どうやって、あんなに子どもが輝くクラスをつくっているの!?
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「なんであのクラスは、子どもたちが〇〇の授業であんなに輝いているの?」
「クラスづくり、どうすればいいのだろう?」
担任をしていて、そう悩む人は多いと思います。私も、その一人。
教室に張り付いて、一日中見てみるのが一番勉強になるでしょう。しかし、1時間の授業を参観することはあっても、一日中見ているなんて、そんな時間はありません。ましてや、他の学校の教室を見る経験なんて、もっともっと難しいでしょう。
そんな時は、クラス経営の本を読むことをお勧めします。教室の雰囲気や著者の先生のマインドを感じることができるからです。
私は、クラスづくりにおいて大事なのは、「集団への関わり」と「個への関わり」のバランスだと考えます。上手にクラスづくりを行う先生は、目の前の子どもたちに合わせ、2つのバランスを保っているのです。そこで、これから紹介する本に「集団への関わり」と「個への関わり」のどちらの視点で多く書かれているかを指標にして、おすすめポイントをお伝えします。
さぁ、子どもが輝くクラスをつくる先生方の教室を覗いてみましょう!
「学級経営は問いが9割?学級経営は難しくてわからないことだらけだ〜!」って本ですか?
いいえ違います。ここでいう「問い」の主語はもちろん子ども。「もっと授業をよくしたい!」、「主体的な学びっていうけれど、先生は関わってはいけないの?」そう思ったらこの本を手に取ってください。
「学級経営は「問い」が9割」の著者は、文部科学省教科調査官(社会科)であった澤井陽介先生。現在でも、社会科のたくさんの書籍を出されているので、知らない方はいないでしょう。この本は、澤井先生が、小学校教諭として担任していた当時のことをもとにして書かれています。
澤井先生は、「学級経営には、教師の仕事に対する哲学や姿勢がすべて集約されている」と書いています。
第1章に、力強く、熱い言葉が載っています。
「『教師が子供についていく』のではなく、『子供が教師についていく』ようにしなければならない」
子どもの主体性や多様性を意識するあまり、先生の指導性を蔑ろにされてしまうときがあります。多様性ばかりに目がいき、指導がうまくいかないのです。子ども一人一人の個を生かすことは、その子が生活する集団が充実しているからこそ成立するのです。
先生の関わりが多いと、子どもは主体的になることができないのでしょうか?そうではないと思います。「子供が教師についていく」とは、先生が「ああしろ!こうしろ!」と、全てに指示を出すということではありません。
教師として大事にすべきは、「答え」をはじき出せることではなく、考え続けられる「問い」を与えることです。
この本を読んで、学習においても、生活においても、問いに対して、考え続けられる子を育てていきたいと感じました。
「道徳の授業がうまくいかないな。今日は、授業の準備をしていったのに」、そう思っているそこの先生!授業がうまくいくコツは、日々のクラス経営にあるかもしれません。
「子どもが考え議論したくなる学級づくり」の著者は、筑波大附属小学校で道徳を担当している加藤宣行先生。独特な世界観のある道徳授業に魅了され、「どうしたらあんな授業ができるのだろう?」と、道徳授業の書籍を開いたことがある先生も少なくないはずです。
加藤先生は、「道徳教育を行う要になるのは学級づくりにある」と書いています。学級をつくる上で3つの集団づくりを意識しているそうです。
・自分で考えたことを、自分の言葉で伝えられる集団。
・相手の話をきちんと聞き、違いを受け入れ高め合う集団。
・何がいいことで、何が悪いかを、しっかりと判断する力をもった集団。
加藤先生は、一体どうやってクラスをこのような集団にしていくのでしょう?
私が、特に納得したのは、「子どものパワーを解き放つ」、「子ども発言をちゃんと聞く」です。子どもには、パワーがあります。しかし、大人はその子どものパワーにふたをしてしまっていることもあります。教室に集まる30人の子どものパワーが集まれば、授業を行う先生の想定なんて簡単に超えていってしまいます。授業の進行に関係ないから、理解できないからと言って、子どもの発言を切り捨ててしまうことはありませんか?そんな、一人一人の言葉に耳を傾け、先生も含めてみんなで解決していこうとする姿勢こそが「考え、議論する学級」をつくるのだと感じました。
「子どもたちが、いつも楽しそうにしていてくれたら嬉しいなぁ!」、「クラスの雰囲気って、どうやってよくしていくの?」、温かい雰囲気が漂うクラスにしていきたいと思う先生は、この本を読むとよいと思います。「51の心得」として、クラスづくりの基本としたい考え方をしっかりとまとめてあるので、若手の先生にとっては必読書です!
