ホーム たすく   自閉スペクトラム症の子と家族の物語

たすく   自閉スペクトラム症の子と家族の物語

ISBN: 9784491058429

郡司 竜平/著

セール価格 1,760(税込)
付与予定ポイントpt
6
人がこの商品を閲覧しています
タイプ: 書籍

レビューを書くと100ポイントプレゼント

Customer Reviews

Based on 15 reviews
100%
(15)
0%
(0)
0%
(0)
0%
(0)
0%
(0)
匿名
タイパ重視のこの時世に、立ち止まる機会を与えてくれる貴重な一冊

1人のビジネスマンの所感となりますが、ご参考になれば。
本書は、単なる支援教育の記録に留まらず、「人として向き合うこと」の本質を教えてくれる物語です。30年という長い時間軸の中で、主人公とご家族、そして先生の関わりが丁寧に描かれており、教育の本質の1つに「関係性の継続」にあることを改めて実感できます。現在、民間企業の教育(研修)現場では、成果や効率が重視されがちですが、本書は「人の成長には時間がかかる」という当たり前の事実を痛感させられ、「変容」をどの時間軸で、どう受け取るのか、という視点も勉強になります。最近、企業と社員の「エンゲージメント」というのも流行していますが、企業としても「人を支える仕組み」を考えるきっかけとなる本です。幅広い読者に刺さる一冊となること間違いなしです!

匿名
子育て世代の方に、孫育て世代の方にもお勧めします。

近年、「個別最適な学びを」と言われていますが、以前から、支援学校においては、個々の児童生徒に応じて、教職員・家族が、その子どもに応じた最善と思われる教育(支援)活動されてきました。
著者・郡司先生は、単に、支援学校時代だけでなく、その後の社会人になるまで30年間にわたり、たすくさんとそのご家族を近くで、そして、一歩離れたところで関り、暖かく見守りつづけてきました。

私自身は3人の娘を成人させ、さらに、2人の孫を近くで見守っています。自分の子育てを振り返って、そして、孫育て真っ最中で、如何に、それぞれの個性を重視して、見守ることが重要だと、この本を通じて、痛感させられました。

是非、未来・現在の子育て・孫育て世代の方にご一読をお勧めします。

匿名
子どもを1人の”人”としてみる温かい眼差し

人間関係づくりにはスキル的な側面もあります。
特別支援教育においても「接し方」「言葉選び」「環境づくり」が、しばしば問題解決の鍵として語られることがあります。
(多くの場合、発信されている方の本意とは異なる意図で受け取られてしまうのですが。)

しかし「再現性のある教育」のようにみえる技術の奥には、その子をかけがえのない存在として見つめる眼差しと、その子を1人の人として大切にしたいという思いがあります。

郡司先生は特別支援教育のエキスパートであり、ICTにも精通し、先鋭的な情報をご発信をされている方です。
そんな郡司先生が敢えてそこには触れず、教師としての日々の営みを通して”人としてのあり方”を丁寧に綴っている本書。
郡司先生の見方だけではなく、たすくさんの母、父、姉、友達など彼を支える多くの方々の見方も描かれています。

主人公「たすく」さんの30年の歩みに寄り添い、共に歩んできた点と点が線としてつながる事実に立ち会ってきた郡司先生の感動が伝わってきました。

若き初任者が1人の子と真正面から向き合い、試行錯誤を重ねながら見出した光の数々は、日々奮闘するわたしたちに「暗闇でもがくからこそ未来は開ける」という希望を届けてくれます。

ーその子の成長と未来の幸せ、その子を取り巻く社会の幸せを願うから、わたしたちは教育現場にいるー

そんな初心も思い起こさせてくれる1冊でした。

また、エピソードに織り込まれた特別支援教育の専門的知見や図解、参考文献も大きな学びでした。
目を閉じた表紙の子の表情が、ページをめくると自ら未来を見つめる眼差しへと変化しているイラストも素敵。

匿名
郡司先生は、なぜこの本を上梓したのか?

