」の視点から- 俣野 源晃28
      ■教師と子どもの思い込みや想いの「ギャップ」を補う指導の工夫(中学校)
      ●理科学習でギャップを埋める指導
      -当たり前を見直し,なぜ?と掘り下げる指導- 新井 直志31
      ●素朴概念と認知バイアスの関係性
      -科学的概念を形成するための仕掛け- 大曽根 将人34
      ●生徒の「疑問」から解決可能な「課題」を設定する授業デザイン-中学校第1学年「光の性質」光が異なる物質へ進入する場合の進み方を探究する-
      斉藤 剛志37
      ■教師と子どもの思い込みや想いの「ギャップ」を補う指導の工夫(高等学校)
      ●物理教育研究に基づく物理授業のアプローチ
      -円運動と電気回路を例にして- 板橋 克美・今井 章人40
      ●ミニ観察・実験を取り入れたギャップを補う指導の工夫
      -「生徒のレディネス確認シート」を活用したカリキュラム・マネジメント-
      佐藤 博義43

      連載講座
      ●『理科教育学研究』を授業に生かす
      アナロジーを有効に活用する能力の育成
      -中学校第2学年「電流とその利用」を例に- 塩嶋 公輔46
      ●生徒をひきつける観察・実験
      探究的な学びを目指した密度の実験 髙田 太樹48
      ●教材研究一直線
      「ないこと」を確かめる実験 田中 千尋50
      ●教材の隠し味
      丸底フラスコで凸レンズの理解を深める 西村 紳一郎52
      ●Let’s Try!理科授業のDX
      4コマでまとめよう! 実験を見通しながら,結果と考察を整理する
      壁谷 祐亮54
      ●先生はサイエンスマジシャンNEXT
      本当か? 甘いトマトは水に沈む説 辻本 昭彦56

      全国大会(五次案内)58
      オンライン全国大会
      (一次案内)61
      学会通信63
      入会案内68
      次号予告72

      〈今月の表紙〉
      アリグモ
      学名:Myrmarachne

      クモ目ハエトリグモ科。
      アリにそっくりなアリグモ属に分類されるクモの総称。遠くからだとアリと間違えやすいが,近寄って見ると脚の数などで見分けがつく。オスは大きな上顎をもつため,メスの方がアリに似ている。

      表紙写真:片平久央
      表紙・本文デザイン:辻井 知
      (SOMEHOW)

      Society of Japan Science Teaching
      SCIENCE EDUCATION MONTHLY
      2023/Vol.72/No.854

      How to Fill the “Gap” of Preconception & Intention Between a Teacher and Children

      5 Oxygen Burns and Nitrogen Disappears, in Elementary School Science, Is That True ?! : To Enrich Language Activity, and to Provide a Topic of Discussion for Emergency Programs
      NAKAYAMA Shinya, Miyagi University of Education, Miyagi
      9 To Develop the Students Who Try to Solve the Social Issues On their Own
      KOBAYASHI Kazuto, National Institute for Educational Policy Research, Tokyo
      13 Viewpoints of Improving the Instruction to Fill the Gap, While Raising Awareness of Disaster Prevention : A Good Introduction to "Mechanism of Combustion" in 6th Grade
      MORIMURA Hidetoshi, Yokohama Municipal Minami Elementary School, Kanagawa
      16 Battle with Misconceptions That Still Linger in Children' Mind : “The Weight of an Object” in 3rd Grade
      OKOSHI Sho, Minami-Ooya Elementary School, Tokyo
      19 Setting of “the Place of Experience” Aimed to Develop Qualification and Capability : Practice of “Temperature and Volume of an Object” in 4th Grade
      SASAKI Junki, Kushiro Compulsory Education School Attached to Hokkaido University of Education, Hokkaido
      22 Instructional Design to Have Children Notice the Gap On their Own, and Proceed the Learning Based on This Awareness : By Making Objective and Motive Clear
      SANADA Shunpei, Higashi-tanabe Elementary School, Osaka
      25 To Nurture Children Who Can Take Facts Around Us As They Really Are : As an Example of Observation of Plants
      NAGASHIMA Yusuke, Elementary School Attached to Nara Women's University, Nara
      28 On Science Instructional Materials : From the Standpoint of “Views on Units,” and “Views on Children”
      MATANO Motoaki, Elementary School Attached to Kobe University, Hyogo
      31 Teaching to Fill up the Gap in Science Lessons : Have Students Review What Looks Obvious, Ask Themselves Why ?
      ARAI Naoshi, Lower Secondary School Attached to University of Tsukuba, Tokyo
      34 Relationship Between Naive Conception and Cognitive Bias : Teaching Technique for Formulating a Scientific Conception
      OSONE Masato, Takahama Lower Secondary School, Kanagawa
      37 Instructional Design to Set the Workable “Assignments” Arisen from Students’ “Questions” : “Properties of Light” in 7th Grade
      SAITO Tsuyoshi, Lower Secondary School Attached to Gunma University, Gunma
      40 An Approach to Physics Instruction Based on the Research of Physics Education : As Examples of Circular Motion and Electric Circuit
      ITAHASHI Katsumi, Sojo University, Kumamoto ; IMAI Akihito, Waseda Upper & Lower Secondary School, Tokyo
      43 Making a Good Lesson which Fills the Gap by Incorporating Mini-Experiment & Observation : Curriculum Management by Using “Students' Readiness Check Sheet”
      SATO Hiroyoshi, Oita Industrial Upper Secondary School, Oita