先生の注意によって、張り詰めた空気をつくってしまうことってありませんか?自分が雰囲気を悪くしているのにも関わらず、なかなか発言しようとしない子どもたちにイライラして、さらに雰囲気を悪化させてしまう…。私にも苦い記憶がたくさんあります。
「クラスづくりで大切にしたいこと」の著者は、筑波大附属小学校で算数を担当している盛山隆雄先生。盛山先生の授業を参観したことがありますが、先生も子どもたちも、ずっと笑顔で、とても楽しそうに学習しているのが印象的でした。
盛山先生は、「子どもたちが自然体で過ごしていれば、クラスの雰囲気は必ず明るく、朗らかになる」と書いています。もちろん、自然体と言っても、子どもたちを放任するのではありません。必要なときに手を差し伸べ、そうでないときには手を引くバランス感覚が必要です。授業でも、見えない仕掛けによって、自然に子どもたちの力を引き出し、自分の力でできたと思わすことができるようにをしているそうです。
この本を読んで、子どもたちが自主的(行う内容は決まっている)に動くことを越えて、主体的(自ら何をするか、何をしたいかを決める)に動くことができるクラスの雰囲気をつくっていきたい、自然体の子どもたちのを受け入れ、支援し続けられる先生でありたいと強く思いました。
「子どもたちと心震えるような体験をしたい!」、「総合的な学習の時間で子どもが主体的に行動するって言うけれど…それってどんな姿なの?」、総合的な学習の時間に難しさを感じている先生、この本に書かれている子どもの姿が、今話題の「探究」の姿です!
「すべての子どもを探究の主人公にする 本音で語り合うクラスづくり」の著者は、新潟市立小針小学校教諭、小川雅裕先生。この本では、「授業のビジョン」(東洋館出版)で、総合的な学習の時間の授業づくりについてまとめた小川先生がクラスをどのようにつくっているかが書かれています。
「書いたことをただ話したり、自分の考えを発表したりしているだけで、なかなか話し合いになっていないな」、「もっとお互いに、質問し合ったり、意見をぶつけ合ったりして対話してほしいのに」、そう思ったことはありませんか?そもそも「対話」とは、どのような姿を言うのでしょう?小川先生は、「お互いの価値観を交流して、新たな価値を生み出していくことこそ『対話』と呼ぶことができる」と説明します。その基盤となるのが「安心して本音を言い合える力」です。
小川先生は、「お互いに本音を語り合うクラス」をつくることを大事にしています。
本音で語り合うクラスにするためには、個々が素朴に感じている思い、疑問や違和感を発言しても友達から批判されたり、否定されたりする心配や不安がない雰囲気をつくっていくことが大事です。小川先生は、このクラスの雰囲気を、総合的な学習の時間で、子どもたちが、共に力を合わせて向かう「課題」を明確にもち、自分たちはこうありたいという「願い」を共有することでつくっているのです。
「子どもたちの本音によってつくられる、子どもたちが主役の授業」にチャレンジしてみませんか!?
「ちょっと普通を飛び出したい!」、「もっと子どもが躍動するおもしろいクラスにしたい!」そんな個性的な先生やクラスを目指すあなた!チャレンジしてみましょう!チャレンジしてみないとわからないことはたくさんあります。
「子どもが輝く対話のメカニズム」の著者は、東京学芸大学附属世田谷小学校の久保賢太郎先生。東京学芸大学附属世田谷小学校と言えば、他の学校には類のないような子どもたちの主体的な姿を見せ、新しい教育の在り方を提案し続けている学校です。
久保先生は、「一人一人が自分に自信をもって、自分は自分でいいんだな、と思える、そしてな『こんなふうに生きていこうかな』と未来を描ける、そんな風に進級したり卒業したりしていってほしい」と担任としてのビジョン・願いを書いています。
久保先生は、学級開きのときに必ずこう話すそうです。
「違うことをおもしろがろう。みんな同じ顔、みんな同じ人間だったら、35人が一緒にいてたのしいか?違う意見、違うよさ、違うからおもしろい。それをいちいち気にすることなんてない。ましてや、それで揚げ足をとるなんてあってはならない」
学校教育では、子どもも先生も当たり前に縛られて、自分がしたいようにできないという場面も多いと思います。もちろん集団で生活していく中で、最低限、人に迷惑をかけるようなことがあってはいけないと思います。しかし、当たり前を疑い、自分の頭で考えて、「こんな自分でありたい!」、「こんな集団にしたい!」、「こんな未来したい!」と願い、思い描き、それに向かって行動することも大事です。そんな一歩を踏み出す勇気を与えてくれる本です。先生が踏み出さないことには、子どもたちも変わりません!
いかがでしたでしょうか?
今の自分に合いそうな本は見つかりそうでしょうか?
その時々で、自分にヒットするクラス経営本は違うと思います。オススメはたくさんのクラス経営本を読んで、たくさんのクラスを知ること!
「あの本ではこう言っていたけれど、この本ではああ言っている」
「こう考えている先生がいるんだ。自分のクラスと比べてみると…」
と、本に書かれていることや自分のクラス経営とを比べながら読むことで、自分の教育観をアップデートしていくことができます。
クラス経営本の著者のすごいところは、実践の数々もそうなのですが、クラス経営のビジョンや思いをここまで言語化できることです!
手法だけマネをするのでなく、自分なりの子どもとのバランスのとれたクラス経営を目指し、言語化できるくらい思いをもって取り組んでいきましょう!
私もいつかクラス経営本が書けるようにがんばりたいです!読んでいただきありがとうございました!