 小学校教員として採用された私が、担任をしたクラスは特殊学級でした。教室は校舎の一番端にあって、入口に鍵が掛けられていました。そこには、発語がまだない4年生と頻繁にパニックを起こす6年生の2人の男の子がいました。
 給食は、特殊学級の中で3人で食べました。偏食が激しい6年生の子に、もっと食べるよう促したところ、私は頭を噛みつかれて流血しました。私の教員人生は、そんなスタートだった。
 2人の子どもたちは、壮年になっています。私は、彼らが今どうしているのかを知りません。

 新任採用教員が赴任した学校には、ゆっくり学ぶのが得意で鋭い感性とこだわりを持つ男の子がいました。教え子が30歳を迎えるまでの、当事者と家族の歴史と関わる人たちのインタビューが綴られています。
 著者の郡司さんが、なぜこの本を上梓したのか省察しながら読みました。
 教員は、自分の教え子が、その後どんな人生を歩んだのかをほとんど知りません。異動の範囲が100キロを超える北海道の田舎の場合は、それが顕著になります。教員は自宅を転居しますので、教え子のその後を知りようがないのです。
 幼小・小中の連携の大切さが謳われるようになり、長いスパンでの子どもの成長が見えるようになってきました。その子の幼児期の武勇伝や中学卒業後の進路選択などを聞くと、長期間に渡る子どもの成長を知ることの大切さを実感します。
 一方、子どもの成長は、家族の成長ともリンクします。教員に、家族の成長を知る機会は、ほとんどありません。
 著者の郡司さんが、なぜこの本を上梓したのか?
 彼が何を伝えたかったのか?
 読んで欲しい読者は誰か?
 そんなことを頭の片隅に入れて読んでみると、色々と思うことが浮かぶかもしれません。

匿名
人としてまっすぐに向き合うことの尊さ

人が、人として人にまっすぐに向き合い、物語を共に紡ぐことがその人の人生のどこかを形作っていき、彩っていくことの尊さが一番心に残りました。たとえ自閉症や特別支援教育のスペシャリストであっても、どこか上から目線だったり、事務的であったなら、卒後のたすくくんと一教師が関わり続けるなんてことにはならなかっただろうな、と。自分にはとてもまねできないことで、敬服しながら読み終えました。

商品説明

たすく
双子の妹
奮闘する母
医師である父
4人家族が駆け抜けた30年後の世界

明るい未来は必ず来る

本書の概要

本書は、自閉症の子どもを育てる家族の30年を追った実録ストーリーです。幼少期から成長を見守り、やがて双子の妹が結婚するまで、4人家族の葛藤と希望に満ちた日々を描きます。療育方法に悩むご家族にとっては、リアルな体験から得られる貴重なヒントがたくさんあります。
また、教員目線で言えば、自閉スペクトラム症の子を受け持つのは、学齢期のみです。ですが、「その後」の人生を知ることで、今行うべき指導や支援の本質が見えてきます。

本書からわかること

・「明るい未来へ」~自閉症の子どもを育てる親御さんへ

子育ての真っ最中、特に障害のあるお子さんを育てる過程では、将来への不安や見通しの立たない日々に苦しまれることがあります。
今を必死に生きる中で、「この先どうなるのだろう」という問いに、なかなか答えを見つけられない方も多いのではないでしょうか。
本書では、30年にも及ぶ家族の物語を通して、自閉症のあるお子さんと家族の歩みをお伝えします。
人生最大の暗黒期を乗り越え、「愛される自閉症者」という親の願いが叶うまでの軌跡は、今まさに奮闘されている親御さんたちに、具体的な未来の姿を示すものとなると信じています。
将来の可能性を知ることは、今日の苦しみや不安を和らげ、確かな希望につながります。この家族のストーリーが、同じ境遇にある方々に明るい未来への展望をお届けし、日々の子育てに新たな意味と勇気を与えることができることを願っています。

・教員の視点から追う「あの子」の未来の姿

学童期から伴走し続けた一人の教師として、著者は彼の幼少期から双子の妹が結婚するまでの長い旅路を見守ってきました。
教師や支援者は、子どもたちの人生のほんの一瞬にしか関わることができません。短い関わりの中で将来を朧げに思い描きながら指導や支援を行いますが、その行き先を実際に10年後、15年後まで見届けることはほとんどありません。
しかし、この本では異例の長期にわたる関わりを通して見えてきた具体的な姿をお伝えします。10年後、15年後の姿を知ることで、今目の前にいる子どもたちへの指導や支援の本質が見えてきます。
今、著者の見える景色は変わりました。「自閉症」のたすくから、一人の人間として「たすく」が見えてきます。

こんな方におすすめ

・今まさに育児に奮闘する親御さん
・特別支援学校で働く先生