一教師による次期学習指導要領への提言 ~子どもの文脈に立ち返る~
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商品説明
中教審への諮問を受け、子どもの学びと授業の姿を考える!
本書の概要
2024年12月25日に、中央教育審議会へ諮問が出され、いよいよ学習指導要領改訂へ向け、動きが活発になってきました。改めて問い直したいのは「誰のための改訂なのか」ということです。子ども、そして日々指導する先生方のための改訂であるべきです。本書は、日々学校で子どもたち、授業と向き合う著者が、常に子どもの事実から考える教育観に基づき、学習指導要領改訂のキーワードの「意味」を捉え直していきます。「個別最適な学びと協働的な学び」「自由進度学習」「デジタル学習基盤の活用」といったキーワードを生きた学びにするために、16の提言を一教師として発信していきます。
本書からわかること
「その子が学ぶ」という教育の本質を知る
時代によって主体性、子ども中心、自ら学ぶなど、言い方は様々に変化してきましたが、その中身は変わりません。その子が自分の力で学びを進め、時代を切り開く力を身に付けるということです。現行の学習指導要領、次期学習指導要領においても、この本質は変わらないどころか、むしろこうした力はますます必要とされるでしょう。
一方、こうした変化の節目には、我々教師の周りに実に多くの新しいキーワードが登場します。ウェルビーイング、エージェンシー、自由進度学習、個別最適な学び、教育DX…。そして、これらの解釈と具現化を巡って多くの実践と研究が行われます。ただ、履き違えてはいけないのは、これらのキーワードは「その子が学ぶ」という教育の本質と切り離してはいけないということです。
学習指導要領の改訂に向けて、新しいキーワードと教育の本質がどのように結び付くのか、その視点を読者の方と一緒に考えたいというのが、本書の目的です。
先生のため、子どものための働き方改革を
「働き方改革」という言葉が随分浸透してきました。しかし、学校現場では、なかなか思うように進んでいないのが現状でしょう。また、労働時間だけの問題ではなく、いじめ、不登校、保護者対応など複雑な問題が山積していることから、教師の「多忙感」が改善されないことも問題であると感じます。
ここで、何のために働き方改革を行うのか考えてみたいと思います。教師自身の心身の健康の確保ももちろんですが、それに加え、教師としての力量形成やそれがもたらす子どもの成長が期待できる点も大切にしたい視点です。
例えば、小学校2年生・生活科の授業で、マニュアル化できるものとできないものを整理してみましょう。
生活科で竹とんぼを作ることを学年で確認しました。次に教師は、「子どもはきっとそれを飛ばしたくなるだろう。そのためには、広い公園だったら思い切り飛ばせるのではないか」と考え、生活科の単元の最後に生活科見学を位置付けました。その結果として、実際に行く日程が決まりました。ただ見学することを目的とした場合、「連れて行ってもらった生活科見学」ですが、自分たちが叶えたいものがあり、そのために行くのであれば、それは「生活科見学に自分たちで行くんだ」という捉えに子どもたちは変わります。このような捉えにするためには、子どもの実態を把握し、計画の中のどこに生活科見学を位置付けるのかを考えます。この部分は、目の前の子どもたちによって異なるので、決してマニュアル化できないわけです。一方、しおりのレイアウトや内容項目、移動時間などは例年通りのものを採用し、効率化を図りました。
この事例からは、授業・業務の軽重をしっかりと把握し、子ども主体の学びを実現するために、画一化の波を乗り越え、自分なりの考えをもつために活動の「意味」を考える先生の姿勢を学ぶことができます。
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本書掲載の提言については、その多くが学校現場の実情(子どもや教師の姿)を根拠として述べさせていただいています実際の現場の姿こそが何よりも根拠や裏付けになり得るだろうと感じています。本書が、次期学習指導要領へ向け、活発な議論となるための一助となれば幸いです。
次期学習指導要領への16の提言
提言1 教師自身が主体性を取り戻す
提言2 目の前の子どもにとっての「意味」を考える
提言3 これまでの当たり前を捨てる
提言4 子どもが恩恵を受けられる働き方改革を
提言5 自身の教育観を見つめ直す
提言6 その子の世界観から見る(子ども観)
提言7 子どもの事実から不登校を考える(子ども観)
提言8 子どもはどのように学ぶのか考える(授業観)
提言9 知識を教えることは悪いことではない(学力観)
提言10 教師としてやるべきこと、あえて行わないことを整理する
提言11 デジタルのメリットとデメリットを考える
提言12 常に子どもの事実から授業を創造する
提言13 見取りの力なくして個別最適な学びなし
提言14 文化は創り出すもの
提言15 主任教諭に具体的な役割を示す
提言16 保護者の教育観を転換する
こんな先生におすすめ
・子ども主体の学びを実践したい先生
・学習指導要領改訂の方向性を知りたい先生
・学校文化を変えたいと思っている先生・管理職
・小学校教諭、中学校教師、管理職