説明文「世界にほこる和紙」教材分析の《3つの鉄則》

説明文「世界にほこる和紙」教材分析の《3つの鉄則》

曖昧になりがちな〈はじめ〉〈なか〉〈おわり〉の区切りを、論理的に行う
今回取り上げるのは、4年生の説明文教材「世界にほこる和紙」です。
戸惑いやすい基本三部構成の「区切り」を論理的に行います。

  • 鉄則1 基本三部構成をとらえる
  • 鉄則2 話題・課題をとらえる
  • 鉄則3 まとめ・主張・要旨をとらえる

※鉄則の概要については「第1回 教材分析の《3つの鉄則》」を参照

説明文教材では、全体を〈はじめ〉〈なか〉〈おわり〉の3つに分けて基本三部構成をとらえることを通して、筆者が何を伝えようとしているのかを読みとります。
しかし、「3つに分ける」ときに区切りが明確でなく、戸惑うことも多いようです。
そこで今回は、〈はじめ〉に分類される「話題」と「課題」や、〈おわり〉に分類される「まとめ」「主張」「要旨」の区別をきちんと行うことにより、論理的に基本三部構成をとらえることを目指します。

基本三部構成とは、説明文の文章全体を、次のような3つの部分に分けてとらえることです。

  • 〈はじめ〉…話題・課題
  • 〈なか〉 …具体例・事例
  • 〈おわり〉…まとめ・主張・要旨

「世界にほこる和紙」の文章の基本三部構成は、比較的容易にとらえることができるでしょう。次のようになります。

「世界にほこる和紙」の基本三部構成

〈はじめ(話題・課題)〉……………①、②段落

〈なか(具体例・事例)〉……………③~⑨段落

〈おわり(まとめ・主張・要旨)〉…⑩段落

ここで〈なか〉の③~⑨段落をさらに詳しく見てみましょう。
③~⑨段落の各段落には、次のようなことが述べられています。

  • ③段落…和紙のよさ
  • ④段落…和紙のよさ
  • ⑤段落…和紙のよさ
  • ⑥段落…和紙のよさ(③~⑤段落のまとめ)
  • ⑦段落…より多くの人に使ってほしい
  • ⑧段落…より多くの人に使ってほしい
  • ⑨段落…より多くの人に使ってほしい

このように、〈なか〉の③~⑨段落は、「和紙のよさ」について述べられている③~⑥段落と、「より多くの人に使ってほしい」ということについて述べられた⑦~⑨段落の2つの部分に分けられることがわかります。 このことは、③段落の「まず」と、⑦段落の「もう一つ」に着目しても明らかです。 そこで③~⑥段落を〈なか1〉、⑦~⑨段落を〈なか2〉と呼ぶことにしましょう。

ここで、⑩段落の扱いに迷う方も多いようです。⑩段落は、「③~⑨段落のまとめ」の要素と、「主張」の要素の両方をもっているからです。「このように~無形文化遺産になった。」が前者、「美しくかざりたい~生活の中で使ってみましょう。」が後者です。
※これについては、鉄則3で詳しく述べます。
「段落の役割」という考え方に立って考えたとき、⑩段落が担っている役割は「主張」の方が強いため、⑩段落は筆者の主張が述べられた〈おわり〉であるととらえるのが妥当でしょう。

基本三部構成のうち、〈はじめ〉では「話題・課題」が提示されています。
この「話題・課題」は文字通り並列に扱われ、あまり区別しないことも多いようですが、本来、しっかり区別してとらえる必要があります。

「話題」

話の材料、話の内容となる事柄。

その文章で、何について読むのか。

「課題」

筆者が「解決しなければならない」と考えていることがら。

その文章で、筆者が考えよう、解決しようとしていること。

その文章で、筆者が明確にしようとしていること。

「話題」が一般的な事柄であるのに対し、「課題」は筆者の考えが色濃く反映されています。

「世界にほこる和紙」の〈はじめ〉の①段落と②段落では、次のようなことが述べられています。

①段落

日本には、ユネスコの無形文化遺産に登録されたた、すばらしい技術によって作られる和紙がある。……【話題】

②段落

和紙のよさを知ってもらい、使ってほしい。……【課題】

ところで、このあとの鉄則3では「まとめ・主張・要旨を読む」ことになりますが、そのうち「主張」と「要旨」にも筆者の考えが表されます。
ここで「課題」を明確にとらえておくことが、「主張」や「要旨」をとらえるための土台となります。

鉄則2では、「話題」と「課題」を区別してとらえました。 「まとめ・主張・要旨」もその違いがあいまいにされがちですが、次のように区別してとらえることが大切です。

「まとめ」

具体例や事例のまとめ。(表現内容は具体的となる。)

「主張」

 「まとめ」を踏まえ、筆者が言いたいこと。(具体的内容)

「要旨」

 「主張」の内容を、事例で述べられたこと以外にも広げ、一般化したもの。(抽象的内容)

このとらえ方を「世界にほこる和紙」にあてはめると、次のようになります。

◆まとめ

和紙のもつよさと、使う紙を選ぶ気持ちによって、長い間作られ、さまざまなところで使われ続けた来た。そして、そのぎじゅつは、世界にほこる無形文化遺産になった。

◆主張

美しくかざりたい、相手によろこんでもらいたいと考えたりして、紙を選ぶことは、とてもすてきなことです。このように、世界にほこる和紙を、生活の中で使ってみましょう。

なお、「世界にほこる和紙」では、上記の主張を一般化した「要旨」は述べられていません。また、低学年向けの説明文には、「主張」がなく「まとめ」で終わっているものもあります。すべての説明文に、「まとめ、主張、要旨」があるわけではないことに注意してください。

本教材の特徴として次のようことが挙げられます。

  • ①基本三部構成のうち、〈はじめ〉と〈なか〉の区切りがとらえやすい。
  • ②〈なか〉と〈おわり〉の区切りで戸惑いやすいが、段落の役割を手掛かりに判断することができる。
  • ③「課題」をとらえることにより、「主張」をとらえやすい。

①〈はじめ〉と〈なか〉の区切りについて
〈はじめ〉と〈なか〉の区切りがとらえやすいのは、「話題・課題」「具体例・事例」がとらえやすいためです。
「何について書かれた文章なのか」をとらえやすい説明文教材だといえるでしょう。

②〈なか〉と〈おわり〉の区切りについて
「世界にほこる和紙」の⑩段落のように、基本三部構成をとらえる際には、区切りがわかりにくく判断に迷うことがあります。
ときには、「区切りがどこか」ということに議論が集中してしまうこともあります。
しかし、文章によっては、段落単位では明確な区切りのない場合もあることを念頭におかなくてはなりません。 「世界にほこる和紙」の⑩段落のように、1つの段落を構成するいくつかの文を「まとめ」の文と、「主張」の文とに読み分けた上で、文章全体の中でその段落がどのような役割を担っているのかをとらえることが大切です。

③「課題」から「主張」をとらえる
低学年の説明文は、「主張」がなく「まとめ」だけで終わっているものもあります。このような文章は「話題」は提示されていますが、「課題」は提示されていません。
筆者が「課題」を提示した場合、その課題となる「答え」を筆者は述べることになります。それが「主張」です。 「主張」は「その文章によって筆者が伝えたいこと」です。「主張」を正しくとらえることが、その説明文をとらえることでもあります。
中には「主張」がわかりにくい説明文もあります。そのようなときには、まず「課題」をしっかりとらえることによって、「主張」も見えてきます。