      46 Bringing “Journal of Research in Science Education” into the Classroom
      48 Demonstrations to Attract Students
      50 Hot Pursuit of Science Material Development
      52 Tips to Spice up Instructional Materials
      54 Let’s Try! DX in Science Lesson
      56 My Teacher Is a Science Magician <NEXT>

      目次英訳:柿原聖治
      A table of contents is translated into English by KAKIHARA Seiji

          商品説明

          特集:教師と子どもの思い込みや想いの「ギャップ」を補う指導の工夫

          「ギャップ」を改善・解消する実践の在り方とは

          理科授業を進めて行く中で、教科書には載っているものの日常生活から消えてしまったものが多くあります。例えば、マッチや缶切り、栓抜きなど、教師は「当たり前」と思っていることが、子どもにとっては決して「当たり前」ではなく、「知らない」ことも多いです。指導する中で、その「ギャップ」を感じている先生方も少なくないのではないでしょうか。

           小・中学校学習指導要領では、改訂のポイントとして「理科を学ぶことの意義や有用性の実感及び理科への関心を高める観点から、日常生活や社会との関連を重視すること」と示されています。高等学校学習指導要領においても「科学に対する興味・関心を高めるため、人間生活にかかわりの深い内容で構成し、観察、実験を重視した科目として『科学と人間生活』」が存在しています。そこでは、授業の指導計画を作成するときにも、日常生活との関連を図ること、他教科との関連を図ること、科学技術が日常生活や社会を豊かにしていること、安全性の向上に役立っていることなどに触れることが求められています(※下線は、いずれも筆者による)。

          子どもにとって日常生活や社会、人間生活との関わりとは何でしょうか。日常における様々な経験が乏しくなり、原理やメカニズムもわかりづらくなっている現状が指摘されています。現代においては科学の発展とともに家電・道具の進化や複雑化、さらには一層のブラックボックス化が進んでいます。例えば、オール電化により、かつては日常生活の代表であった火を使わない生活が普通となり、人類の進化の証し(あかし)、 日常の証し(あかし)であった火ですら、目にすることのない子どもが増えてきています。

          理科の学習においても、例えば小学校第4学年の 「水のあたたまり方」の学習時では「風呂の追い炊き」 を事例として扱い、「表面は熱いが、混ぜるとまだ冷たい」という日常経験と結び付ける授業展開が、以前は「当たり前」でした。しかし、今ではボタン一つで湯張りや追い炊きができる全自動が主流になっているため、具体的な事例として話しても、子どもの心は全く動かされません。また、中学校の「上皿天秤」や 「ばねばかり」についても、デジタル化が進み、原理が一目でわかるような「はかり」で質量や重さを計測する機会がなくなっているなど、日常生活との関連を図ることが難しくなってきています。このように、今まで「日常生活や社会との関連」の典型的な事例とされてきたものが、時代とともに日常生活では使われなくなっているものが少なくないのです。

          一方で、子どもの誤概念、わかったつもりによる認識のずれ、教師は子どもの主体性を重視して「当たり前」に観察・実験していると思っていても子どもはそう思っていなかった事例など、多くのところで「ギャップ」が顕在化していることも否めません。

          時代の移り変わりの中で、教師として「~したい」という想いで授業を進めてきた(工夫してきた)けれど、実際の授業では子どもの反応が「思ったより薄かった」という経験はないでしょうか。本特集では、そのような教師と子どもとの「ギャップ」の経験を共有し、 それぞれの視点における解決の一例を紹介します。これらを共有することで、理科と日常生活との関連を図る様々な実践や解決策を、自身の授業改善の一助としていただけることを願っています。

          (『理科の教育』編集委員会) 

          商品の仕様

          • 読者対象: 小学校教員・中学校教員・高等学校教員・大学教員
          • 出版年月: 2023年8月28日

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          わもり
          理科といえば、

          年間購読をしていて、毎月忘れたかけたときに届きます。小学校で理科を研究しているので、中学校や高校のことについても知れる1冊、毎月テーマがさまざまで楽しく読めます。

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