筆者の主張を読む ~教材の特徴を糧として~  「数え方を生みだそう」(東京書籍4年下)より

筆者の主張を読む ~教材の特徴を糧として~  「数え方を生みだそう」(東京書籍4年下)より - 東洋館出版社

説明文の読みのいちばんの目的は、筆者がどんな事例を通して、どんなことを主張しようとしているか、筆者の意図を読むことです。
その「方法」を具体的に指導することの大切さを、いま一度確認してください。

【今回の「問い」】

説明文の筆者の主張は、どうやってとらえたらいいの?

【習得を目指す力】

題名や接続語を手がかりに、筆者の主張をとらえる力

授業においては、子どもたち自身が【問い】をもち、自発的に解決しようとすることが大切だと言われます。
そのためにも、授業づくりにおいては、教師が【課題】【活動指示】【ズレ】【問い】【技】の関係を理解し組み立てていくことが必要です。
※「【問い】の解決による汎用的な力の習得」の詳細については本連載の第2回を参照

それでは、「数え方を生みだそう」の、実際の授業を見ていきましょう。

「数え方を生みだそう」には、次のような特徴があります。

→接続語を手がかりに、筆者の主張に結びつく記述をとらえることができる。

→基本三文型のうちのどれにあたるかをとらえることで、筆者の主張をとらえることができる。

→事例を比較することで、筆者の主張をとらえることができる。

→題名から筆者の主張をとらえることができる。

今回は、特徴1や特徴4に着目し、子どもたちが次のような【問い】をもつ授業を組み立てたいと思います。

【問い】
説明文の筆者の主張は、どうやってとらえたらいいの?

子どもたちに「筆者の主張」に関心をもたせるため、次のような【課題】を示しました。

【課題】
この説明文の筆者の主張を、200字くらいでまとめてみよう。

「説明文の筆者の主張をとらえる」という【課題】を与えると、子供たちの多くは「内容論」によってとらえようとします。
「この内容が大切だから、ここが筆者の主張だと思う」といった具合です。
しかし、「大切」の意味は曖昧ですし、読み手によってとらえ方に差もあります。

【ズレ】

筆者の主張は「日本語を学ぶ外国人にとって、日本語のものの数え方はふしぎだ」ということ。

筆者の主張は「新しい数え方を考えてみませんか」ということ。

筆者の主張が何か、わからない。

ここから、次のような【問い】が生まれます。

【問い】
説明文の筆者の主張は、どうやってとらえたらいいの?

ここで子どもたちと、次のことを確認します。

「しかし」や「でも」などの接続語の後に、筆者の主張につながることが書かれている。

逆接の接続語で文や文章が結びつけられている場合は、その接続語の前に述べられていることよりも、接続語の後に述べられていることのほうが強調されています。

〇〇はAだ。しかし、Bでもある。

という文章では、筆者がより強く言いたいのは「〇〇はBでもある」ということなのです。
「数え方を生み出そう」で逆接の接続詞が使われている箇所と、そのあとの記述は次のようになっています。

段落 接続語 接続後の後に述べられていること
でも ニンジンの特ちょうはいろいろあるのに、なぜ、細長さに注目して数えるのか。
しかし ニンジンを、細長さだけに注目して「一本」と数えることをあたりまえと感じるかもしれないが、日本語を外国語として勉強している人たちにとっては大きなおどろきだ。
しかし 日本語の正しい数え方を身につけることは、ものの見方をせばめてしまうことでもある。

このように見てくると、筆者は、私たちが当たり前のように感じている日本語のものの数え方について、「ものの見方をせばめてしまう」こともあることもあるのだということを強調しています。
ということは、「ものの数え方」について、新しい提案を行おうとしてこの文章を書いているのだと考えられます。

次に、題名に着目しましょう。
説明文の題名には、次のようなものがあります。

  • 「話題・課題」を表している。
  • 「具体例・事例」を表している。
  • 「筆者の主張」を表している。

「ものの数え方を生み出そう」という題名は、「〇〇しよう」という投げかけの形になっていることからも、筆者の主張を表した題名であると考えられます。
接続語を手がかりにとらえたこととも、つながっています。
そこで、この題名を次のように問いの形にすることで、筆者の主張をとらえるための読みの観点を明確にすることができます。


題名の変形 筆者が述べていること
どうすると「数え方を生み出す」ことができるの? 数える物の特ちょうに注目する。 言葉のじゅうなんさに目を向け、いろいろな発想をもつ。
「数え方を生み出す」と、どうなるの? 日本語はもっと便利で表情ゆたかになるのではないか。

これらのことから、次のようにまとめることができます。

筆者は、言葉のじゅうなんさに目を向け、数える物の特ちょうに注目していろいろな発想をもって新しいものの数え方を生み出すことによって、日本語はもっと便利で表情ゆたかになるのではないかと主張している。(197文字)

冒頭でも述べましたが、説明文を読む場合、「筆者の主張をとらえる」は大きな目的の一つとなります。
「筆者の主張」をとらえる方法は、今回の特徴2や特徴3でとりあげた「基本三文型」や「事例の比較」を利用するなど、いくつかあります。
しかし、そのような具体的な「方法」があまり指導されていないのが実態ではないでしょうか。
今回の授業の課題「筆者の主張を200字くらいでまとめる」についても、そのまとめ方を具体的に指示しておく必要があります。
(「筆者は」で始め、「と主張している。」で終わるなど。)

子どもたちが「できない」「わからない」というのは、具体的な「方法」の指導をしていないからかもしれません。
そう言った点で、授業を見直してみてください。