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月刊 理科の教育2026年1月号

ISBN: 4912093130167

一般社団法人日本理科教育学会/編

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商品説明

特集:単元の指導計画を再考する

資質・能力を育成する授業を目指して

次期学習指導要領に向けて文部科学大臣から諮問がなされ、議論が進展する中、現行の学習指導要領において「単元の指導計画」が十分に機能していないという課題が指摘されています。これは、改訂の方向性を見定める上でも極めて重要な論点でしょう。学習者の資質・能力は、1時間1時間の授業によって断片的に育成されるものではなく、単元全体を通して計画的かつ相互に関連付けて育成されるべきです。もちろん、各授業は重要ですが、それらが単元全体においてどのような意味をもつかという視点なくしては、真の深い学びは成立しません。単元全体で育成する意識をもった指導計画の立案こそが、資質・能力の着実な育成につながると言えます。国立教育政策研究所が公表している「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料」には、「単元全体を構成する各時間に育成を目指す資質・能力を明確化し、それを単元の指導計画で示し、実践・検証・改善していく」と示されており、単元を基軸とした学びの構造とプロセスの再構築が強く求められているのです。
しかしながら、現在の学校現場では「単元のまとまりを通して資質・能力を育成する」という認識が十分に根付いておらず、単元指導計画と本時案との関連が不明瞭なまま、指導と評価の一体的な運用が十分に実現されていないのが実情です。その結果、単元との接続が不十分な授業や、目標・評価規準が焦点化されない授業が見られ、学習目標の達成が困難となる例も少なくありません。さらに、小学校においては「単元計画の形骸化」、中学校では「柔軟性の不足」、高等学校では「内容ばかりに重点を置いた単元計画」といった、校種ごとに異なる課題も依然として存在しています。
こうした課題を踏まえれば、改めて「単元のまとまり」がもたらす学びの豊かさに目を向けることが重要です。単元の指導計画は、各時間の学習活動が全体構造の中で連動して、児童生徒が問いを立て、考え、表現し、協働するプロセスを積み重ねる土台となります。さらに、単元全体のバランスを見据えつつ、各時間において育成すべき資質・能力を分担・明確化し、それらを単元計画の中に意図的かつ計画的に位置付けることによって、児童生徒にとって無理なく、かつ無駄なく資質・能力の育成につなげることが期待できます。
このような計画は、学習者の認知的・非認知的・社会的な成長を促進するのみならず、指導者にとっても、目標準拠型授業の充実に向けた授業展開の在り方を検討する上での有効な視座を提供するものとなります。結果として、「育てたい資質・能力」が、単元全体を通じて段階的かつ着実に育成されることが期待されるのです。例えば、小学校の「水の循環」に関する単元では、児童の問いを基に指導計画を再構成し、観察活動と表現活動の往復を通じて、自然現象への理解と表現力の育成が図られます。中学校の「化学変化とエネルギ ー」においては、実験計画と討議を取り入れた単元構成によって、主体的な学びが促進されます。高等学校の「持続可能な社会を支えるエネルギー技術」に関しては、社会との接続を意識した調査・発表活動が、課題発見力・課題解決力の育成に寄与します。
本特集では、こうした単元指導計画の再検討が授業の焦点化と指導と評価の一体化にどのように寄与するかについて、実践事例を紹介します。成功事例に限らず、課題に直面した実践、工夫の過程、そこから得られた手応え等、実践に根ざした多面的な知見を率直に共有したいと考えます。それらの知見を通じて、資質・能力の育成を目指す単元の構築に関する具体的な視点と方法を提示し、教育現場における授業改善の一助となることを期待しています。

(『理科の教育』編集委員会)